調査レポート

概略

概略

  • パンデミックの間、消費者の行動と小売業者の対応により、ラストワンマイル配送のCO2排出量が変化し、より持続可能なものになりました。
  • ローカルフルフィルメントセンターを活用することで、ラストワンマイル配送におけるCO2排出量を2025年までに17~26%削減できる可能性があります。
  • ラストワンマイル配送のエコシステムは今、転換期を迎えています。正しい道を選択すれば、早い・安い・環境にやさしい配達を達成できますが、選択を誤れば、事態は際限なく悪化し続ける恐れがあります。
  • プラスの変化を持続させるには、エコシステムが連携して、環境に優しい選択を促し、資産の利用方法を見直し、データとアナリティクスを活用する必要があります。


より速く、より安く、より環境に優しく

パンデミックの間、ラストワンマイル配送に環境負荷軽減という予期せぬ変化が起こりました。サプライチェーンの営業再開後、エコシステムは環境変化にすばやく対応し、消費者によるオンラインショッピングが増加し、さまざまな商品が購入されるようになりました。店舗がフルフィルメントセンターとなって、店舗からの出荷やカーブサイドピックアップ(オンライン注文後に店舗で受け取るサービス)が行われるようになり、宅配ボックスの設置数も増加しました。

コロナ禍での持続可能性の改善は意図せざる結果でした。しかし今こそ、より効率的で、より経済的で、より環境に配慮したラストワンマイル配送を実現するときです。ラストワンマイル配送のエコシステム全体(郵便・宅配事業者、小売業者、配送業者、行政、消費者)が今、転換点を迎えています。正しい道を選べば、より速く、より安く、より環境に優しい、真に持続可能なラストワンマイル配送を実現することができます。しかし、間違った道を選べば、事態は悪化するでしょう。

持続可能なラストワンマイル配送を、単独で実現することは不可能です。エコシステムの全当事者による、まったく新しい形の連携が不可欠です。

ローカルフルフィルメントの可能性

パンデミックによってローカルまたは市場ベースのフルフィルメントが急激に発展し、サプライチェーンが革新的な変化を遂げました。いまや商品の在庫は、かつてないほど顧客の近くに配置されるようになっています。これにより、郵便・宅配事業者や物流企業は、より持続可能なラストワンマイル配送を実現することできます。

この可能性について把握するために、アクセンチュアは2020年にロンドン、シカゴ、シドニーのデータを用いて、Eコマース用のローカルフルフィルメントセンターの効果に関する堅牢な計量経済学モデルを構築しました。このモデルは、ローカルフルフィルメントセンターの普及状況、人口密度、荷物1個あたりの平均配送距離、配送車の構成比、消費者需要の推移などのインプットに基づいて、CO2の排出量や交通渋滞といったアウトプットの影響を推定します。

この分析で、ローカルフルフィルメントセンターが実現するラストワンマイルのサプライチェーンは、2025年までのラストワンマイル配送におけるCO2の排出量を17~26%削減できることがわかりました。この改善は、3都市すべてでほぼ一貫しています。2020年から2025年まで、Eコマースの注文の半数にローカルフルフィルメントセンターを利用するだけでも、大きな効果が得られることが分かります。

20%

シカゴにおける配送トラックのCO2排出量の削減率

17%

ロンドンにおける配送トラックのCO2排出量の削減率

16%

シドニーにおける配送トラックのCO2排出量の削減率

既存の枠組みにとらわれない発想

目に見えないラストワンマイル配送のコストを把握し、変化を推し進めるためには、エコシステム全体で連携することが極めて重要です。目に見えないラストワンマイル配送のコストを把握し、変化を推し進めるためには、エコシステム全体で連携することが極めて重要です。

どのような計画でも、次の3つの基本要素が実現への鍵となります。成功を収めるには、組織的な投資と創造的で慣習にとらわれないエコシステムの連携が必要です。

より環境に配慮した行動を引き出す

消費者が、環境配慮型でしかも利便性の高い荷物の受け取り方法へ誘導し、「選択アーキテクチャ」を構築します。

資産の活用方法を再考する

店舗、インフラ、配達車などの資産を再利用し、新機能を追加導入し共有するとともに、環境技術に投資し革新的なアプローチを支える規制を整備します。

データやアナリティクスを駆使する

リアルタイムに変化する消費者の思考と購買パターンといった消費者インサイトに迅速に対応することで、在庫管理・配送ルート管理を革新・最適化し、ラストワンマイルにおける環境負荷低減を達成します。

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今とるべきアクション

実際に変化を起こし、より持続可能なラストワンマイル配送を実現するには、エコシステム全体での連携と協働が必要です。優先してこれらを行動に移し、変化を起こし始めるべきなのです。

小売業者

  • 店舗でのフルフィルメントを選択するようアピールする。
  • サプライチェーンと店舗ネットワークを改革する。
  • 一括配送に関する消費者の理解を深める。

配送事業者

  • データに基づくオペレーションを実行する。
  • パートナーシップと資産の共有を模索する。
  • 配送車を電気化する。

行政

  • ラストワンマイル配送戦略、景気刺激策、雇用を連携させる。
  • 環境に優しい輸送戦略を支援する。
  • 都市空間に対しローカルフルフィルメントへの転換を推奨。

消費者

  • 環境配慮型の配送オプションを選択する。
  • 一括配送を利用する。
  • 別の用事のついでに荷物をピックアップする。

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持続可能なラストワンマイルの実現を目指して

パンデミックによってラストワンマイルにもたらされた変化は、決して後戻りはしません。消費者の行動が変わり、サプライチェーンが変わり、そして小売店の売り場面積も変わりました。エコシステム全体が連携し、持続可能なラストワンマイル配送の慣習に従って行動すれば、今よりもっと環境負荷を軽減した配送が実現するはずです。それにはすべてのステークホルダーがそれぞれ役割を担うことになりますが、読者はどんな役割をお考えでしょうか。

Andre Pharand

MANAGING DIRECTOR – CONSULTING, POST AND PARCEL LEAD


河合 圭二

公共サービス・医療健康本部 マネジング・ディレクター

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持続可能なラストワンマイルの実現

ラストワンマイル・デリバリーを変革するための課題と機会についてじっくり理解する

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サマリー(英語)

所要時間:約5分

持続可能なラストワンマイルの実現 サマリー

より早く、より安く、より環境に優しいラストワンマイルについてクイックに理解する

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