気候変動対策への舵取りを迫られる経営者
世界113カ国、21業種の1,230人以上を対象に、国連グローバル・コンパクト(UNGC)とアクセンチュアが実施したサステナビリティに関するCEO調査では、CEOの視点から、気候変動の危機に迅速に対応するためにリーダーに求められている機会と課題が明らかになりました。
- ビジネスにおいて既に気候変動の影響を身近に経験しており、それに対応するために変革を起こす準備ができている。
- 気候変動の影響は、よりサステナブルなビジネスモデルへの移行を加速させる大きなトリガーとなっている。
- 状況を好転させるチャンスはもうすぐそこまで来ているものの、今取るアクションが今後の勝敗を分ける。
- サステナビリティの取り組みによる更なる成長を実現するために必要なアクションを先行して開始している企業もある。
- サステナビリティの取り組みから最大の効果を得るためには、政策側による決定的なアクションが必要である。
「アクセンチュアは、サイエンス、経済動向など、データドリブンのビジネスを展開しています。テクノロジーを活用し、ビジネス価値創出とサステナビリティへの取り組みを結びつけることで、競争優位性が高まるのです。」— ピーター・レイシー(PETER LACY), Chief Responsibility Officer(CRO)兼サステナビリティサービス グローバルリード
気候変動の影響
気候変動の影響は随所に現れています。
- 世界各地で自然災害が頻発している中、企業全体の最適化とレジリエンスの強化が求められており、特にサプライチェーンにおいてはそれが顕著である。
- 世界的なパンデミックの中で、投資家や資本市場からの圧力は、より迅速な気候変動対策を促している。
- 一部の企業は競合他社とパートナーシップを結び、生物多様性リスクに対処している。パリ協定に沿ったSBT(Science-Based Target)目標を設定している会社が既に数百社あるが、サステナブルな未来の実現のためには、さらに数千社の協力が不可欠である。
現状の課題
サステナビリティに関してCEOは以下のような課題を抱えています。
- カーボンニュートラルのビジネスモデルに移行する中で、スコープ3の温室効果ガス排出量の管理に苦戦している。そのため、サステナブルな企業経営のために必要とされる、NbS(自然を基盤とする解決策)については、まだ取り組みを進め始めたばかりの企業がほとんどである。
- グリーンエコノミーへ転換していくために求められるワークフォースの再配置が充分に進んでいない。
- 産業の脱炭素化を進め、新しいビジネスモデルを構築するにはテクノロジーが不可欠であるため、バリューチェーン全体でデータ管理が必要であり、それにかかるコストの削減、知識不足の解消が求められている。
- グローバル・サウスの気候変動対策を促進するために、気候変動対策資金の増額が求められている。
危機をチャンスに
サステナビリティを企業の成長機会へとつなげるために具体的な取り組みを開始しているCEOもいます。
- 先進的な取り組みをしているCEOは、事業や従業員の多様化を始め、気候変動に強いソリューションへの研究開発投資を加速させ、より厳しい基準での説明責任を自ら果たしている。
- このような変革を進めている企業は、化石燃料の使用からより早く脱却し、サステナブルな社会の実現に向けて従業員のリスキリングを行っている。
CEOが政策側に求めること
NDCs(国が決定する貢献)を1.5度シナリオに合わせる
パリ協定に沿ったカーボンプライシングに関する国際協力を強化する
グローバル・サウスに向け、1,000億米ドル以上の気候変動対策資金を拠出する
生物多様性の保全に関する共通基準とNbS(自然を基盤とする解決策)のための道筋を確立する
気候変動対策に関わる政策形成へ企業の影響力を高める
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