課題―求める変化

経験と勘に頼った非効率な需要予測からの脱却を目指す

株式会社ジンズ(以下、JINS)では、小ロット・多品種のメガネ製品を展開してきたため、もともと需要予測が難しく、またメガネという製品特性上、耐久年数が長く季節ごとの影響を受けにくいため、買い替え需要が予測しづらいという特徴がありました。

こういった事情から、サプライチェーン領域の需給コントロール業務において、発注による追加生産のフォローが間に合わずに欠品したり、在庫の消化が思うように進まずに過剰在庫が発生したりといった課題に悩まされていました。

また、計画変更による売上・粗利・在庫といった経営数値への影響を同時に見ながら迅速に意思決定をする仕組みがないことも大きな課題でした。意思決定に必要なデータは主に手作業で集計を行っており、リスク検知や着地見込みの判断は、担当者個人での経験則の精緻化により予測精度の改善を実行していました。今後のグローバルへのビジネス拡大を見据え、このままでは需要予測や適切な意思決定が困難になることが想定される中、同社は需給コントロール業務の改革に乗り出しました。

取り組み―技術と人間の創意工夫

トランスフォーメーション:データに基づいた未来予測型の経営判断

在庫・販売に直結する需給コントロール業務においては、欠品・過剰在庫の発生リスクが増化することを避けるため、需給の可視化とPDCAサイクルの高度化を目指しました。2020年7月に着手開始後、約1年のテスト運用期間を経ながら、使用方法を確立する形で進められました。

そこで活用されたのが、アクセンチュアのソリューションである「AI Powered Management Cockpit」。客観的な需要予測や提案アクションをベースにProduction(生産)、Sales(販売計画)、Inventory(在庫)といったPSI計画を調整。それによるKPIインパクトをシミュレーションしながら把握することで、経営・担当者間のインタラクティブなコミュニケーションをサポートしました。

また、単なる実績データの集計やKPI表示を行うだけでなく、AIが経営・現場に対して将来の需要を予測したうえで、適切なアラートと業務上必要となるアクションを提示し、迅速な意思決定を支援します。たとえば、欠品リスクに対して緊急発注や入荷前倒しのアクションを提案したり、過剰在庫リスクに対して値引き・プロモーションによる施策を可視化し、そのリスクに対して、在庫シミュレーションと合わせてとるべきアクションを立案します。これらの施策案をベースに、経営・現場担当者の意思を反映した際のKPIに与える影響もシミュレーションできるようになっており、まさにAIによる科学的な予測と人の意思とをうまく融合させた「未来予測型の経営判断」ができるようになりました。

AI Powered Management Cockpit

成果―創出された価値

迅速かつ未来予測型の意思決定により、売り逃しや廃棄ロスを削減

この「AI Powered Management Cockpit」によって、データに基づいた迅速な意思決定が可能になり、結果として以下のような効果創出*を実現しています。

(*過去実績との比較結果で当該施策のみではなく全体での効果)

65%

欠品による売り逃しを約65%削減(粗利金額ベース2019年比)

10%

廃棄ロスの約10%を削減(除却・評価損含む2019年比)

今後の展望:グローバル展開を進めながらサプライチェーン全体の強化へ

今後、計画精度の向上・グローバル展開に加えて、計画変更に追従するための供給網の見直し、トータルリードタイムの短縮化といったサプライチェーンのアジリティ強化にも共同で取り組んでいく方針です。

チーム紹介

ニュースレター
最新コラム・調査をニュースレターで 最新コラム・調査をニュースレターで