課題―求める変化

「フィンテック企業、チャレンジャーバンク、あるいは異業種が、銀行業界、金融業界に次々と参入して、ルールチェンジやパラダイムシフトがグローバルレベルで起こっています。ふくおかフィナンシャルグループの中核銀行である福岡銀行でも、伝統的な支店に来店される顧客は、この10年で4割減少しましたが、一方でインターネットバンキングの利用者は同期間で2.4倍増加するなど、顧客の行動変容が起こっています。」

株式会社みんなの銀行 取締役頭取 横田 浩二氏

日本の九州を地盤とするふくおかフィナンシャルグループ(FFG)では、グループ全体のデジタル変革をどのように進めるべきかについて解決策を求めていました。FFGは複数の地域銀行を傘下に持つグループであるため、構造改革を実行するには長い時間とコストを要するからです。

FFGでは5年前に金融と非金融、地域同士を繋ぐプラットフォーム企業としてiBankマーケティング株式会社(以下iBankマーケティング)を設立し、未来の銀行のビジネスモデルを模索していました。iBankマーケティングの創業者であり、株式会社みんなの銀行 取締役副頭取 永吉 健一氏は、次のように説明します。

「私たちのミッションはイノベーティブな金融サービスを創造することであり、そのためにデータ&アナリティクスを私たちの軸として、シンプルな金融機能とデジタルマーケティングを展開するiBankマーケティングを立ち上げました。コアプロダクトAppWallet+は、ダウンロード数が160万を超えました。私たちは、ゲームチェンジが起きている今こそ、金融サービスの新しいプラットフォームを作らなければならないと考えました。」

「我々は、アクセンチュアのグローバルレベルでのデジタル知見を大きく評価して、パートナーに選びました。1つはテクノロジーに関するもの、2つ目はデザイン、3つ目がデータアナリティクス。彼らにこの3つのノウハウがあったからこそ、そして彼らの実行力があったからこそ、コロナ禍の中においてもスケジュール通りに我々のサービスをローンチすることができました。

アクセンチュアはエクセレントな企業であり、私たちのベストパートナーです。」

株式会社みんなの銀行 取締役頭取 横田 浩二氏

株式会社みんなの銀行は、世界三大デザイン賞のひとつである「Red Dot Design Award 2021」のブランド部門において、「Brand of the Year」(最優秀賞)を受賞しました。この受賞は、日本の企業初であり、金融機関としても世界初となります。さらに、コミュニケーションデザイン部門(アプリケーション)で「Best of the Best」(年間最高賞)、コミュニケーションデザイン部門(ブランドデザイン&アイデンティティ)でも「Red Dot」も受賞し、3部門での同時受賞となります。

株式会社みんなの銀行 取締役頭取 横田 浩二氏

取り組み―技術と人間の創意工夫

このような状況の中、FFGは、DXにおいて「2Wayアプローチ」を実践しています。従来型の銀行を持つFFGでは着実なDXを実行する一方で、既存ビジネスの制約を受けずに一足飛びのDXを実行する組織として日本初のデジタルバンクである、株式会社みんなの銀行(以下みんなの銀行)を設立するというアプローチです。この銀行は世界で初めて、バンキングシステムをフルクラウドで構築した銀行であり、そのシステム構築はパンデミックの中、圧倒的なスピードの中で実現しました。

みんなの銀行は金融サービスを提供するデジタルテクノロジー企業として設計されています。

「デジタルバンクに相応しいプラットフォームを世界中探しましたが、パブリッククラウドで作られた銀行システムはありませんでした。だから私たちは、フルクラウドの銀行を自分たちで創ることにしました。」と、永吉氏は説明します。

クラウドファーストの銀行、それがみんなの銀行なのです。Agile Developmentが採用され、AutomationDevSecOpsTalent Developmentなど、アクセンチュアが全ての領域でサポートしています。

これを実現するために、アクセンチュアからはバンキングストラテジー&コンサルティングテクノロジーインタラクティブの各組織の人材が、福岡、大阪、東京、会津、北海道と海外の2拠点から国や組織の枠を超え結集し、One Accentureとして連携しています。

また、みんなの銀行、アクセンチュアの2社の強力なパートナーシップとリレーションに加え、GoogleMicrosoftAWSSalesforceOracleなどのソリューション企業の最新のテクノロジーのベストプラクティスを結集。具体的には、みんなの銀行とアクセンチュアが共同で構築した「ゼロバンクコアソリューション」(MAINRI)は、基幹系システムはGoogle Cloud上で、アクセンチュアのDXソリューションであるACTS及びクラウド基幹系ソリューションであるMAINRIを活用し実現、コンタクトセンターの業務はAWSのAmazon ConnectとSalesforceService Cloudを組み合わせ、行員業務/システム運用のための仮想デスクトップインフラはMicrosoftのAzureが、会計システムではOracle Cloudが利用されています。これにより、みんなの銀行の基盤を世界で最新の技術で構築することが出来ました。

2020年、COVID-19のパンデミックのなかでもみんなの銀行プロジェクトチームは前進を止めませんでした。金融機関への規制が厳しい日本において、わずか18カ月で開業したのです。これは圧倒的スピードであり、前例がありません。

「もしCloudでなかったら、開業が半年は遅れていたでしょう。私はそれほど強く、Cloudのパフォーマンスを感じました。Cloudのスケーラビリティやデプロイのスピード、バグ修正の効率性が私たちの銀行サービスのアジリティの理由です。」横田氏はこのように説明しました。

株式会社みんなの銀行 取締役副頭取 永吉 健一様

成果―創出された価値

みんなの銀行は、マーケティングやプロモーションの方法も伝統的なやり方とは違います。マスメディアではなく、ソーシャルメディア(SNS)を積極的に採用し、ユーザー同士のメンションを観察しながらプロモーションを展開しています。そのアプローチを可能にしているのが、みんなの銀行の優れたUIUXです。アクセンチュアのデザイナーチームは、説明的な情報を最小限にし、シンプルで美しいグラフィックでの表現を追究しています。みんなの銀行にはカードや通帳もありません。

この背景には、みんなの銀行は、デジタルネイティブ層をターゲットにし、企画当初より彼らの思考や顧客行動というものを徹底的に理解し、顧客起点でサービスやUIを設計していることにあります。ユーザーは金融サービスをいつ、どのように使いたいのか。この考え方を研ぎ澄ませたことで、みんなの銀行はフリクションレスで、毎日使いたいAppになっています。非金融サービスのポータルでもあり、データを使ったマーケティングをサービスにすることで、大きなバリューを顧客へ提供しています。「金融データと非金融データを、1つのサービスへと真に融合した、日本で最初の銀行といえるでしょう。」と永吉氏は言います。

みんなの銀行の掲げる3つのビジネスコンセプト:

  1. みんなの「声」がカタチになる = 顧客行動変容に即した新しい金融サービスを提供する
  2. みんなの「いちばん」を届ける = 顧客理解に基づく総合金融コンシェルジュになる
  3. みんなの「暮らし」に溶け込む = BaaS(Banking as a Service)型ビジネスを実現する

Banking as a Service (BaaS)とは、ビジネスパートナー向けに「アクセンチュア クラウドネイティブ コアソリューション」をベースとした新しい銀行の勘定系システム提供するものであり、銀行業界における新しい価値の創出を支援するものです。

個性的なデジタルバンクであるみんなの銀行は、データ駆動型社会(data-driven society)の時代の銀行です。ハイパーパーソナライズを実現し、顧客に「ワォ!」と言ってもらえる銀行であり続けることが彼らのビジョンです。

「みんなの銀行は、日本初のデジタルバンクということで、まさにこれから日本の金融業界のイノベーションの震源地になると思います。アクセンチュアは、みんなの銀行のイノベーション創出のエンジンであり続けることをお約束します。」

アクセンチュア株式会社 常務執行役員 金融サービス本部 統括本部長 中野 将志

右から森、中野、横田氏、永吉氏、宮良、山根

1st

日本初のデジタルバンク

18カ月

開業までに要した期間

50%

全社員のうちエンジニアが占める割合

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