アクセンチュアの年次レポート「Accenture Technology Vision 2019 (アクセンチュア テクノロジービジョン2019)」では、今後3~5年の間に世界に大きな影響を及ぼす重要トレンドを取り上げ、詳しく分析しています。2019年の全体テーマ、「ポストデジタルな世界」は、民間企業と同様に、政府・自治体等の行政機関にとっても関係が深い内容となっています。

では、「ポストデジタル(デジタル後)」とは何を意味しているのでしょう?今や人々は、自分の日々の行動や企業や機関とのコミュニケーション等、あらゆる活動がデジタルに対応しているのが当然になっています。オンライン手続やチャットボット等によるやり取りは、もはや目新しいものではありません。ほんの数年前まで非常に珍しく特別だったことも、今日ではありふれた存在になっています。これは、デジタル変革の波が一段落したということではなく、むしろその逆です。企業も行政も絶えず進化し続けていることで、パーソナライズされたオンデマンドのデジタル体験に人々が慣れ、それらは特別な体験ではなく、当たり前のサービスへと変わってきているのです。

今年の全体テーマのベースには、以下の5つのトレンド「“DARQ”の力」「『私』を理解せよ」「『ヒューマン+』としての労働者」「自身を守るために全体を守る」「マイマーケット」があります。それぞれが、あらゆる組織におけるデジタルの効果と可能性の深化を示すものになっています。今後追加掲載していく記事では、新たなトレンドである人間+マシンの労働力に関するものから、企業の枠を超えてエコシステム横断でセキュリティを守ることの重要性まで、多様なトピックを紹介し、それらが行政・医療・教育等に及ぼす影響について詳しく掘り下げていく予定です。

市民は、自分の都合のよい時間に、都合のよい場所で、デジタルサービスを使って行政機関とやり取りをしたいと望んでいます。つまり、企業-行政、市民-行政のコミュニケーションの手段としてデジタルは基本要件となりつつあるのです。もちろん、多くの行政機関は、民間企業のような手法で市民の囲い込み競争は行いません。しかし、市民が変わりゆく法令や制度・政策を遵守できる環境を整える必要があり、そのためにもデジタル技術・サービスの重要性は高まっています。

また、行政の中にも市民の関心や満足度をめぐり競争を繰り広げている分野があります。たとえば、教育サービス機関は、簡単でテーラーメイドのデジタルサービスを提供できるようにする必要があります。多くの大学では、入学する学生によって収益を得ています。そのため、これからの学生の大多数を占める「ポストデジタル」世代に対してちょうど合う体験を提供していくことが、極めて重要になってきます。

市民との新しいつながり方や情報提供方法を実現してくれるのと同時に、いくつかの新しいテクノロジーは、行政機関にとって困難な課題を生み出しています。個人情報にまつわる制約や、プライバシー保護と機密保持の重要性は、行政機関にとって、民間企業と同じか、場合によってはそれ以上に重要な問題です。また、行政機関固有の悩みを生んでいる新興技術もあります。例えばドローン技術の事例では、英国で利用者数が2番目に多いガトウィック空港にドローンが侵入し、2018年12月末の3日間にわたるフライトに深刻な混乱を招く事態となりました。このような新しいテクノロジーは、行政機関としてそのメリットを最大限に享受できるようにすると同時に、その乱用により生まれる脅威に対して、公共の安全を守るための有効な対策を講じるという重責を与えています。

テクノロジーの急速な発展が続く中で、創造的破壊をもたらす次なるテクノロジーの波が、行政機関の組織や業務に及ぼす影響がどのようなものか研究する必要があります。つまり、今から「DARQ」(Distributed ledgers:分散型台帳、AI:人工知能、XR:クロスリアリティ、Quantum computing:量子コンピューティング)技術について研究し、それらが将来の業務運営形態や政策実行力に対してどのように支援してくれるか理解する必要があるでしょう。同時に、現在及び未来の市民のニーズと期待に応え続けることができるように、現在主流である「SMAC」(Social:ソーシャル、Mobile:モバイル、Analytics:アナリティクス、Cloud:クラウド)技術の取り組みを継続する必要があります。

行政機関の進む道のりは困難であると同時に、やりがいのあるものでもあります。目まぐるしく変化するテクノロジーの潮流の見通しや潜在する落とし穴、それらが行政・公共業界にとってどのような意味を持つのかについてご関心をお持ちの方は、関連コンテンツをご覧いただく、もしくはお問い合わせいただけますようお願いします。

水田 響

アクセンチュア株式会社
公共サービス・医療健康本部
マネジング・ディレクター


Mark Lyons

Senior Managing Director – Global Public Service

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