調査レポート

概略

概略

  • "明敏なる間接部門機能(インテリジェントバックオフィス(IBO)"は、手間と時間をかけて「こなす」といった古い慣習を打破し、新しい価値を生み出す「成功要因」として機能します。
  • IBOには人間中心の設計、デジタルテクノロジーの駆使、そしてデータ稼働型という3つの特徴があります。
  • IBOを活用した変革は、一過性の"プロジェクト"を行うことではなく、継続的に改善しようとする"マインドセット"の浸透です。


一般的に、行政は手間や時間(リソース)の約80%を必須の定型業務に集中し、残りの20%を付加価値のある活動に費やしていると考えられています。 しかし、行政がデジタルテクノロジーを駆使し、洗練された変革手法を戦略として掛け合わせることで、リソースを再配分できるとしたら、あなたはどうしますか?

新たな間接部門に向けた変革

間接業務は昔から、規則に基づいて繰り返し発生し、また業務量が多いとされてきました。しかし、デジタルテクノロジーによって従来のやり方は崩壊し、人の働き方と関わり方が見直されています。業務時間もいわゆる"9時-5時"ではありません。データはこれまでになく広く活用されています。世の中もすさまじい速度で変化しています。更に、何を以て"成功"とするかの定義も変わりつつあります。このような状況下において行政は、巨額な負債をこれまで以上に蓄積することを避けるためにも、今、長期的かつ構造的な財政バランスを追求することが、かつてないほど求められています。

デジタルテクノロジーとそれによって実現するユーザー志向を活用することは、行政の間接業務に新たな責任を課すと同時に新たな機会も提供します。第4世代のERPシステムとデジタル化されたアプリケーションは、どちらも多くのトランザクション処理とコンプライアンス業務に対応することができます。これにより、行政の間接業務に係るリソース、能力、投資を再配分し、中核事業である市民向けサービスを向上させることができます。

一般的に、行政支出の約10%は管理業務、90%は政策策定や執行等に費やされていると言われています。そこで生じるのは、「政策策定や執行等の中核事業を後押しするために、管理に投じられるリソースをどのように価値的に転換すべきか」という重要な疑問です。必要なのは、間接業務を次の3つの基本的な性質を備えた"明敏なる間接部門機能"に進化させることです。

間接部門の変革

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人間中心の設計

"間接部門"と聞くと、人はテクノロジーと業務プロセスを連想します。しかし人的要素もまた、重要な要素です。間接業務は行政職員が利用します。すなわち(前述の通り、間接部門は中核事業を支えているため)この間接業務に従事する職員が優秀であればあるほど、行政や間接部門公共サービス機関は(中核事業を通じて)市民やユーザーのニーズにより適切に応えることができるのです。しかし、現在人間中心の考え方は薄れつつあります。間接部門の職員はかなりの時間を、退屈でやりがいがなく、満足感を得られないような繰り返し発生する業務に費やしているのが現状です。

間接部門にIBOを導入することで、ユーザー中心でもなく、また効率的かつ生産的でもない従来の業務を解消することができます。IBOは、現在の働き方と理想の働き方を考慮し、ユーザーの行動様式を反映して設計しています。実際には、どのように機能するのでしょうか。例えば、財務部門の職員は予測分析を利用し、需要の変動に基づいて予算を計画することができます。また人事部門では、管理職等が優秀な人材を採用し、人材獲得競争で勝利を収めることができます。更に調達部門は、費用削減目標を上回る支出戦略を構築することにより、中核事業に係る目標の達成を後押しすることができます。

現在の間接部門は、およそ100年前に統制を目的とした階層的なルールに基づき設計されました。新しい間接部門では、管理と成果のバランスを最適に取る必要があります。これを得意とするのがインテリジェントなテクノロジーです。繰り返し発生する業務が自動化されるため、職員はより複雑で面白味と充実感のある仕事に従事することができるようになります。すなわち、職員は、中核事業に注力することができるのです。

この変化を実現し、職員がこの働き方に対応できるようにするために、行政は間接部門の職員が多様な方法で中核事業を支援できるよう育成し、新しい役割を明確にしなければなりません。また、優秀な人材の獲得も欠かせません。暗記や複雑なルールを業務に適用するといった従来必要とされた能力は、市民サービス視点や問題解決といった新しい能力に置き換える必要があります。この新しい価値は将来必要とされる職員構成(プロフィール)を変えていくことになります。

公共サービスにおける財務部門のリーダーの73%は、同部門職員のこれまでのプロフィールを早急かつ大幅に変更する必要があると考えています。

デジタルテクノロジーの駆使

価値を生み出す源泉(エンジン)には、デジタルという燃料が必要です。そのため、デジタルソリューションへの投資が、IBOを実現する最も重要な戦略になるのです。しかし、IBOを導入したとしても、最新のデジタルトレンドを踏まえた魔法のような変化が起こるわけではありません。その魔法が生まれるかどうかは、IBOと、さまざまな人、業務プロセス、ルール等がどのように関わり、変革を促進するかにかかっています。

多くの行政機関は、すでに間接部門において自動化とアナリティクスの活用を模索し始めており、プロトタイプ(試作品)や概念実証(PoC)を開発し、最も有望なソリューションの選定や汎用化に取り組んでいます。 例えば、データアナリティクスを見てみましょう。今では、自組織のトランザクション処理アプリケーションの領域を越えてさまざまな情報源から得たデータを利用し、ユーザーが使いやすいように結果を表示することができます。ダッシュボードでは、定期的に寄せられる質問への記述回答が自動化され、ヒトの介入が必要な事案を予め予想することもできます。

このようなテクノロジーへの投資は、新しい間接部門の実現に向けたデジタル変革の第1段階に過ぎません。第2段階には、人工知能や機械学習など、より先進的なデジタルソリューションの活用が含まれます。このような先進テクノロジーの活用は、間接部門の運営方法を根本的に変化させます。現在、公共サービス機関はこのプロセスのかなり初期の段階にありますが、新しいテクノロジーは常に急速に進歩しており、もはや無視することは出来なくなっています。

今後3年間で自動化の導入を予定している米国の州行政責任者の割合はわずか21%で、民間セクターの4分の1に留まっています。

データ駆動型

従来の行政における間接部門では、データを上手く活用したいと思いつつ、一方で活用したくないという思いの両方が混在しています。財務、人事、調達部門には豊富なデータがあります。その上、多くの公共サービス機関では財務部門が(当該機関が有する)データを「管制」しています。しかし、データへのアクセスやデータの質に課題があるか、もしくは、データを分析する高度なスキルが普及していないため、間接部門はデータから示唆を得るのに苦労しています。

これに対し、IBOは、データ駆動型です。自機関内外が収集した構造・非構造データを分析することで、画期的な示唆を得ることができ、特定の機能領域、部門、そして最終的には市民のために活用することができます。また、このデータ収集・分析を行うデジタルプラットフォームはコラボレーションを促進する安全な環境であるため、収集・分析した様々なデータを更に他のデータと統合したり、共有することができます。更に、このプラットフォームを活用することにより、データに裏打ちされた政策評価や、予算編成を実現します。つまり、政策や予算を(要望や前年踏襲等により)自動的に決めるのではなく、成果等の実績に基づいて評価し、予算化することが可能になるのです。

IBOのもう一つの特徴は、データとの関わり方です。IBOのデジタルツールとアナリティクスは、(業務等に)関連する傾向をより効率的に抽出することができます。そして、トランザクション処理ではなく、政策サイドのニーズに対応するようになった間接部門の職員は、自身の判断と経験に基づいて傾向を解明し、行政機関が戦略的な意思決定と賢い投資決定を行えるよう、分析結果とアドバイスを提供できるようになるのです。

さまざまな変革の形

IBOを活用した間接部門への変革は、開始日と終了日が決められている一過性のプロジェクトではなく、継続的に改善しようとする"マインドセット"です。ある意味、様々な戦略からなる"変革の旅"(アプローチ)なのです。すべての"変革の旅"はそれぞれ特徴があり、行政機関の準備状況、リソース、変革への意欲によって異なります。例えば、とある行政機関は、最初は特定の業務領域に注力して変革を行い、それを他の業務領域にも転用し、最終的にはその組織の変革を成功させるといった"変革の旅"を選択することもあります。

一方で、最初から抜本的なアプローチを採用する機関もあります。多くの場合、このような広範な変革は白紙の状態から始まるため、行政機関にとっては、新しい画期的な取り組みとなります。これは、ゼロから新しい間接部門を構築することを意味します。要件、スキル、成果などに関するデータを収集することで、将来の望ましい状態が明らかになり、この「理想像」がゼロから変革を起こすための道標になります。

どのようなアプローチ採るにせよ、行政のすべての間接部門は、「価値を出す」というマインドセットを持って変革に挑む必要があります。結局のところ、最初に望ましい成果と投資対効果を明確にしなければ、価値を生み出すエンジンを作り出すことはできません。リーダーは、変革に何を求めているのか、それをどのように実現するのか、そして、成功をどのように評価するのかを明確にしなければなりません。

間接部門の変革を成功させるための3つの秘訣

このアクセンチュアの動画では、間接部門の変革を成功させる3つの秘訣について説明しています。詳しくは動画をご覧ください。

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Bill Kilmartin

Former Comptroller – Commonwealth of Massachusetts


Joseph Fiorentino

Managing Director – Applied Intelligence, Public Service, North America

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