アマゾン ウェブ サービス(AWS)とアクセンチュアが2015年から推進しているビジネス事業体「Accenture AWS Business Group(AABG)」は、2社の協業によってグローバル全域で包括的なサービスを展開しています。

AABGではお客様向けのセミナーイベントを定期的に開催し、AWSの最新事例の紹介、ノウハウやナレッジの共有、ユーザー/パートナーを招いた懇親会による情報共有などを継続するとともに、社外カンファレンスや勉強会での講演を行っています。

2020年10月20日(火)~22日(木)、AWS主催により、60 を超えるセッションとワークショップを通じた最新テクノロジーの紹介と使いこなしの技、そして実戦事例を共有する開発エンジニア向けのテクニカルカンファレンス(AWS DevDay Online Japan)が開催されました。

本年は、コロナ禍を受けてオンラインのライブ配信という形式で開催されました。AWS社ソリューションアーキテクトをはじめ、APNパートナーやコミュニティメンバーを含む多数のエンジニアが登壇する中、AABGのコアメンバーによるプレゼンテーションも配信されました。本稿では、そのプレゼンテーションの内容を詳しくレポートします。

DevOps「すばやく失敗する」ためのARCD(Accenture Rapid Cloud Deployment)フレームワーク』

ブレイクアウトセッションの内、Call for Papers (セッション公募)で選出された一枠にて、アクセンチュア 岡 智也(アクセンチュア テクノロジーコンサルティング本部 インテリジェントソフトウェアエンジニアリングサービス グループ Cloud CoE シニア・プリンシパル APN Ambassador)が発表し、クラウドの特性を活用し、アプリケーション実行環境をすばやく立ち上げ、新しいプロダクトやサービスの展開や改善に注力するために、アクセンチュアが行っている取り組みについて解説しました。その内容をダイジェストでご紹介します。

ARCDとは?

ARCDとは、Accenture Rapid Cloud Deploymentの略語です。アクセンチュアは、数多くのお客様のクラウド案件をご支援する中で、AWS上でアプリケーション実行基盤を構築する場合のベストプラクティスをナレッジとして蓄積してきました。そのナレッジを元に、IaC (Infrastructure as Code)スクリプト、プロジェクトの成果物のベースとなるテンプレート群、ARCDをアップデートしていくためのプロセス、そしてARCDを社内で普及させるためのトレーニングまでを含めたビジネス・フレームワークをまとめたものがARCDです。

2015年頃から、日本のエンタープライズのお客様のクラウド導入検討・事例が爆発的に増加しました。アクセンチュアもクラウドのスキルを持った基盤担当要員を積極的に増やしていましたが、お客様からの引き合いが非常に多く、Cloud CoEチームは常にデマンド過多の状況にありました。

恒常的な人手不足、増え続ける残業、非効率な仕事の仕方という課題を克服するため、「AWSを利用したカスタムアプリケーションの基盤設計・構築作業の半分以上は、共通化・自動化できるのでは?」という仮説を立て、実行に移しました。そうしてできあがったフレームワークがARCDです。

ARCDの構成要素

アクセンチュアでは、特にSoE向けのカスタムアプリについては、コンテナやAWSのマネージドサービスを最大限活用してアプリケーション実行基盤として利用するケースが大半となっています。複数の案件における本番環境構築の経験を踏まえ、共通化できる部分についてはCloudFormationのテンプレートを整備し、自動構築を実現しています。

自動構築する環境については、エンタープライズのお客様から求められる可用性要件や、厳しいセキュリティ対策要件を満たせるような実装を予め組み込んであります。

また、ARCDは単なるIaCスクリプトを指すのではなく、IaCスクリプトによって構築される環境に合わせた各種成果物テンプレートも用意しています。これにより、インフラの要件定義、設計、構築、テストの工数を削減でき、ARCDだけではカバーできない案件固有の要件の実現に集中することができます。

こういったフレームワークや共通ライブラリのようなアセットは、「一度作って終わり」になりがちです。AWSのサービスアップデートは非常に頻繁ですし、便利な新サービスもどんどんリリースされます。それらのアップデートやリリースもARCDに継続的に取り込めるよう、メンテナンスのプロセスも整備し、フレームワークが陳腐化しないような「仕組み化」を実現しています。

そして、フレームワークは使われないと意味がありませんので、社内の特定の社員だけの「秘伝のタレ」にならないよう、トレーニングについても整備・開催しています。

「すばやく失敗する」とは

AWSARCDを組み合わせて構築できるのは、システム基盤です。システム基盤は、それ単体では価値を生み出しません。システム基盤上で稼働させたアプリケーション(サービス、プロダクト)が利用者の役に立って、はじめてビジネス価値を生み出せます。

難しいのは、新しいサービスやプロダクトが、狙いどおりの効果をあげそうか、利用者(顧客)に受け入れられそうかは、まず「動かしてみて、使ってみてもらう」までわからない点です。そのアイデアの立案から、サービスやプロダクトのリリースまでの期間をなるべく短くしたい、ARCDはその下支えとなるものです。

「動かしてみないとわからない」といいつつ、ゼロベースでチャレンジするよりも、多くのお客様のプロジェクトで採用実績のある「標準ソリューション」を活用した方が、プロジェクトの成功確率は上がります。アクセンチュアは、ARCDだけではなく、ビジネスをつなぐためのACTS(Accenture Connected Technology Solution)ソリューション、AIエンジンをつなぐためのAI-Hubソリューション等、多数の標準ソリューションを活用し、お客様のビジネスのデジタル化のチャレンジをご支援しています。今後も、ARCDをはじめとするソリューションとアクセンチュアの知見・実績を元に、お客様のビジネスの成功に貢献していきたいと考えております。

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