調査レポート

概略

概略

  • ITコストを削減するためにクラウドを利用するということが、今日では当たり前となっています。
  • クラウドへのITシステム移行がゴールではありません。クラウド移行を継続的な改善のジャーニーのスタート地点であると考え、クラウド機能の継続的な改善と拡張を図ることで、クラウド価値を最大限に引き出している企業を「クラウド先進企業」と呼んでいます。
  • クラウド先進企業は共通して、革新性・コスト効率・収益性・社会的責任の4つを重要視しています。
  • 本稿では、クラウドを安価で効率的なデータセンターと見なすのではなく、その真価を正しく理解することで、企業にもたらされるメリットとクラウドの価値を最大化するための方法をご紹介します。


クラウドジャーニーへの挑戦

今や、誰もがクラウドの効果を実感しています。とりわけ、新型コロナウイルスによるパンデミック禍に多くの企業がレジリエンスを発揮し、成長を遂げてきたこの18カ月間で、システムやアプリケーションのクラウド移行が社会にもたらすメリットが顕著に示されました。

アクセンチュアが実施した4,000名以上の経営幹部を対象とした調査では、クラウド移行が企業にポジティブな成果をもたらしていることがわかっています。調査によると、約4分の3の企業が、クラウド移行によって最大11%のコスト削減を実現しており、また、クラウドがパンデミックに適応した業務変革を加速したと感じています。

国によって異なりますが12-15%の企業は、戦略的なクラウド投資によって大幅な成長を遂げていることも明らかになりました。これらの企業は、クラウドを単なるシステムの移行場所としてではなく、企業全体の改善と成長を継続的に推進するための手段として活用しています。

クラウド先進企業は、クラウドを利用して顧客とのコミュニケーション、製品の生産および販売、ITシステムの運用など事業全体の運用モデルそのものを変革しようとしており、実際に、他の企業と比べて次のような成果を実現する可能性が極めて高くなります。

  • サプライチェーンの変革および自動化
  • より大規模なコスト削減
  • より多くのサステイナビリティ目標の達成
  • より高い業務目標と財務目標の達成

クラウド先進企業は、自社のビジネスに適したクラウドベースのテクノロジーにフォーカスしたクラウドベースの戦略を策定するとともに、クラウドを活用することで組織の変革を促進しています。

クラウド先進企業になるために

クラウド先進企業は必ずしもデジタル先進企業とは限りませんが、いずれの企業も業界の変革をリードしており、すでにいくつかの成果を収めています。

72%

のクラウド先進企業が、クラウド機能を最大化するために新たなテクノロジーを併用しています。

77%

のクラウド先進企業が、新たなテクノロジーを活用するための先進的な手法を導入しています

もたらされた効果:コスト削減、新たなビジネス価値創出、市場投入までの時間短縮、クロスセルおよびアップセル機能の強化

すべてのクラウド先進企業が共通して取り組んでいる4つの主要なアプローチがあります。

01. 目標に向けて継続的にクラウドを活用:

クラウド先進企業は、組織のすべての部門が同じ方向に進むために必要な優先順位を次の方法で明確にしています。

  • 自社のコアバリューや目標を明文化したビジョンを確立する。
  • 競争上の自社の強みと弱みを特定する。
  • 自社の現状の能力と将来必要になる能力を正確に把握する。

また、クラウド先進企業は、企業が特定の目標を達成するためには、多くのテクノロジーを組み合わせる必要があることを理解しており、以下の領域で他の企業を上回る傾向が見られます。

1.5倍

クラウド先進企業が設定している財務および業務目標

2倍

クラウド先進企業が、サプライチェーンの自動化など、テクノロジー主導により優れた成果を創出する可能性

3.3倍

クラウド先進企業が、AIを使用して高付加価値な業務を創出する可能性

02. テクノロジー活用の強化に向けて、クラウドを起点とした組織づくりを推進:

クラウド先進企業は俊敏性を維持するために、次のプラクティスを導入しています。

  • 俊敏性の向上を常に意識する
  • 顧客からのフィードバックに対して迅速な把握と適切な対応を取るなど、継続的な目標を設定する
  • AIを活用した顧客体験を実現するためのクラウドファーストアプリケーションを採用する
  • 顧客体験を強化し高度なパーソナライズを可能にするために、スマートかつ高速なクラウドベースのテクノロジーのケイパビリティを持った人材および能力を育成する
  • より多くのアイデアを生み出し、速やかにテストするための実証実験の文化と環境を確立する
  • 次世代の製品およびサービスを同時にグローバル展開し、すべての地域のあらゆる機能を効率よく実行するためにコンピュート(データ処理を行う仮想マシン)を醸成および実装する

03. 優れた体験の提供に向けてイノベーションを加速:

クラウド先進企業は、顧客と従業員の優れた体験の創出に向けて優先的に投資をしています。これらの企業では、例えば、従業員はより高度な役割や新しい業務へのスキルアップの機会を得ることができ、顧客は店舗やオンラインショップを通じてパーソナライズされた購買体験を楽しむことができます。

90%

クラウド先進企業の90%が、クラウドを利用して従業員のコラボレーションを強化し、楽しく仕事に従事できる仕組みを作り出しており、また、操作性に優れたクラウドベースのツールを導入するなどし、従業員とテクノロジーとの親和性の向上にも努めています。

04. 戦略に対するコミットメントを継続的に実践:

「実証実験」「イノベーション」「成長」によって定義される新たな企業文化はクラウドを中心に生まれる、ということを経営幹部は理解し、自信を持って取り組むことが大切です。クラウドの価値を最大化し、より高く、かつ実現可能な目標を達成するためには、クラウド機能の開発・拡張と高度化に全社を挙げて取り組む必要があります。

クラウド先進企業を目指して

クラウドの継続活用を構成する要素は企業ごとに異なります。しかし、すべてのクラウド先進企業には、スマートファクトリー、効率的なサプライチェーン、持続可能な製品を実現し、人とテクノロジーをバランスよく機能させながら、顧客と従業員の体験を常に革新・改善するための生き生きとした文化が醸成されている、という特徴が見られます。

クラウド機能を継続的に活用することによって優れた価値を解き放ち、成長を続けるための準備はできていますか?

西村 雅史

テクノロジー コンサルティング本部 インテリジェントクラウド アンド インフラストラクチャー グループ日本統括 マネジング・ディレクター

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