課題―求める変化

アジアでトップのスキンビューティーカンパニーである株式会社資生堂(以下、資生堂)は、中長期経営戦略「WIN 2023 and Beyond 」の中で、 2030 年までに"PERSONAL BEAUTY WELLNESS COMPANY"、つまり、お客さま一人ひとりが自分らしい健康美(ウエルネス)を実現するために、資生堂の商品やサービスを生涯を通じて利用するパートナーになることで、スキンビューティー領域において世界の No.1 企業になることを目指しています。

長期愛用者を増やすには、顧客一人ひとりのニーズが流動的に変化し続ける中でも深い関係を築き、維持することが重要です。資生堂は、お客さま理解の深化による1人ひとりに合った体験価値の提供と、デジタルを活用した情報発信・エンゲージメント強化を可能にするため、デジタル基盤のさらなる強化と活用が必要と考えました。

 資生堂は、デジタルを活用した事業モデルへの転換・組織構築を実現するべく、2021年5月にアクセンチュアと戦略的パートナーシップを締結し、7月に 両社の合弁会社である資生堂インタラクティブビューティー株式会社(SHISEIDO INTERACTIVE BEAUTY。以下、資生堂インタラクティブビューティー)を設立、アクセンチュアの強みである AI やデータ分析、自動化、サービスデザイン、デジタルマーケティングなどのデジタル領域の知見を活かし、DXを加速させています。また、これを支えるIT基盤のさらなる整備を行うほか、デジタル人材の育成のプログラムも共同開発しています。

Personal Beauty Wellness Company へ: 資生堂ではDXを目的とせず、あくまで“ツール”として捉えることでパーソナライズした美容体験の提供をめざしています

資生堂ではDXを目的とせず、あくまで“ツール”として捉えることでパーソナライズした美容体験の提供をめざしています

取り組み―技術と人間の創意工夫

顧客理解の深化による1人ひとりに合った体験価値の提供、パーソナライゼーション

資生堂は、リアル店舗を通した顧客接点を多数擁し、国内ではおよそ9,000名のビューティーコンサルタント(美容部員)が在籍しています。ビューティーコンサルタントたちはリアル店舗においてお客さまの肌を確認し、専門知識によって⼀人ひとりに最適な提案をするなど、これまでもパーソナライズしたサービスで定評がありました。⼀方で、新型コロナウイルスへの対応はもちろん、変化し続けるお客さまのニーズに対してあらゆるチャネルで即座に応えられるよう、リアルとオンラインとをシームレスに融合した「OMO(Online Merges with Offline)」サービスの強化にも挑戦しています。

同時にマーケティング領域にもパーソナライゼーションを加速させています。従来のリサーチに基づくマスメディアによる広告活動ではよりきめこまやかなパーソナライズが困難であるため、デジタルデータを活用し、ソーシャルメディアなどを通じて個々人に最適なコンテンツが届けられるデジタルマーケティングやサービス開発を進めており、お客さまの生活の中で全方位的に体験を提供することで長期的な関係を築くようなコミュニケーションを実現しています。

「アクセンチュアとは、単に商業的につながっているだけではありません。お互いの価値観が一致しているからこそ、自信を持って資生堂インタラクティブビューティーを設立できました。2030年に『PERSONAL BEAUTY WELLNESS COMPANY』になるという目標を達成するために、アクセンチュアとは大きなグローバルビジネスとパートナーシップを共に創造することになるでしょう」

— 魚谷 雅彦氏, 資生堂 代表取締役 社長 兼 CEO

OMO、マーケティングのパーソナライゼーションの一環で、たとえばオンラインセミナーや、Webカウンセリングなど、オムニビューティーコンサルテーションの実施、デパート店舗アカウントでリーチを最大化するSNSの展開、シミュレーション機能やARを活用したアドバイス機能などが実現できます。これらのデジタルプラットフォームにより、これまでのビューティーコンサルタントが店頭でお客様を待つというスタイルから、デジタルを通じてお客様をこちらから迎えに行く力を手にすることができ、共感を生み出す場を構築することに期待が寄せられています。

データを活用したCRM強化
パーソナライゼーションやマーケティング改革をするには、顧客の嗜好・行動・価値観を学ぶ必要があります。店頭やオンラインで行った肌診断などの顧客履歴をデータベースに蓄積し、それを基にデータ解析によって時間や場所を自由に選択できるカウンセリングやレッスンのメニューを提案するなど、パーソナライズされたサービスをさまざまなタッチポイントで提供することが可能になります。アクセンチュアでは、これを実現すべくアナリティクスを活用した顧客分析などを通じマーケティング投資効率化など、さまざまな支援を提供しています。

EC支援
Eコマース(EC)強化はこれまでも海外拠点を含め、アクセンチュアと共に推進してきた施策の一つです。CRM強化でリピート顧客が増えるにつれオウンドコンテンツが増加の一途をたどるECサイト運用を、ニアショア・オフショアおよびアクセンチュアのアセットであるSynOps活用により、業務全体の効率化・高度化を進める支援をアクセンチュアにて提供してきました。 EC運用コストが下がったほか、従業員がより高度な業務に集中できる環境を整備することができました。

クラウド
さらにパーソナライゼーションに欠かせないデータ活用を下支えするべく、クラウドを活用したIT 機能の拡充と柔軟かつ迅速なシステム基盤を再構築しています。世界約 120 の国と地域で事業を展開する資生堂グループ全体の業務プロセスを標準化・統一化するために、アクセンチュアが持つノウハウやテクノロジーを活用し、グループ全体でクラウドベースの基幹システムを構築、会計や需給管理の刷新を行っています。これにより、IT 投資効率を高めるとともに、データを活用した全世界共通の経営情報の見える化、決算の早期化、在庫管理の高度化、事業スピードおよびビジネス判断の迅速化、グローバルレベルでの需給管理といった基幹業務プロセスの刷新をすすめています。

人材育成
時代の変化に迅速かつ柔軟にお客さまに対応するには、ITシステム構築を含めたデジタル対応の内製化が重要です。そこでアクセンチュアは、資生堂とともに求める人材像を詳細に定め、デジタル・ITの専門スキルを身に着ける教育を進める計画を策定しました。具体的には、IT領域で16の人材像、デジタル領域に14の人材像、計30の人材像を定義。2021年に全社員に対してスキルアセスメントを実施し、その結果に基づいてレベルを高めていく育成計画とプログラムを進めています。

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ビューティー体験を通した価値共創のためのDXと人材育成

資生堂インタラクティブビューティー
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成果―創出された価値

資生堂におけるこれらの取り組みのこれまでの成果として、新たなマーケティングモデルの基盤構築が整ったことが挙げられます。さらに長期愛用者創出という面では、日本国内において継続購入者の購入額が増加し、さらにECチャネルによる売り上げも伸長しています。

またITトランスフォーメーションを今後推進することにより、在庫管理や予測精度の向上など価値創出の実現に寄与し、さらにITコスト削減により、資生堂の営業利益目標達成に貢献していきます。

人材育成の面では、アクセンチュアが提供している人材育成プログラム後のアセスメント修了者数がすでに約250 名となり、従業員のスキル向上も進んでいます。

「アクセンチュアは、デジタルマーケティング分野はもちろん、上流のコンサルティングから下流の運用保守までトータルで対応しており、さらには 世界屈指の革新力と影響力を持つクリエイティブ・エージェンシーDroga5を展開するなど幅広い領域を網羅しています。今回、資生堂インタラクティブビューティーを設立するうえで、資生堂の全社的なパートナーシップとしてアクセンチュアが持つ様々なリソースを活用したいという狙いがありました」

— 高野 篤典氏, 資生堂インタラクティブビューティー 代表 / 資生堂 執行役員CITO

資生堂におけるデジタルを活用した事業モデルへの転換の加速を支援すべく、アクセンチュアは今後も、顧客体験、パーソナライゼーション、マーケティング、データ活用、AI、アナリティクス、業務刷新、IT、人材育成など様々な分野で協働し、新たなイノベーションを創出することで、同社のウエルネスビジネスを牽引する事業やサービスをともに生み出していきたいと考えています。

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