脱炭素はあらゆる企業の重要アジェンダに。グリーンITやエネルギーマネジメントへの取り組み
2021/03/05
2021/03/05
素材・エネルギー本部で実施しているウェビナ―第7回目の開催レポートをお届けします。本ウェビナーのオンデマンド視聴は、こちらの登録フォームからお申込みください。
菅内閣総理大臣が2020年10月の所信表明演説で「2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする」と語ったように、脱炭素社会の実現は国を挙げた取り組みとなっています。
サステナビリティは環境意識の高い層だけの課題ではなくなり、今や世界中のあらゆる企業が向き合うべきテーマとなりました。アクセンチュアにおいても、サステナブル化はグローバル化、デジタル化に次ぐ大きな変革の機会と捉え、ビジネスへの変革を支援しています。
アクセンチュアでは電力会社や石油会社といったエネルギー供給側の企業、エネルギー消費側の一般企業、自治体などに広く支援を実施していますが、今回のウェビナーではエネルギー消費企業にスポットライトを当て、近年の動向や事例などを紹介しました。
まずは金融財務面から脱炭素の取り組みの歴史を振り返っていきます。1990年代にノルウェーやスウェーデンなどの北欧諸国で初めて炭素税が導入され、炭素という存在が初めて金融市場に登場しました。また、炭素排出量のキャップ&トレード制度が制定され、企業の財務面に影響を及ぼし始めましたが、当時はまだ限られた企業だけの取り組みでした。
2010年代以降は脱炭素の動きが広がり、アメリカの主要州や北米、アジアでも炭素税が導入され、主要国に生産拠点を持つグローバル企業が対応をスタート。機関投資家も炭素の排出量を新しいリスクだと認識するようになりました。
そして2020年代の現在は、グローバルに広がった炭素への課金の枠組みが改めて見直されています。EUでは国境炭素税の導入が決定し、グローバルでも炭素税は上昇トレンドに。また、ESG対応企業への投資意欲も高まっています。もはや脱炭素は環境意識の高い層や一部のグローバル企業だけの課題でなく、日本企業も含めた、ほぼすべての企業が脱炭素に取り組むべきステージに入っているのです。
これまでの日本企業は製造コスト、輸送コストの最適化を目的としてサプライチェーンを設計してきましたが、国境炭素税の導入により、環境も考慮してサプライチェーンを再設計することが求められています。
カーボンニュートラルの観点から、IT関連のエネルギー消費を削減する「グリーンIT」の動きも高まっています。特に企業の省エネルギーにおいてクラウドは不可欠なものとなっています。
パブリッククラウドの市場は大きく成長を続けており、モダナイゼーションなどのIT投資は今後も伸びていくことが見込まれます。従来のクラウドシフトにおいては、コスト効率性やアジリティの獲得が主な目的でしたが、今後はカーボンニュートラルに向けたサステナビリティへの対応も必須項目になっていくでしょう。
カーボンニュートラルの実現に向けたクラウドシフトにおいて、アクセンチュアは3つの観点を提示しています。まずひとつはAWSやGoogle、Microsoftなどのパートナーから最適な「ハイパースケーラー」を選択すること。もうひとつは3段階のレベルに応じたクラウドの実現。最後に、クラウドベースでビジネスモデルを変革することです。
それでは、パブリッククラウドの活用により、どれほどの炭素排出量を削減可能なのでしょうか。アクセンチュアのリサーチによれば、オンプレミスからのパブリッククラウド化で炭素排出量を84%、電力消費量を65%も削減できることが試算されています。
また、具体的なクラウドソリューションを選定する上で、アクセンチュアは「myNAV」というツールを提供しています。「myNAV」は最適なクラウドソリューションの決定を支援するプラットフォームであり、グリーンアドバイザの機能を保有しています。グリーン・クラウドの観点から炭素排出量、電力消費量などの現状可視化を行い、パブリッククラウドへの移行でどの程度の炭素排出量を削減できるのかをシミュレーション可能です。
アクセンチュアは「Responsible Value Chain」というコンセプトのもと、「Trusted」、「NetZero」、「Circular」の3つの観点からバリューチェーンの変革を支援しています。 その中でもNetZero、つまりカーボンニュートラルの実現という文脈において、アクセンチュアはエネルギーマネジメントの改善から、温室効果ガスの削減やRE100(企業活動における自然エネルギー100%を推進する国際的ビジネスイニシアティブ)の推進といった抜本的なアプローチも行っています。
エネルギーマネジメントの改善について、アクセンチュアは現状の施設のエネルギー管理を先端技術によって最適化するソリューションを提供しています。高度なデータサイエンスとエネルギーマネジメントのエキスパートを組み合わせることで、膨大なデータを迅速に分析し、データドリブンでコスト削減領域を特定することが可能です。
NetZeroの事例としては、アジアの石油大手企業が設立した大学院大学の例が挙げられます。同キャンパス内では池にフローティングソーラー発電を導入し、大型蓄電池2基を設置。エネルギーの地産地消を実現しています。この事例のように、工場などの特定のエリア内でエネルギーを地産地消する動きは今後も広がっていくと想定されます。
ウェビナーで紹介させていただいたように、アクセンチュアはデジタルトランスフォーメーション推進と同時並行でサステナビリティ実現に向けた支援も行っています。本ウェビナーでは、より詳細な内容やその他の事例なども紹介されていますので、ご興味のある方はぜひオンデマンド版もご視聴ください。最新のウェビナー情報は、素材・エネルギ ー業界ウェビナーページをご覧ください。