調査レポート

概略

概略

  • 天候に左右されやすい再生可能エネルギーによる電力が増加する中、その不足を補い安定した電力供給を実現するために負荷制御が可能なエネルギー源の需要が高まっています。
  • 水力発電はインバランスサービス、負荷追従、ランピング等の機能によって電力系統の安定性と発電容量のバランスを確保することができます。
  • 水力発電事業者はエネルギー転換を実現するために、老朽化が進むインフラを整備し、デジタル技術を活用したデータをより活用する運用へと移行する必要があります。


デジタル時代の水力発電

世界中でクリーンエネルギーへの転換が進むにつれ、天候等自然状況による出力変動が大きな再生可能エネルギーによる電力供給の割合が増え始めています。

不安定な電力系統を安定させるためには、負荷制御可能なエネルギー源が必要です。再生可能エネルギーの中でも世界最古の歴史と規模を持つ水力発電は、負荷即応、大規模なエネルギー貯蔵力と柔軟性(フレキシビリティ)等、グリッドのレジリエンス向上に適した特性に定評があります。

しかし、多額の設備投資の必要性や環境に対する意識の高まりによって、新しい大規模水力発電所の開発は難しくなっています。水力発電事業者は、急速に変化するエネルギーミックスに対応するために、既存発電アセットを最大限に活用し、老朽化が進む設備を早急に刷新する必要があります。

水力発電事業者には、業界が現在直面している課題への対処とともに、将来的な成長と価値を見据え、デジタル化されデータをより活用した運用への速やかな移行が求められます。

水力発電と、天候等自然状況による出力変動が大きな他の再生可能エネルギー電源を組み合わせることで、持続可能なエネルギーの未来を確立することができるでしょう。

天候等自然状況による出力変動が大きな再生可能エネルギーを補完する役割としての期待と、デジタル化を通じた競争力の高まりによる新たなビジネス機会により水力発電事業は活性化しつつあり、老朽化が進む発電アセットの最新化の価値と最新化動向について注目が高まっています。

本調査レポートでは、大規模水力発電事業者と同分野の専門家から得たインサイトを含む一次および二次研究に基づいて、水力発電事業が現在直面している課題と更なる改善の余地を5つの主要テーマの観点から明らかにしています。

インタビューおよびケーススタディによる調査対象企業の7社は米国、ラテンアメリカ、南北ヨーロッパ、アジアで水力発電所を運営する事業者で、7社の発電設備容量を合計すると50GW以上に達します。

5つの主要テーマ

発電電力量の予測と最適化

デジタル技術により精度向上した発電電力量の予測と分析は発電電力量を最適化し、気象条件に対する脆弱性を低減する

発電アセット分析

電力業界においてデータ共有に対するオープンな意識を高め、故障モードや標準化データモデルに関する共通認識を図ることが、アナリティクスによる価値の最大化と水力発電の安全性に対する負の印象を低減するための鍵となる

業務プロセスの改善と自動化

デジタル技術を用いてO&Mの作業コストを下げ、業務の簡略化と安全性の向上を図ることで、他の発電方式に対する水力発電の競争力を維持する

コネクテッドワーカー

次世代型水力発電への転換にはデジタルスキルを有する従業員が不可欠である

サイバーセキュリティ

法令順守のみでは不十分。完璧なシステム/データ保護のための新しいアプローチが求められている

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他の再生可能エネルギー技術と同様に、水力発電もデジタル化によって競争優位性は大きく変化すると予想されています。再生可能エネルギーにおける最大の設備容量とエネルギー貯蔵量を持つ水力発電の中でも、特に揚水発電は風力と太陽光が大部分を占める電力市場で価値を拡大しつつあります。

水力発電の新しい技術は天然ガス火力のピーク電源や蓄電池との競争が見込まれる一方で、現行の設備や技術が持つメリットへの期待が高まっており、水力発電は適切な地理的条件下においてはエネルギーミックスのグリーン化推進に極めて有効なエネルギー源となるでしょう。

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