台頭する再生可能エネルギーが支配する時代への備え
2020/08/25
2020/08/25
フレキシビリティとは、電力の変動性と不安定性を管理して需要と供給をバランスさせる送配電系統の能力を指します。フレキシブルに管理するためには、「潜在的フレキシビリティ(タリフ)」、「ネットワークフレキシビリティ(スマートグリッド)」、「フレキシビリティサービス(蓄電、デマンドレスポンス、ジェネレーション)」の大きく3つの方法があります。本レポートでは、既存のフレキシビリティを活用して送配電系統にフレキシビリティサービスを提供するための、斬新なアプローチ事例を取り上げます。各アプローチは次の各ポイントにおけるエネルギー需給の不安定性に着目しています。
既存のUtility事業者だけでなく、大手自動車メーカーや商社、新興企業などの企業や団体が参画しています。新しい多様なアプローチとビジネスモデルにより、電力の購入と売電のシステム、リソース管理、送配電系統のアンシラリーサービス、電力のローカルバックアップサービス、需要家と供給者の連携、付加サービスなど、新たな仕組みやサービスが創出され、電力市場には様々な収益の源泉が生み出されています。
新たな送配電系統ではバリューチェーン全体のフレキシブルな需給管理が重要になります。
エネルギー市場で現在何が起きているのかを解き明かすため最適な35もの事例を厳選し、地域集約に向けて特化した大規模なグリッドスケールストレージに投資した場合と、Front-of -Meter(供給サイド)におけるDERと需要の管理を強化した場合の対比や、需要を集約してオフグリッド供給に投資している様々な領域の組織について検証しています。 アクセンチュアによる調査の結果、次の5つの重要な知見が明らかになりました。
進化を続けるエネルギー市場における電力事業者は、市場全体の動きを注視する必要があります。複数の試験事業を実施してコンセプトやテクノロジーを検証し、「追求すべき収益の源泉は何か」「成長戦略のカギとなる投資は何か」を理解する必要があります。また、新たなアプローチには新しいケイパビリティが必要となります。自らの強みを磨くとともに、最適なビジネスパートナーを選び、協働することが重要になります。電力企業、T&D(発電/送配電)企業、電力小売事業者は、戦略の策定にあたって次の重要な成功要因を十分に考慮しなければなりません。
すべてのプレーヤーが考慮する必要がある重要な要素はそれほど多くはありません。迅速な変化を前提にして市場全体の動きをトラッキングすること。実施する試験運用は目的とする価値プールで実現可能なものであること。大きな賭けとなる投資と試験運用によるニーズを明確に区別すること。市場変化の最大の要因である消費者に寄り添うこと。そして最後が、パートナーシップやアライアンスによって協働体制を整えることが重要になります。