消費者が真に求めているパーソナライゼーションとは
2019/09/17
2019/09/17
「消費者はパーソナライゼーションを求めている」と一般的には思われていますが、果たしてどこまで本当でしょうか?私たちは真実を最もよく分かっている人、つまり当の消費者に尋ねてみました。
私たちは自動車業界が今後解決するべき5番目の課題として、パーソナライゼーションに着目しています。そこで消費者が真に求めているものを問う初の調査の1つとして、今回7,000人の消費者を対象に車内パーソナライゼーションをどの程度重視しているかについて聞きました。
調査結果は高級車オーナー、大衆車オーナー、非所有者の3つの所有者カテゴリーに分けてまとめ、以下がその主な結果です。
高級車オーナーの約15%が、パーソナライゼーションの有無を自動車購入時の主な選択基準に、11~15%(市場により異なる)がカーシェアリング時の主な選択基準に挙げました。
大衆車オーナーの8~11%が、パーソナライゼーションの有無を自動車購入時の主な選択基準に、8~10%がカーシェアリング時の主な選択基準として挙げました。
非所有者では、自動車購入時にパーソナライゼーションの有無を気にする人がさらに減る一方(4~9%)、カーシェアリング時に気にする人は11~12%とやや増えています。
自動車購入時の16種類の選択基準の中で、パーソナライゼーションの有無を上位3位に挙げたのは高級車オーナーの15%にとどまりました。これは米国、ヨーロッパ、中国のすべてに共通する結果です。カーシェアリング時の割合は、米国とヨーロッパで13%、中国で17%となっています。自動運転モビリティ・サービス利用時について見てみると、パーソナライゼーションへのニーズは米国で11%に落ちる一方、ヨーロッパでは15%、中国では17%と上昇します。
自動車購入時にパーソナライゼーションの有無を重視する大衆車オーナーは、米国ではさらに低く8%となり、中国でも11%にとどまりました。カーシェアリング時では、米国は8%、中国は10%となっています。また、自動運転モビリティ・サービスの利用時では、米国、ヨーロッパともにパーソナライゼーションの有無を選択基準の上位3位に挙げた大衆車オーナーは8%にとどまる一方、中国では12%に上昇します。
このカテゴリーではパーソナライゼーションの重要度はさらに低くなり、米国の非所有者で自動車購入時の選択基準の上位3位にパーソナライゼーションを挙げたのは、わずか4%のみです。この割合はヨーロッパで6%、中国で9%とやや上昇しました。また、カーシェアリング時にパーソナライゼーションを重視する割合は、米国で11%に上昇する一方で、ヨーロッパでは7%、中国では9%と横ばいでした。自動運転モビリティ・サービス利用時にパーソナライゼーションを重視する割合は、米国では11%、ヨーロッパでは8%となり、中国ではまたもや12%と最も高い数字を示しました。
具体的にどのような車内パーソナライゼーションのオプションが自動運転車にあってほしいかを尋ねたところ、乗車スペースを広くできるオプションと、走行中にリラックスできるオプションにニーズがあることが分かりました。
Interior preferences in autonomous vehicles
現在のところ、自動車メーカーの多くは内装のパーソナライゼーション(個々のシート調節、温度調節のパーソナライゼーションなど)に多くのリソースを投じ、これを主な差別化要因と見なしています。ところが、パーソナライゼーションの重要度は高級車オーナーと大衆車オーナーで大きく異なり、すべての消費者で意見が一致しているのは完全自動運転車/セミ自動運転車における「パーソナルスペース」と「リラックスしやすい内装」の2点のみです(回答者の50~60%が重視)。また、高級車オーナーは自動車購入時およびモビリティ・サービスを選ぶ際、車内の各種設定をパーソナライズできるかどうかを重視しており、この点を選択基準の上位3位に挙げた回答者は13~17%です。
自動運転モビリティ・サービスが実現した際には、「パーソナライゼーション」に対する消費者の認識は変化するとみられます。将来的に自動運転車が実現した際の車内パーソナライゼーションに対するニーズは今のところ主に利便性(シートの自動調節など)ですが、いずれはユースケースに関するパーソナライゼーションへと重点が移っていくと予想されます。
「パーソナライゼーション」を選択基準の上位3位に挙げる高級車オーナーの割合は、今のところ13~17%にとどまっていますが、今後はパーソナライゼーションが高級車ブランドを選ぶ上で大きな決め手となる可能性があります。特に利便性に関わるパーソナライゼーションは、自動車を所有する際にも、アズ・ア・サービスで利用する際にも、引き続き重視されるはずです。つまり、パーソナライゼーションに対してメーカーが現在行っている投資は妥当であり、各社の差別化を後押しすることになるでしょう。
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