調査レポート

概略

概略

  • カーシェアリング・サービスは世界中で人気が高まりつつあります。その影響から、自動車販売ビジネスの未来に関するいくつかの疑問が浮かび上がっています。
  • 私たちの調査では、現時点では消費者のほとんどが今後も自動車を所有したいと考えていることが分かりました。ただし、この考え方はいずれ変化するとみられます。
  • 自動運転車が実用化した際には、自動車を所有せずにモビリティ・サービスを利用する消費者が全体の約半数に上ることを、自動車メーカーは予測しておくべきです。


現在の認識:自動車を所有したいと考えている消費者は多い

現在の認識や一般通念は、「消費者は依然として自動車を所有したいと考えている」というものです。しかし、この認識はどの程度正しく、またいつまで通用するのでしょうか。自動車分野以外の購入とレンタルの傾向について見てみると、消費者は依然として所有したがる傾向があります。たとえば、自転車のレンタルサービスは世界中の都市にありますが、サイクリストの多くは自転車を所有しつつ、レンタルサービスも利用しています。つまり、レンタルは所有に代わるものではなく、所有を補うものだと言えます。

では、自動車業界の実態はどうでしょうか。実態を明らかにするために、私たちは米国、ヨーロッパ、中国の7,000人の自動車所有者、非所有者に調査を実施しました。

アクセンチュアの調査:市場セグメントごとに異なる結果

地域ごとの差異が明らかに

48%

自動運転技術を使ったモビリティ・ソリューションを利用できるのであれば、自動車を所有しないことを検討すると回答した人の割合

7,000人を対象にしたこの調査では、自動車所有者の48%が自動運転技術を使ったモビリティ・ソリューションを利用できるのであれば、自動車を所有しないことを検討すると回答しました。ただし、この割合は中国、米国、ヨーロッパで大きく異なります。以下のセクションでは地域ごとの差異をまとめながら、自動車メーカーがなぜ今後モビリティ・サービスを自動車販売に代わる有効なビジネスとして位置付けていく必要があるのかについて、その理由を解説していきます。これは特に高級車のカテゴリーに当てはまることであり、メーカーには早期の行動が求められます。

今後の見通し

調査では、自動運転車が実用化する未来を前提に、自動車の所有についてどう思うかを尋ねました。調査は米国、中国、ヨーロッパの消費者を対象に行い、結果については高級車オーナー、大衆車オーナー、非所有者の3つのカテゴリーに分けてまとめています。調査結果、結果の考察、アクセンチュアからの提言は以下の通りです。

所有カテゴリー別の結果

将来、自動車を所有したいと思っている層は?

高級車オーナー

高級車オーナーは、将来においても自動車を所有しているとみられます。回答者の98%が、今後も自動車を所有するだろうと回答しました。

大衆車オーナー

大衆車オーナーも自動車を所有することに前向きで、回答者の96%がこれからも自動車を所有するだろうと回答しました。

非所有者

興味深いことに非所有者も、将来的に自動車を所有するとみられます。回答者の79%が、今後は自動車を所有するだろうと回答しました。

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自動運転車が実現した将来においても、自動車を所有するだろうと回答した人の割合

非所有者 高級車オーナー 大衆車オーナー
米国 86% 97% 95%
ヨーロッパ 66% 97% 94%
中国 91% 99% 99%

自動車の所有をやめる消費者層は?

高級車オーナーの半数以上が、将来的にモビリティ・サービスの利用を検討。米国では高級車オーナーの39%が、自動運転モビリティ・ソリューションを利用できるのであれば、自動車を所有しないことを検討すると回答しました。この割合はヨーロッパでは55%にも達します。また、中国ではこの割合は78%と3つの地域で最も高く、米国との差は39ポイントに上ります。

61%

高級車オーナーで自動車の所有をやめるだろうと回答した人の割合。

43%

大衆車オーナーで自動車の所有をやめるだろうと回答した人の割合。

大衆車オーナーでは所有しないことを検討する人の割合が低い。 米国では、自動運転モビリティ・ソリューションを利用できるのであれば、自動車を所有しないことを検討する大衆車オーナーは全体の21%にとどまります。高級車オーナーとの差は18ポイントでした。一方、ヨーロッパでは大衆車オーナーの41%が所有しないことを検討し、高級車オーナーのとの差は14ポイントです。また、中国では大衆車オーナーの69%が所有しないことを検討するとし、高級車オーナーとの差は11ポイントにとどまりました。

アクセンチュアの考察

モビリティ・サービスに顧客を奪われるリスクが高い

今回の調査結果から、自動車が「所有するもの」から「モビリティ・アズ・ア・サービスとして利用するもの」にシフトすることは、不可避であると結論付けられそうです。モビリティ・サービスの新たなプロバイダーが成熟したサービスを提供できるようになれば、顧客を奪われるリスクは高まるでしょう。

モビリティ・サービスの新たなプロバイダーが成熟したサービスを提供するようになれば、顧客を奪われるリスクは高まるでしょう。

大切なのは、将来的な価値を生み出す機会を正しく見極めて、それらの機会を生かすための投資を正確に予測することです。たとえば、「モビリティ・サービスに乗り換えることに前向きな顧客をモビリティ・サービス・プロバイダーに奪われるリスクを認識しつつ、それでもなお自動車販売ビジネスを継続することには意味があるのか?」といった問いについて考えてみる必要があります。

アクセンチュアの提言

代替案へのシフトを十二分に検討する

自動車メーカーは、所有モデルの代わりとなる新しいビジネスモデルへのシフトを、十二分に検討するべきです。既存顧客を失いたくないのであれば、代替案を試してみる程度では不十分です。

米国

米国の消費者の大半は、依然として自動車を所有したいと考えています。従って、米国では自動車メーカーは当面の間、自動車販売とアフターセールスに注力して、将来的にはモビリティ・サービスの提供を開始するべきです。

ヨーロッパ

米国の消費者同様、ヨーロッパの消費者も依然として自動車を所有したいと考えています。 ただし、ヨーロッパの消費者の方がモビリティ・サービスへの乗り換えにやや積極的です。自動車メーカーはなるべく早い段階でモビリティ・サービスにシフトする準備を開始するべきです。

中国

中国の自動車メーカーは、すぐにでもモビリティ・サービスへのシフトを積極的に推し進める必要があります。中国では消費者の圧倒的多数が、すでに自動車所有からモビリティ・サービスに乗り換えることに前向きです。

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高級車メーカーへの提案

全体的に米国、ヨーロッパおよび中国の高級車オーナーは、自動車の所有を見直すことにかなり積極的と言えます。いずれの市場においても、高級車の既存の顧客基盤は所有をやめることに前向きのため、このセグメントでは行動を起こすべき緊急性は高いと結論付けられます。様子をうかがっている暇はありません。



著者について

Axel Schmidt

Senior Managing Director, Lead – Global Automotive


Juergen Reers

Managing Director – Mobility X.0 Lead


Alexander Huber

Managing Director – Automotive


Daniel Tegtmeyer

Senior Manager – Automotive


Tobias Kruse

Business Design Director – Fjord, Regional

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