研究报告

概略

概略

  • モノづくりの業界では、製品価値の源泉が「メカ・電子部品」から「デジタル」へと移り変わっています。デジタルテクノロジーは企業の競争優位性や収益構造に影響を及ぼす変革要因となっています。
  • GoogleやAmazonといった「デジタルを起点とするプレイヤー」は、フィジカル(物理)へ進出し、ビジネスを拡大しています。こうして、ハードウェアメーカーとの協業が加速する一方、メーカー側もマインドセット変革などに迫られています。
  • 各業界リーダーがプラットフォームの構築を推進しており、自社ビジネスの成長の機会を手にしています。企業の経営幹部の81%が今後3年間でプラットフォームベースのビジネスモデルが中核となると回答しています。
  • プラットフォーム管理とアプリケーション管理は全くの別物です。プラットフォーム管理には、そのためのスキルや技術、手法が求められます。「プラットフォーム・ファースト」へシフトするには、「8つの要諦」が必要であることがこの調査によって明らかになりました。


製品価値の変化――メカからデジタルへ

昨今、デジタルテクノロジーの伸長にともなって「製品価値」の源泉がかつてのメカや電子部品から、ソフトウェアとデジタルテクノロジーへと移り変わっています。

デジタルテクノロジーによる製品価値とは、AIやデータ分析の活用に基づく新たな付加価値を示しています。これらを源泉とする価値は今日では製品価値の半分を占めると言われており、アクセンチュアの調査によると、将来的には90%を占めるまでに拡大すると予測されています。

このように、デジタルテクノロジーは企業の競争優位性や収益構造に影響を及ぼす大きな変革要因になってきているといえるのです。

すでにサーバーやストレージといったエンタープライズコンピューティング製品の世界では、機器そのものはコモディティ化が著しく、市場における競争優位の源泉がデジタル技術の活用を含めた提案力へとシフトしています。

図1:メカからデジタル・テクノロジーへのバリューシフト

フィジカル領域へ進出するデジタルプレイヤー

GoogleやAmazonといった「デジタルを起点とするプレイヤー」は、デジタルプラットフォームを強みとしてビジネスを急速に成長させてきました。しかし、現在こうしたプレイヤー(プラットフォーマー)は、自社のデジタルテクノロジーやエコシステムを活用しながらフィジカル領域へと進出することで、さらなるビジネスの拡大を進めています。

デジタルサービスにおいても、エンドユーザーが接する最終的なインターフェイスはフィジカル、すなわちハードウェアです。デジタルを起点として成長してきたプレイヤー群も昨今はハードウェアの重要性を認識し、ハードウェアメーカーとの協業に乗り出しています。しかし仕事の進め方の違いや価値観の相違などがハードルとなり、多くのケースではギャップの解消に苦心しています。

一方で、ハードウェアを生業としてきたプレイヤーの側にも課題が山積しています。デジタル・ディスラプションの波は、メーカー各社が培ってこなかった新たなケイパビリティの獲得や、マインドセットの変革を否応なく迫っているからです。

従来の“伝統的”製品は、「単体」で利用が完結するものでした。しかし製品のコネクテッド化やインテリジェント化によって、製品とサービスの連携による新たな付加価値が生まれます。その結果、利用シーン含むワークフローや生活の流れそのものをデザインできるようになりました。

いわば、デジタルテクノロジーの伸長にともなって、“デザインする対象”が変化したといえるでしょう。すなわち従来の「モノ」から「コト」へ、そして「場」のデザインへと製品の作り方や提供価値が大きく様変わりしているのです。

図3:スマートプロダクト・サービスの格子

「デジタル×フィジカル」による開発
コラボレーションによる相乗効果

ハードウェア業界のメーカー各社は現在、デジタルプラットフォーム型の製品開発へと大きく舵を切りつつあります。

その根底にあるコンセプトは「コラボレーションによる価値創造」です。その本質は「デジタル企業 VS. フィジカル(ハードウェア)企業」という競合的な対立構造でも、「デジタル+フィジカル」という単純なアドオン型の付加的要素でもありません。すなわち「デジタル×フィジカル」という相乗効果(シナジー)で革新的な真の付加価値を創出していくことが求められているのです

現代は大きな転換期(ピボット期)にあるといえます。その転換とは、コラボレーションによる協創で新しい価値を提供することが「当然のこと」として製品開発現場や市場、そして市民生活に浸透していくことです。

自社に閉じた垂直的な開発は、すでに過去の開発スタイルであるといえます。「他社協業」「オープン」が現代の製品開発のキーワードです。多数のユーザーに利用されることや、すべてのステークホルダーの関与が新しい「開発の場作り」になります。

プラットフォーム型の製品開発にともなう
エンジニアリングに求められる変化

「次世代型モノづくり」ともいえる、コラボレーティブな製品開発・製造や、プラットフォームのエンジニアリングにおいては、まったく新しいケイパビリティが必要となります。それは、これまでメーカー各社が得意としてきたモノづくりR&Dの取り組みとは異なるものです

この新しいモノづくりでは、一例として次のような戦略や開発手法を活用します。

  • MVP(Minimum Viable Product:実用最小限の製品)
  • スプリント計画
  • アジャイル開発
  • APIやマイクロサービス指向のソフトウェアアーキテクチャ
  • DevOps
  • エコシステム構築

デジタルプラットフォーマー各社はこれらの仕組みやノウハウを日々蓄積しており、プロダクトマネジメントとして改善・洗練化させているのがトレンドです。

図4:製品・サービスの コネクテッドモデル
アクセンチュアではプラットフォームベースのビジネスモデルで成功を収めている企業のプロダクトマネージャーにインタビューを行いました。そして、昨今のプラットフォームと従来のアプリケーションマネジメントにおける、一見して些細ではあるが重要な差異についての理解を深めました。その結果、プロダクトマネージャーが「プラットフォーム・ファースト」へシフトする為に求められる8つの要諦が明らかになりました。 (レポート本文より)

コラボレーティブな製品開発の本質

デジタル側とフィジカル側、ギャップを乗り越えてコラボレーションを実現するために必要なこととは何でしょうか。

現在、社会的に進行している破壊的イノベーションの本質は、単体商品/サービスのみによるイノベーションではなく、プラットフォーム上に様々な成功サービスを積み上げた結果として起きている社会的変化・消費者体験の変容です。

その「成功サービスが積み上がっていくプラットフォーム」とは、どのようなものなのでしょうか。アクセンチュアではその要諦を調査すべく、デジタルプラットフォーマー各社のプロダクトマネージャーへインタビューを重ねました。そこから得られた要諦は、8項目に整理できることが判明しました。

プラットフォーム・プロダクト・マネジメントおける8つの要諦

自社のモノづくりをデジタルプラットフォーム指向で進化させていくための示唆として、「プラットフォーム・プロダクト・マネジメントにおける8つの要諦」を紹介いたします。

  1. エコシステムを構成する多様な人々に対するエンパワーメント
  2. コア・インタラクションの理解
  3. パブリックAPIで規模拡大を図り、プライベートAPIでプレミアムかつ安全なアクセスを提供
  4. マイクロサービス・アーキテクチャへの影響
  5. 長期的な持続可能性と短期的なトレードオフ
  6. プラットフォーム更新時は、長期的な展望を重視
  7. 独自のプラットフォーム収益化モデルを探求し、最適化を図る
  8. 「プラットフォーム・ファースト」な開発文化を醸成

上山 雄一

通信・メディア・ハイテク本部
シニア・マネジャー


藤田 絵理子

通信・メディア・ハイテク本部
シニア・マネジャー

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