アクセンチュア通信・メディア・ハイテク本部では毎年デジタル消費者調査をグローバルレベルで実施し、そこから得られる知見を日本市場向けに展開しています。*1 2018年の本調査によると、昨今の主なデジタル消費者は、リアルとデジタルが最適に融合しパーソナライズされた顧客体験を期待しているという結果が出ています。

その体験を提供する新たな接点として現在日本でも急激に普及し始めているのが、スマートスピーカーです。利用者は、自分の状況・意向に応じた対応をしてくれる音声アシスタント機能を高く評価していることが調査から見て取れます。実際、デジタル消費者調査では、スマートスピーカー所有者の2/3が、スマホの利用が減ったと回答しています。スマートスピーカーの利用者は、話しかけるだけで自分に最適化された音楽がチョイスされたり、いちいち文字を打ち込まずして容易に調べたいことが検索できるといった点に、とくに利便性を感じています。

調査ではこのほか、「シンプルで魅力的なオンデマンド動画体験」、「拡張現実や仮想現実(AR/VR)体験」、「自動運転」などもカバーしました。動画配信に関しては、視聴者は見たい番組を見たいところだけ視聴する傾向があり、自分に合わないコンテンツを提示されることや見たいコンテンツを探し当てる作業に大きな負荷を感じているようです。日本は特に、見たいコンテンツにしかお金を払いたくないという傾向が強いようです。

また、AR/VRに関してはゲームの用途以外として一番高かったのが旅行や勉強、服の試着、家庭用品や家具を買うときのシミュレーション、スポーツイベントをライブ体験したいといいったことへの興味が高いようです。詳細はアクセンチュアデジタル消費者調査2018をご覧ください。

デジタル消費者調査では、下記3点が今後の企業のマーケティングおよびビジネスの成功の要諦と示唆しています。

  1. リアルとデジタルを融合した新しい顧客体験の構築
  2. 機能差ではなく、パーソナライズすることによる高い価値提供
  3. 顧客体験全体を踏まえたマネタイズポイントの設計

この傾向はBtoB領域でも同様で、デジタル化により、現在企業の購買は営業に会う前にWeb上で情報を収集し、実際に営業に会う時点では、すでに購買意思を固めています。これまで製造メーカや売り手を信用していた企業の購買担当者は、検索などで自分のニーズに限りなく近いものを選別できるようになっています。実際購買プロセスのデジタル化により、顧客の三分の二は営業と対面する前に購買意思決定を固めているというデータもあります。今後、このトレンドは急速に拡大していくと見込まれています。
*2

データから見て取れるように、顧客の情報入手手段はすでにウェブ・デジタルへシフトしています。にもかかわらず、自社サイトの充実やデジタルマーケティングへの正しいアプローチに関して多くの企業が試行錯誤しています。

現在BtoBサービス業の38%、そしてBtoB製造業においては30%の企業がデジタルマーケティングへの取り組みを開始しています。デジタルマーケティングにおける成果について、成果を上げていると答えたB2Bサービス業は50%、BtoB製造業に至っては22.6%にとどまるという調査が出ています。

一方顧客のデジタル化に答えるべくあらゆるデジタルマーケティング・テクノロジーが生まれています。

*3

進化し続けるテクノロジーの目利きと取り込みは、わがまま化し続けるユーザーのニーズを満たすために不可欠ですが、これを実現するには正しく顧客と向き合うセールス&マーケティング戦略と、テクノロジーを活用する知見の融合が必須です。

多くのB2B企業でデジタルマーケティングの成果が出ない要因は様々です。営業が求めるリードの条件をマーケティングが捉えられていない、マーケティングと営業の活動が連携しきれていない、など縦割りな企業文化によるところも多くみられます。そうした部門を適切なツールでつなぐのは有効ですが、ツールが個別最適で導入されると必要な機能が網羅できない場合もあります。最初のステップとして最低限のツールセットを導入し、それを拡張するとうまくいくケースが増えています。また、営業とマーケティング部門で、求めるリードの質のずれがないよう、売上目標から逆算し、そのために営業がどのようなリードをどれくらい必要なのかを算出したうえで、それをターゲットするマーケティング施策を計画するなども有効です。

これからのB2B企業の成長には顧客体験のコントロールが今まで以上に重要となります。デジタル化による創造的破壊、消費主義の拡大、新サービスの登場により、B2B顧客へのアプローチがより困難になっていることは明らかで、アクセンチュアストラテジーの調査によると、顧客の90%が売り込み営業に応じることはない、さらにB2B取引の61%がオンラインで行われるようになっているという事実もでています。さらにB2B企業幹部の71%が、B2B取引においてもB2C(企業対消費者間取引)並みの素早い応答や複数のチャネルを横断する一貫した体験、24時間365日対応などを望む顧客は増加していると回答しています。これらの変化を認識しているにもかかわらず、半数近く(49%)が、顧客の求める最先端の体験を提供できていないと答えています。このギャップが最も顕著に出たのが日本で、B2C並みの体験を望む顧客が増加していると回答した割合は、調査対象国中最高の78%であった一方で、顧客の求める体験を提供できていないと答えた割合も65%と、対象国中最も高くなっています。*4

メジャーになってきたデジタル思考の顧客を取り込むにはこのギャップ埋めないと生き残れない環境が迫っていること、言い換えるとデジタルマーケティングをうまく活用した企業が勝者となり、継続して成長することができるということだと考えています。そこに向けてまずは、自社の持っている仕組みやケイパビリティを客観的に診断することから始める必要があります。

デジタルマーケティングや最適なセールス&マーケティング戦略は、これからのB2B企業の生き残りを決める重要なプライオリティとなっています。アクセンチュアでは、顧客体験競争時代を乗り越えていくための具体的なご提案を日々おこなっております。

*1出所
2018年版アクセンチュアデジタル消費者調査は世界19か国の消費者21,000人(14歳から65歳以下)に対して行われ、デジタル機器に対する消費者の認知度やコンテンツとサービス、購買パターン、各サービス事業者に対する好みと信頼度、およびコネクテッド(インターネットに接続された)なライフスタイルの未来などを数量化しています

*2出所
Harvard Business Publishing社 Harvard Business Review “The End of Solution Sales”
July 2012/Accenture B2B Customer Experience Research,2017/Google and CEB, The Changing Face of B2B Marketing(N=3000人)

*3出所
1, Marketing Technology Landscape Infographic
2, Marketing Technology Landscape Supergraphic(2014)
3, Marketing Technology Landscape Supergraphic(2018)

*4出所
「B2BCX―企業間取引における顧客体験調査2017(B2B Customer Experience 2017)」

矢野 一路

通信・メディア・ハイテク本部

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