ソーシャル志向のゲームを求める新たな波が、業界の成長を次の段階へと導く

ゲーム市場は、映画と音楽を合わせた市場を凌駕し、拡大の一途をたどっています。ゲームは、世界中のあらゆる地域・年齢層から支持されており、ゲームのプレイ時間はますます長くなり、ソーシャル活動やコミュニティ活動としての側面も強まっています。この成長がどこまで続くかは、まだまだ未知数です。

このような市場の拡大は、デベロッパー、ディストリビューター、コンテンツ制作者、ゲームプラットフォーマーなど、ゲームのエコシステムの中で活動する多くの事業者にとって大きな意味を持ちます。ここでは、急速に拡大するゲーム業界の収益源や、成長の原動力、ゲーム業界の人口構成の変化や、ゲームのソーシャル・インタラクションの重要性の高まりについてご紹介します。

まず、いくつかの数字について考えてみましょう。

  • 2021年の全世界の推定ゲームプレーヤー数:27億人
  • YouTubeのゲームインフルエンサー上位10人の登録者数:4億500万人
  • ゲーム産業の直接的・間接的価値(アクセンチュア試算):3000億ドル強
これらの数字はすべて、コミットメントできる企業にとってのビジネスチャンスに他なりません。

ゲームの爆発的な成長について探る連載(全三回)の第一回目となる今回は、ゲーム業界を牽引する要因、急成長が生み出す課題、そしてゲーム会社が今後のビジネスチャンスと課題をどのように乗り越えてくべきかを考察しています。

映画と音楽を合わせた市場よりも大きいゲーム業界は急速に成長が進んでいます。パンデミックで人々が家で過ごす時間が増えたことで、その勢いはこれまで以上に加速しています。

アクセンチュアの推定では、ゲーム産業全体の価値は既に3000億ドルを超えています。この内訳は、ゲーム機、ソフトウェア、サブスクリプション、ゲーム内課金、モバイル広告収入などの直接的な価値2000億ドルと、モバイル機器、ゲーミングPC、周辺機器、ゲーム関連コミュニティなどの間接産業から得られる価値1000億ドルから構成されます。

1,000億円超の影響力を持つゲーム

Source: IDC and Accenture analysis.

ゲームの経済的な広がりと影響

ゲームがエンターテインメントや文化に与える影響も大きく、映画のヒット作、アリーナでのトーナメントや玩具など、多岐に渡っています。また、ゲームから生まれたイノベーションは、医療や防衛、企業のトレーニングや教育など、他の分野でも広く活用されています。実際、Robloxプラットフォームで最も急速に成長しているものの1つが、K-12教育(幼稚園年長~高等学校卒業まで)です。

ゲーミフィケーションは、バッジ、ポイント、ランキングといったゲームデザインの主要要素を用いて、ユーザーを教育し、エンゲージするもので、多くの産業に広く取り入れられています。一方で、ゲームプラットフォームは、プレイヤーが出会い、交流し、ライブストリーミングイベントや音楽を視聴し、買い物をすることができるデジタルソーシャルプラットフォームへと進化しています。

この大きな成長の原動力は何か?

世界的なスマートフォンの普及は、ゲームの世界に新たなプレイヤーをもたらしています。そして今後もモバイルは、数年前までは存在しなかったゲームの新しい可能性をもたらし続けるでしょう。

ただし、コンソールゲームやPCゲームという既存市場と共食い状態になるのではなく、ゲームの社会的側面を強調することで業界は適応しています。結果として、さまざまなグループがオンライン対戦に参加するなど、新たなレベルのエンゲージメントが生まれています。

たとえば、パンデミックの間、世界有数のレーシングドライバーがオンラインで対戦したり、チェスのトッププレイヤーがコミュニケーションプラットフォームであるDiscord(ディスコード)を採用したりする光景が見られました。業界リーダーは、ゲームはもはや製品中心の産業ではなく、カスタマーの体験を最優先する継続的なサービス志向のビジネスとして捉えています。

ゲーム産業がその可能性を最大限に発揮するためには、今後数年間で見込まれる4億人の新規ゲームプレーヤーのニーズと、ゲーム業界で最も収益性の高い既存のゲーム愛好家の期待値との間でバランスを取る必要があるのです。

いつでも、どこでも

では、現在の27億人のゲームプレーヤーとはどのような人たちでしょうか?アクセンチュアは、ゲームプレーヤーの意識、ニーズ、モチベーションをより深く理解するため、最大のゲーム市場である中国、日本、米国、英国の4カ国において、4000人のゲームプレーヤー(週平均4時間以上プレイしている人)からデータを収集しました。これら4か国の市場は、世界の全ゲームプレーヤーの47%、ゲームに対する消費者の直接支出の64%に相当します。

ゲームの世界売上(億ドル)/ゲーマー数

Source: Accenture analysis.

その他、韓国、ドイツ、フランス、カナダ、イタリア、スペインなど、少なくとも14の市場で、消費者関連売上高は10億ドル以上となっています。また、ゲーム人気は他の地域でも急上昇しており、中南米、中東、そしてモバイルファーストを掲げる多くの東南アジア諸国で、その傾向が顕著に出ています。

新たなゲーマー像

アクセンチュアの調査によると、ゲームプレーヤーの大半が若い男性であるという固定観念は誤りであることが分かりました。主にモバイルの普及により、現在では、女性ゲームプレーヤー(46%)と男性ゲームプレーヤー(52%)がほぼ同数となっており、残り2%が性別不詳または未回答となっています。

ゲーマーの性別と経験年数

ゲームプレーヤーの21%は、ゲーム歴が4年以下で、こうした数億人の新規ゲームプレーヤーが、業界(特にモバイルゲーム)の成長を後押ししています。彼らはゲームコミュニティに参加すると同時に、コミュニティに変化を与えています。彼らは、年齢、性別、民族などの人口統計学的特性において、長年ゲームをプレイしてきた既存プレイヤーたちとはまったく異なります。

今日の新しいゲームプレーヤーの平均年齢は、5年以上プレイしている既存ゲームプレーヤーの35歳に対し、32歳と若い傾向があります。新規ゲームプレーヤーの30%が25歳未満であるのに対し、ゲーム経験者については21%となっています。また、新規ゲームプレーヤーの60%が女性であるのに対し、ゲーム経験者の中では39%にとどまっています。また、非白人の割合は、新規ゲームプレーヤーでは3分の1で一方のゲーム経験者では24%にとどまっています。

30%

新規ゲームプレーヤーで25歳未満の人の割合

ソーシャルゲームの世界へようこそ

人々は、コンソール機、モバイル機器、PCでゲームを楽しんでいます。ゲームジャンルの人気はデバイスによって異なりますが、ファーストパーソンシューティング(FPS)、ロールプレイング、マルチプレイヤーオンラインバトルアリーナ、バトルロイヤルゲームが最も人気です。半数以上のゲームプレーヤーが、クロスプラットフォームのゲームをプレイしたことがあると回答しており、経験者(50%)よりも新規ゲームプレーヤー(60%)の割合が圧倒的に多くなっています。

ただ、プレイ内容や使用するデバイスと同じくらい重要なのが、誰とプレイしているかということです。ゲームのソーシャル目的の利用も増えています。現に、84%の人が、同じ趣味を持つ人とのつながりを深めるためにゲームが役立つと答えており、新しい出会いを求めて利用されたりしています。コロナ禍では、さらにソーシャル目的の利用の重要性が高まり、ゲームプレーヤーの4分の3が、ソーシャルな交流の多くをゲームプラットフォームで行っていると回答しています。(パンデミック中、ゲームとソーシャル交流のプラットフォームとしてDiscordが大きく成長したことに注目してください)。 全体として、ゲームプレーヤーが友人と連絡を取り合う上で、ビデオゲームが重要な役割を果たしていると言えるでしょう。

ゲーマーとフレンドのつながり

「同意する」または「強く同意する」と答えた人の割合。

ゲームプレーヤーは平均して週16時間プレイし、週8時間はゲーム配信を見たり参加したりし、さらには週に6時間はゲームフォーラムやコミュニティで交流しています。決して、現実逃避をしているわけではなく、多くのゲームプレーヤーにとっては、この没入型の世界が現実と同じように存在するのです。ゲームと社会的交流との境界は、曖昧になりつつあります。

このようにゲームとソーシャル世界の共生が加速する中で、オンラインゲームの目覚ましい成長を支える重要な要因の一つは、ソーシャル・インタラクションであると言えます。ゲームユーザーの4人に3人(初心者、経験者を問わず)は、将来的にオンラインゲームでの体験がより大きな役割を果たすようになると考えているようです。

エンゲージメントのレベル vs オンラインゲームの経験

製品からサービスへ: 新たな付加価値を生むユーザー体験が勝利をもたらす

ゲームの爆発的な成長、幅広い層での利用拡大、ソーシャルな交流を求めるカスタマーの増加に伴い、ゲーム会社はユーザーエクスペリエンス(顧客体験)を重視せざるを得なくなりました。ゲームは今や製品ではなくサービスの一つであり、クロスプラットフォーム化やソーシャル・インタラクションが進むにつれ、ユーザーが何を見てどのような行動をとるかが大きなキーとなってきます。

社会的責任を果たすために設計されたゲーム

オンラインとソーシャルがゲーム体験全体を決定づけるようになると、ゲーム業界は、フランチャイズIPやコンテンツ中心のビジネスから、継続的なエンドツーエンドのサービスを提供するビジネスへの移行を加速させる必要があります。

ゲーム業界は、他のどの業界も追いつけない勢いで成長し続けるでしょう。しかし、次々と多様なゲームプレーヤーが参入する中、誰もが楽しめる体験の提供を実現するには、いくつかの課題も出てきます。

1 https://www.amraandelma.com/100-top-youtube-gaming-influencers/

著者について

古嶋 雅史

通信・メディア・ハイテク本部
メディアエンターテイメント統括
兼 デジタルビジネス統括
マネジング・ディレクター


平山 勝裕

ビジネス コンサルティング本部 コンサルティンググループ シニア・プリンシパル


Christian Kelly

Managing Director – Accenture Strategy, Software & Platforms


Seth Schuler

Managing Director – Software & Platforms Strategy


Paul Johnson

Senior Principal – Accenture Research

関連コンテンツはこちら

未来のメディア・エンターテインメント、スポーツ界の眺望をマッピング(英語)
クラウドプラットフォーム業界で成長を持続するために

ニュースレター
ニュースレターで最新情報を入手(英語) ニュースレターで最新情報を入手(英語)