概要

社会的な不平等に対する関心は2020年に急激に高まり、企業に「どう行動を起こすべきか」という難題を課しています。価値観の対立が深まる中、自社ブランドをどのようなストーリーで語るべきでしょうか?企業は実利と共感を融合した新しいアプローチを採用し、人々の生活の質を向上させることへの強いコミットメントを確実に伝える必要があります。

気候変動は近年大きな関心事となってきましたが、2020年には多くの人々にとって社会的な不平等が主要な問題の一つになりました。

いま起きていること

過去のFjord Trendsレポートで述べてきたように、人々は自分の働く先であれ、使う製品・サービスの提供者であれ、企業のパーパスや倫理観への関心を高めています。再び盛り上がりを見せたBlack Lives Matter運動と人種間の不平等に関する無数の激しい議論により、「特権」という言葉が一段と広く使われるようになりました。また、世界中で新型コロナウイルス感染症による影響があまりにも不平等であると感じられたため、富裕層と貧困層、高齢者と若年者、男性と女性、異なる人種の間に長年存在し続けてきた不平等に強く焦点が当たりました。

私たちは2020年のFjord Trendsで企業があらゆるステークホルダーのニーズを満たすことに関心を強めていることに言及しました。それが標準となりつつある中、ステークホルダーのマネジメントに関する課題(例えば従業員、顧客、あるいは株主それぞれの権利が剥奪されないようにするにはどうすればよいか)が脚光を浴びはじめ、自社のストーリーをいかに語るかがかつてなく重要になっています。

企業は今、二極化するストーリーをどのように扱うか、そして(いずれかを選ぶ場合は)どちら側を支持するのか、答えを出さなくてはなりません。不平等の解消が最優先事項として注目される中において、そのために自社が何をするか、ストーリーの中でどのように語るかが非常に重要です。一方で、ストーリーを語るための技術を習得することは近年のどの時代よりも難しくなっています。

次に起こること

共感は優れたデザインの基本です。共感は誰かのためにデザインする際にその人の内面に寄り添って理解することであり、ひいてはインタラクションやインターフェースをどのようにデザインするかの詳細を形作るものでもあります。問題は、企業が社会的問題に対する立場を明確にする場合、万人への共感を達成するのは極めて難しいということです。

今日の差し迫った懸案に対する最適な優先順位付けと対応方法について意見が対立することにより、緊張や分裂、そして権利の剥奪が生じかねません。またこうした状況が生じると、企業や個人は誤解を招きそうなストーリーを自らに言い聞かせ、それにより批判に対して弱くなってしまう恐れがあります。

この難題に対処するために、企業には2つの道があります。1つ目は、焦点を「社会全体」から「社会の中のより小さなグループ」に絞り込むことです。自社のパーパスに最も近いグループを優先的に選び、そのグループのためにすべき行動を決定しましょう。2つ目として、対立への対応を試みることもできます。例として、数か月のロックダウンに耐えられない小規模企業を支援するため無料のデジタルコマースプラットフォームを提供したeBayの行動が挙げられます。

長年にわたり、「デザイン思考」は意図せずして共感を人の話を聞くことと同一視させ、容易に実現できるものと思わせてきた部分があります。しかし共感は、単に人の話を聞くことでも一度限りの活動でもありません。共感は振る舞い方なのです。これは即ち、デザイナーはメッセージを形作るだけでなく、コミュニケーションの専門家と協働し、その伝え方や質を高めるための手段も検討しなければならないことも意味します。

企業は共感的であると同時に、実際にそのように行動していると見られなければなりません。しかし万人に常に共感的であることは不可能なため、「共感への挑戦」が必要となります。

Mark Curtis

Managing Director – Interactive, Head of Innovation and Thought Leadership


Martha Cotton

Managing Director – Interactive, Fjord Co-Lead, Global

Fjordからの提案

考えるべきこと

従業員もステークホルダーとして認識しましょう。そして従業員の大半を納得させる必要があります(100%は無茶な注文です)。そうするために、パーパスを一から作り上げ、共感については社外へのコミュニケーションよりも社内へのコミュニケーションを一層重視しましょう。従業員は企業の代弁者であり、企業のメッセージを広く伝えてくれます。

言うべきこと

関わるべきテーマをいくつかに絞り、自社とテーマの関わりを示しつつパーパスと整合させ語りましょう。混乱を避けるため、テーマは増やし過ぎないように。また、一種類の意見だけを果てしなく繰り返したり、社内に修復できない亀裂を生むような文化を作ったりしないように気を付けましょう。

するべきこと

デザインとコミュニケーションを融合させ、ブランドとしてのメッセージと行動に一貫性を持たせましょう。

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