調査レポート

概略

概略

  • オムニ・コネクテッドとは、物理的な場所に関係なく、仲間であると感じ、自分の居場所を感じられている状態です。従業員のオムニ・コネクテッド・エクスペリエンス(企業や同僚とつながりを感じている状態)と企業の収益向上には相関があることも分かっています。
  • 多くの企業は、自社の従業員が実際よりも組織や同僚とつながりを感じているだろうと考えています。しかし、実のところ企業と従業員との間には認識にギャップがあります。
  • オムニ・コネクテッドを実現するためには、信頼の構築、従業員が求めるニーズへの対応、そして従業員同士の関係構築を後押しする必要があります。
  • 従業員同士のつながりや企業文化を育てるための4つの重要アクションがあります。これらを実践している企業は、業績向上に加えて、離職率低減、業務効率向上を実現しています。


我々のスマートフォンやパソコンは常にONの状態ですが、一方で、真に人間的な意味での「つながり」を感じながら働いている従業員はどれほどいるでしょうか。

6人中1人

組織や同僚と強いつながりを感じていると回答した人の割合

5人中1人

意見の相違などの問題が発生したときにそれを同僚やチームメンバーに躊躇なく共有できると回答した割合

4人中1人

上司がチームメンバーと定期的にコミュニケーションをとり、自分のニーズに応えようとしている、チームメンバーが平等に扱われていると感じていると回答した割合

調査結果から、従業員のニーズに応え、信頼を構築できているのはほんの一握りであることが分かりました。つながりや良好な人間関係の構築は、企業のビジネス成長にとって非常に重要です。従業員が互いに、またリーダーや仕事に対して高いつながりを感じている企業は年間7.4%の収益成長率を達成できるとされています。1このメリットを享受している企業は、共通して「オムニ・コネクテッド・エクスペリエンス」を提供しています。

オムニ・コネクテッド・エクスペリエンスとは?

オムニ・コネクテッドとは、職場において、物理的な場所に関係なく、仲間であると感じ、自分の居場所を感じられている状態です。オムニ・コネクテッド・エクスペリエンスは、従業員の誰もが平等につながっていると感じられる体験をし、完全に参画できる場を提供します。誤解されがちですが、これは24時間365日互いにつながっている(Always connected)という意味ではなく、必要に応じて最適な形態でつながっている、という意味です。

企業文化と人材を最重要視する経営層

オムニ・コネクテッド・エクスペリエンスを重要視すべき理由は、経営層と従業員との間に、大きな認識ギャップがあるからです。

2020年1月から2022年4月にかけて行われた企業の決算説明会では、53%の企業が企業文化そのもの、またはパンデミックが企業文化に与える影響について議題にあげています2また、CEOの2人に1人が、ビジネス変革を推進するために人材を確保するための投資を行っていることも分かっています。3

一方で従業員サイドを見てみると、メンタルヘルスの不調、孤立、社会的混乱、格差の拡大、ウクライナ侵攻による世界的影響、サプライチェーンの混乱、インフレの上昇などにより、多くの人が必然的に仕事と自分との関係を根本的に見直しています。昨今、従業員の回復力は打撃を受けています。

従業員は新しい働き方を体験しているだけでなく、新しい世界を生きている。

従業員は新しい働き方を体験するのみならず、新しい世界を生きています。この状況を経営者は正しく認識しきれていません。企業文化を論じる際、未だに物理的空間や場所のことばかりを議論しがちであり、また我々の調査からは、リーダーが従業員のつながりの強さを2倍も過大評価していることが分かっています。つまり、多くのリーダーは職場で実際におきているつながりの喪失感を理解できていないのです。オムニ・コネクテッド・エクスペリエンスは、活気のある人間関係によって真に繁栄され、ビジネスの成果へとつながっていきます。

強力な企業文化を構築するメリット

アクセンチュアの調査では、職場でオムニ・コネクテッド・エクスペリエンスの恩恵を受けていると感じている人はわずか17%でした。オムニ・コネクションを実現した場合には下記のような効果が期待できます。

企業財務

オムニ・コネクテッド実現企業には、年間7.4%の売上成長プレミアムがあります。

信頼関係

オムニ・コネクションを体験した従業員は、組織やチームに対してより深い信頼を寄せる傾向が29%高くなります。

人材の維持

オムニ・コネクテッドであることは、従業員の企業残留意向の59%に関与します。

生産性向上

オムニ・コネクテッド・エクスペリエンスの恩恵を受けた従業員のうち、90%以上が「どこでも生産的に働ける」と回答しています。

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従業員の潜在能力を最大限に引き出すために必要なこと

従業員の潜在能力を引き出すにはまず、仕事において従業員が求めているニーズを認識することが重要です。 アクセンチュアのNet Better Off(正味幸福度の向上)フレームワークは、仕事における人の潜在能力の3分の2を引き出すために貢献する6つの人間のニーズを明らかにしました。Net Better Offは、オムニ・コネクテッド・エクスペリエンスの成功の最も重要な予測因子です。

Net Better Offは、仕事における人の潜在能力の3分の2を引き出すために貢献する6つの人間のニーズを明らかにしています。

多くの企業は雇用や金銭面に最も投資をしていますが、その他のニーズ、感情と精神、人間関係、目的意識の因子がもっと重要なのです。従業員が職場でNet Better Offを実現するには、インクルーシブであることに加えて精神的な回復力をサポートすることが不可欠ですが、企業が自分のことを気にしてくれている、と感じている従業員は4人に1人と、従業員が必要とするものとリーダーが提供するものとの間にはギャップがあります。

オムニ・コネクションを活用した企業文化の構築へのロードマップ

オムニ・コネクテッドな環境を通じて人とビジネスの価値を創造するために企業が取るべき重要なアクションがアクセンチュアの調査により明らかになりました。 調査は世界12カ国、1,100人の経営層と5,000人の従業員を対象に行われました。対象となった従業員は、現場で完全にオンサイトで働く者からハイブリッド、フルリモートで働く者まで様々な役割の人が含まれます。

オムニ・コネクテッド・エクスペリエンスによる価値創造を実現するための4つの重要なアクション

心理的安全が確保された場所でつながりを構築する:企業は、個々人が心理的に安全で尊重されていると感じられる職場を実現できるようリーダーの育成に投資を行う必要があります。従業員が声を上げたり、弱さを見せることに萎縮するようなことがあってはなりません。

透明性を高める:自分の仕事が組織目標にどのように貢献しているのか理解できなかったり、建設的フィードバックが得られないと、疎外感を生み、やがて大きな断絶を引き起こします。リーダーは、常にオープンで思いやりのあるコミュニケーションを心がけなければなりません。

聞き、学び、行動する:チームからの信頼を得るために、リーダーは個人の声にも集団の声にも耳を傾け、学び、行動することが必要です。あらゆる人の声に耳を傾けられるようなフレームワークを作り、その上で得られた洞察やアイデアを行動に移しましょう。リーダーが透明性をもって進捗状況やフィードバックに耳を傾け、行動していると従業員が理解すれば、信頼が生まれ、より多くの良いアイデアが生まれるでしょう。

パーパスと仕事を結びつける:従業員の日々の仕事が自社のパーパスにどのように合致しているかを理解することで、従業員はより意欲を持って働くようになります。従業員の成長に投資し、彼らの希望を実現する手助けをすることは、彼らの仕事の意味合いを明確に示すことでもあります。

自分らしさを大切にする:リーダーがオープンで、自分らしさを発揮できれば、チームとのつながりも強くなります。そのために、リーダーが従業員の意見を聞いたり、仕事を見てもらえるような安全な空間を作り、異なる考えや経験が重要であることを示す必要があります。リーダーは、メンタルを回復するためのリソースやツールを提供するだけでなく、自身の弱さを示し、セルフケアに専念することで、チームにも同じように行動してもらう必要があるのです。

場所を超えて、何を、いつ、どのように行うかを考える:場所の自由というのは柔軟性に関するほんの一要素でしかありません。柔軟に働くことが許され、最も生産的になるように自ら時間を管理する自律性を有していると感じる従業員は、調査対象の4分の1にも満たないのです。

柔軟性があるフレームワークを構築する:従業員がいつ、どこで、どのように働くかを明確に理解することはリーダー次第です。そこから、フレームワークを構築することができます。硬直した構造やヒエラルキーから脱却し、代わりに人と人とのつながりを中心に設計するのです。

「出勤する」ことの意味を再定義する:リーダーはチームが一緒にいる時間と離れている時間の両方の利点を最大化する方法を決定する必要があります。そして、そのためには先を見越し、さまざまなタイプの勤務地や勤務形態に対応できるようにデザインすることが必要です。そして、個人と同じように、組織全体が迅速にピボットできるようにしなければなりません。

強固なテクノロジー基盤を構築する:クラウドを活用してシームレスなテクノロジーとケイパビリティ基盤を構築した企業は、変化する従業員ニーズとビジネスニーズの双方に対応することができます。従業員がどこにいようとも新しい働き方ができるような、堅牢なテクノロジー基盤が不可欠です。

技術者のように考える:ツールやテクノロジーへのアクセスを付与したら、続いてTeamsZoomWebExなどのコラボレーションテクノロジーと優れたBluetoothヘッドセットで従業員スキルを高めることが必要です。従業員が技術者のように考え、データやツールを使って新しいプロセスやソリューションを発見することを奨励する必要があります。

今日のツールの先を見る:従業員が使えるテクノロジーツールを増やしている企業は、その効果を実感しつつあります。オムニ・コネクションを経験していると回答した調査対象者の86%が、「自社はテクノロジーとスキルセットのアップグレードし、新しい働き方を可能にしている」とも考えていることがわかりました。



現場で働く人たちはどうでしょうか?

医療従事者、スーパーの店員、配送ドライバーなど、現場の最前線で世界を動かす重要な労働者は27億人ほどいると推定されます。彼らは勤務地を選べないかもしれません。しかし使用ツール、福利厚生、スケジュールなど、彼らの仕事体験にもっと自律性を与えるために企業が柔軟に検討できることはあります。

オムニ・コネクションを取り入れることで、従来見過ごしていた柔軟性の高い役割やタスクの発見機会にもなります。一例として、元来完全にオンサイトで働くことが期待されていた研究室の従業員が、実験の記録やリサーチ結果の執筆など、特定の業務は研究所の外でも生産的に行えることがわかりました。

アクセンチュアの変革の歩み

アクセンチュアはオムニ・コネクテッド・エクスペリエンスを基盤に構築されています。

アクセンチュア自身、アクセンチュア自身、オムニ・コネクテッドが実現された環境の下で働く従業員のパワーを実感しています。以下は、我々が帰属意識とつながりを向上させるために行った取り組みの一部です。

  • 2021年、アクセンチュアは従業員から90万件以上のフィードバックを集めました。
  • その結果、上記に記したようなオムニ・コネクテッドを実現するための主要アクションが分かりました。
  • 従業員の情熱、インスピレーション、意欲を目の当たりにしました。一方で悩みや不安を感じているときには、早期に警告を発し、積極的に対処することができます。
  • チームのメンタルヘルス、帰属意識、時間の確保に関する取り組みも強化されました。
  • 従業員からのフィードバックの結果は全体だけでなく、地域や事業部単位でも確認できるため、個々の状況に合わせた迅速かつ効果的な対策が可能となります。

    アクセンチュア・ジャパンではこれらのフィードバックを活かし、従業員が日本全国どこに住んでいてもライフステージに応じてより柔軟かつ継続的な就業を可能にする制度であるロケーション フレキシビリティ制度の導入を行いました。既にこの制度を活用し、柔軟な働き方を実現している社員もいます。

アクセンチュアは、パンデミック下にも関わらず9ヶ月で新たな成長モデルを自社内で導入することに成功しました。2021年には過去最高の12万人を昇進させ、さらに10万人をアクセンチュアの従業員として迎え入れました。

オムニ・コネクションを創る

オムニ・コネクテッドな従業員体験は、成長、スピード、持続可能性というリーダー目標と、柔軟性、公平性、意義という従業員ニーズを共に満たすものです。実現にあたっては、信頼と価値を核にした構想と実行が必要です。これを好機と捉える企業は、戦略的に企業文化を強化し、従業員の潜在能力を引き出し、組織を前進させることができます。

多くのCEOにとってこの2年間は予測不可能で、多くの厳しい決断に悩まされたことでしょう。オムニ・コネクテッド・エクスペリエンスに向けた取り組みは、従業員と企業双方に永続的でポジティブな結果をもたらすもので、ためらうことなく推進すべき投資の1つです。

この調査について

アクセンチュア・リサーチは、スキルレベルを問わず5,000人の労働者と、1,100人のCレベル経営者を対象に調査を実施しました。両調査は、2021年7月から8月にかけて、12カ国・10業種で実施されました。企業文化に関するCXO調査の知見と経営幹部へのデプスインタビュー、計量経済学的モデリングを組み合わせ、オムニ・コネクテッドネスが企業の業績と労働者のネットベターオフスコアに与える影響を推計しました。また、企業文化やディスラプション時の仕事の変化に関する問題をより深く理解するために、2020年1月から2022年4月までの期間に、グローバル企業8,700社の約40,000件の決算説明会記録を収集・分析しました。

参考資料

1 Accenture Research analysis on Workers and CXO survey 2019, CXO survey 2021, Capital IQ and Green, Huang, Wen, and Zhou, ‘Crowdsourced Employer Reviews and Stock Returns’ (2018), Journal of Financial Economics

2 Accenture data science analysis of earnings call transcripts of ~8,700 global companies for the period of January 2020 to April 2022.

3 Accenture CxO Pulse, June/ July 2021, n=3200.

4 Emergence, The Rise of Deskless Workers, 2018.

5 Accenture Annual Report 2021.

海津 恵

ビジネス コンサルティング本部 ストラテジーグループ 人材・組織 プラクティス マネジング・ディレクター


エリン・シュック

アクセンチュア、チーフ・リーダーシップ&ヒューマン・ リソーシズ・オフィサー


Christie Smith

Lead – Talent & Organization/Human Potential

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