調査レポート

概略

概略

  • Accenture Future of Work Study 2021(アクセンチュアによる未来の働き方調査2021)では、時代の変化とともに新たな働き方をする中で、従業員が健康を維持しながら、生産的に仕事に取り組むためには何が必要かについて探りました。
  • 調査では、従業員の大部分(83%)が未来の働き方としてハイブリッドワークモデルを望んでいることが明らかになりました。ただし、従業員が組織の成長に貢献できるかどうかは、働く場所だけでなく、さまざまな要因によって左右されます。
  • 未来に向けた新たな働き方の構築において、責任あるリーダーは物理的な環境を整備するだけでなく、従業員のニーズに応じて適切な対応をしていかなければなりません。
  • 調査では、高い成長を維持している企業の63%が「どこにいても生産的に働ける」ワークフォースのモデルをすでに採用していることが明らかになりました。


未来の働き方はどうなるのか?

どこで働くかを含めた働き方そのものの見直しに向けた議論が盛んに行われています。世界各国の9,000人以上の従業員を対象に実施したAccenture Future of Work Study 2021では、リモートワークとオンサイトワークを組み合わせたハイブリッドモデルを、多くの従業員が望んでいることが明らかになりました。

83%

ハイブリッドモデルが最適であると回答した従業員の割合は83%

ハイブリッドモデルは、なぜそれほどまでに魅力的なのでしょうか? それは、ハイブリッドモデルが2つの働き方のメリットを組み合わせたモデルだからです。COVID-19がもたらしたパンデミックの中で、ハイブリッドな環境で仕事を継続できた人は、心の健康の向上を実感しています。同時に、職場における人間関係も強固なものとなり、組織の成長に貢献する上での「Net Better Off(正味幸福度の向上) 」を実感することができています。加えて、100%オンサイトまたは100%リモートで働いた人に比べて、燃え尽き症候群になりにくいことも分かりました。

回答者の25%はパンデミック下でも100%オンサイトで仕事をしており、個人の選好にかかわらず、今後もオンサイトワークを続ける見通しであることも分かりました。このように回答したのは、ヘルスケア業界や小売業界の事務職を含む従業員が大部分を占めています。

多くの企業はリモートワークの最適化を優先課題の1つに掲げていますが、こうしたオンサイトワークのあり方についても見直しが不可欠だということです。

考えるべきは、働く場所よりも、従業員のポテンシャルをいかにして引き出すか

上層部や人事のサポートの焦点は、オンサイトワーカーに集中しています。しかし、ワークフォースのセグメント化が急速に進む現在、すべての従業員のニーズにいつでも応えられるワークモデルの提供に多くの企業が苦戦していることが、アクセンチュアの調査で明らかになっています。

もはや、ワークモデルの「標準」というものは存在しません。

「将来、人はどこで働くべきか」という問いはすでに意味をなさなくなっており、これからは「従業員がどこで働くかにかかわらず、そのポテンシャルを最大限に引き出し、健康的かつ生産的に働けるようにするにはどうすればよいか」を考えていく必要があります。

調査回答者の半数以上が、未来の働き方にある程度もしくは著しく不安やマイナスの感情を抱いていることを踏まえれば、この問いは極めて重要なものだと言えます。

以下のグラフは、未来の働き方に関する140の質問への回答を分析しました。疲弊の度合いや悲観/楽観のレベルに基づいて回答者のマインドセットを分類しています。

Accenture Future of Work Study2021から算出

どこにいても健康的かつ生産的に働けるワークフォース

従業員の40%は、オンサイトでもリモートでも健康的かつ生産的に働くことができると感じています。しかし、一部の従業員からは、どこにいても健康的かつ生産的に働くことは不可能だという回答も寄せられました。後者の従業員は、この1年間で何らかの出来事に遭遇し、不満や無関心といった感情を抱くようになりました。この否定的な感情によって生産的に仕事に取り組むことができなくなっています。非生産的な従業員は、ネガティブな従業員体験や日常生活のストレス要因に疲弊しているのでしょうか。 実は、最も生産的な人ですら燃え尽き症候群に陥り、疲弊やフラストレーションを感じていること、また場合によっては非生産的な従業員よりもその度合いが高いことが調査で分かりました。

では、40%の生産的な従業員には、どのような共通点があるのでしょうか。 それは日常生活にストレス要因がないことではなく、個人レベルでも組織レベルでも、必要なサポートが十分に得られていることです。彼らは、心身の健康も生産性も向上します。職場や日常生活の課題をすべて排除することはできません。故に、企業は課題の排除ばかりに注力するのではなく、オンサイトでもリモートでも、従業員に常に適切なサポートを提供することが必要です

従業員がどこにいても生産的に働くために必要な要素とは:

「実現可能な目標と自ら時間を管理する裁量を与えられ、業務改善に向けた継続的なフィードバックが得られること」

「業務の性質や同僚、会社の組織文化がポジティブなメンタルを後押ししてくれるものであること」

「クラウドコンピューティングやサイバーセキュリティ、ロボティクス、仮想現実、デジタルコラボレーションツールといった新たなテクノロジーのスキルレベルを上げる機会が得られること」

「オフィスの定期的な清掃と消毒、オフィス入室の人数制限、柔軟な傷病休暇制度など、健康の維持に関するポリシーを会社が明確にし、従業員に周知してくれること」

「上司がアクティブリスニングを積極的に実施し、従業員の心身の健康や生産性、キャリア形成をサポートしてくれること」​

「組織がデジタル化についての明確なビジョンを持ち、トレーニング/スキルアップの機会やデジタルツールの提供を通じて、イノベーションや協働、モビリティを促進してくれること」

ハイブリッドモデルを再構築してビジネスの成長を促す

健康的かつ生産的なワークフォースを維持するためのリソースの最適化は、簡単なことではありません。しかし、この困難な目標は達成する価値があると言い切れるのは、Net Better Off(正味幸福度の向上)が高いワークフォースは、企業の利益創出を後押しするからです。

63%

高い成長を維持している企業の中で、「どこにいても生産的に働ける」ワークフォースモデルを実践している割合。

69%

依然として従業員が物理的にどこで働くかという問題に焦点を当てている(ハイブリッドモデルを採用せず、100%オンサイトまたは100%リモートのいずれかを選択)。マイナス成長またはゼロ成長企業の割合。

85%

「どこにいても生産的に働ける」と回答した従業員のうち、現在の組織で今後も働き続けたいと答えた人の割合。

未来の働き方を構築する

未来は予測不可能ですが、従業員がどこにいても生産的に働き、組織の成長に貢献するために何が必要かは明らかです。未来の働き方を構築するために、リーダーはまず職場のポリシーを見直し、従業員と組織の信頼関係の強化に取り組む必要があります。

新しい働き方の促進

従業員が新たなチームやロールに移行しても、Net Better Off(正味幸福度の向上)を実現するための戦略を策定する必要があります。パンデミック下で生じた新たな問題を解消し、最大限能力を発揮できる環境を整えることが大切です。

人を主体としたワークモデルの設計

万能のワークモデルは存在しないため、企業はあらゆるタイプの従業員のニーズに応えていかなければなりません。精神的、物理的両面で安全を支援できる企業は、従業員との長期的な信頼関係を築くことができます。

デジタルフルーエンシーの向上

デジタルフルーエンシーの高い企業は、成長率が高く、従業員により良い就労環境を提供することができます。デジタルフルーエンシーをあらゆる職位で向上させるために、個々のニーズに合わせてカスタマイズされたスキルアップと学習のプロセスを策定しなければなりません。

人間としての魅力を備えたリーダー

責任あるリーダーは、CEOをはじめとする経営層が従業員のNet Better Off(正味幸福度の向上)の実現を後押しするための環境整備に積極的に取り組んでいます。また、フェイルファストな組織文化を醸成することで、継続的なチャレンジと改善を支援します。

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不確実な世界で企業が成長を維持するためには、レジリエンス(回復力)が高く生産的なワークフォースが不可欠です。健康的かつ生産的なワークフォースの構築は、今すぐにでも取り組むべき重要な経営課題です。

調査について

アクセンチュア・リサーチは以下の各国の9,326人の従業員を対象に、2021年3月に調査を実施しました: オーストラリア、ブラジル、カナダ、中国、フランス、ドイツ、日本、シンガポール、スウェーデン、イギリス、アメリカ。回答者の属する業界は、金融、保険、証券、ハイテク、リテール、消費財・サービス、公共サービス、ヘルスケア、通信&メディア、ユーティリティ、エネルギー、ライフサイエンスと多岐にわたります。さらに、調査回答について詳細な統計的クラスター分析および回帰分析を行って従業員のマインドセットを明らかにし、従業員がリモートでも、オンサイトでも、ハイブリッドモデルでも、健康的かつ生産的に働くためにはどのようなリソースが必要であるかを導き出しました。

著者について

植野 蘭子

ビジネス コンサルティング本部 人材・組織 プラクティス 日本統括 マネジング・ディレクター


Christie Smith

Lead – Talent & Organization/Human Potential


Yaarit Silverstone

Senior Managing Director – Talent & Organization / Human Potential, Global Strategy Lead & North America Lead


Nicholas Whittall

Senior Managing Director – Accenture Strategy, Talent & Organization, Talent Strategy & Development Global Lead


David Shaw

Senior Managing Director – Talent & Organization, HR Transformation & Delivery Co-lead, UKG Lead


KENT MCMILLAN​

Managing Director – Global Lead, Organizational Development and Europe Lead, Intelligent Operating Model​

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