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日本企業におけるレガシーシステムのモダナイゼーションのポイント

「理解不足」と「無謀な計画」が計画失敗の主な理由

メインフレームは長きにわたり、基幹システムの心臓部として保守運用されてきました。しかし、レガシー化したシステムを老朽化するに任せていては、ますます加速する経営環境の変化のスピードに対応できないと、経営者の多くが気付き始めています。この論考記事では、近年ふたたびスポットライトを浴びているレガシーシステムのモダナイゼーションについて解説します。基幹システムの移行をいかに行い、経営課題の解決を支援する最新テクノロジーをどう取り入れていくべきかなど、モダナイゼーションの最新アプローチ手法まで掘り下げます。

田畑 紀和

アクセンチュア株式会社
テクノロジー・コンサルティング本部
マネジング・ディレクター
田畑 紀和

福垣内 孝造

アクセンチュア株式会社
テクノロジー・コンサルティング本部
シニア・プリンシパル
福垣内 孝造

中野 泰秀

アクセンチュア株式会社
テクノロジー・コンサルティング本部
シニア・マネジャー
中野 泰秀

レガシー化とは何か

レガシー化とは、「現状のシステムの維持管理コストが高止まりし、最新テクノロジーの恩恵を受けられない」状態と定義できます。レガシー化したシステムを利用することは、下記のようなデメリットやリスクを内包したままシステムを運用し続けることにつながります。

レガシー化とは何か

高止まりしたコストはIT予算を圧迫し、攻めのIT投資を阻害する要因になります。一方、技術者の高齢化・定年退職による人員不足は明らかであり、基幹システムの移行スケジュールを先送りすることもできません。基幹システムに対する期待やビジネスへの貢献の要求は日に日に高まっており、早急な対策が必要であることは明白です。一方、DevOps、マイクロサービス、コンテナといった技術概念は実用段階に入り、クラウドやOSS(オープンソース・ソフトウェア)といったNew ITは従来では考えられないほどのスピードとコストで様々な機能を利用可能にしています。

なぜ「最後のレガシー」は存在するのか

メインフレームなど、レガシー化したシステムに対するモダナイゼーションの必要性は広く認識されています。それにも関わらず、なぜ今なおレガシーは残り続け、経営課題であり続けているのでしょうか。オープン化に成功したシステムがすでにある一方、現役で稼働しているレガシーシステムの多くは、次の2つのモダナイゼーションブームをくぐり抜けて生き残って来たという経緯があります。

  • 「2000年問題」対応。大規模改修が一斉に行われた第1次モダナイゼーションブーム。

  • 「2007年問題」対応。メインフレーム技術者の定年退職の始まりによる、第2次モダナイゼーションブーム。

現役のレガシーシステムの多くは自社への最適化を繰り返すなどして作り込まれており、オープン化への施策は手詰まりとなっているのが現状です。「最後のレガシー」問題を考えるには、「日本企業固有の問題」を理解し、「適切な対策の手法を採用する」という両面で検討する必要があります。

従来型のモダナイゼーション

一般的に「従来型のモダナイゼーション」として知られる手法には下図の6種類があります。6つの手法の中からどれを選択するかは、コストの発生状況、改修要望への対応スピードなどニーズの状況、システムの規模(コードボリューム)などのポイントを分析したうえで総合的に判断されます。

従来型のモダナイゼーション
従来型のモダナイゼーション

現状分析の結果を基に、最適な手法を選択してモダナイゼーションの目的を達成したケースがある一方で、莫大なコストと時間を投資したにも関わらず、目的を達成できずにプロジェクトが頓挫してしまうケースも稀ではありません。

日本企業固有の事情に起因する、2つの失敗要因

モダナイゼーションのプロジェクトが破綻するケースを調査し、失敗要因を分析していくと、次の2点に集約されます。


日本企業固有の事情に起因する、2つの失敗要因


  1. メインフレームをベースとした日本型基幹システムへの理解不足

    これは主に、日本企業のレガシーシステムに多く見られる傾向である「SoR(System of Record:記録のためのシステム)とSoE(System of Engagement:顧客などとの関係強化のためのシステム)の混在」に起因しています。

    販売管理や生産管理のシステム(SoR)のモダナイゼーションにおいては、標準プロセスを重視し、例外処理を許可しないならばERPパッケージへ簡単にリプレースできます。しかし多くの日本企業の基幹システムは、「個別要件」のためのアプリケーションをメインフレームに実装しており、標準化を阻害しています。個別要件とは、顧客との個別契約や関係性を重視し、契約締結前の生産着手や仮設定による単価発注など「非定型な業務への対応」を指しています。このような基幹システムはSoEの要素をSoRに取り込んでおり、標準化が困難です。

    こうした個別要件に対応する機能の多くは、システムの設計段階で実装されたものではなく、システムの運用段階において業務部門などからの要望に応える形で作り込まれています。こうしたケースではERPパッケージへのリプレースが困難であるため、カスタム開発を含むモダナイゼーション手法が選択されます。しかしその移行対象の膨大さも失敗の大きな原因となります。

  2. 無謀なモダナイゼーション計画

    無理の多いモダナイゼーション計画もプロジェクトの失敗要因となります。社内稟議を通すために、モダナイゼーションの投資対効果を過大に見積もるなど、移行プロセスの予測に甘さのあるケースがあとを絶ちません。特に、次のような要件が盛り込まれている場合、プロジェクト遂行の難易度が高まるため注意が必要です。

    • 現行仕様の担保が前提

    • ITコストのさらなる削減に向けた機能の統廃合

    • 業務効果を創出するための新機能の追加

    • New ITなど最新テクノロジーの活用

    レガシーシステムは何十年にもわたる運用で複雑化していることに加え、上記のようにモダナイゼーション・プロジェクトでは「理解不足」と「無謀な計画」が横行しています。では、モダナイゼーションを成功させるために真に必要なことは何か、どのようなステップを踏むことが適切なのでしょうか。次ページ では効果的かつ実践的な最新手法について解説します。




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