消費者のサステナビリティ意識調査


誰にとっても選択肢となるサステナブルな選択を提供する

着状態を打開する

企業は持続可能性の追求について約束するだけでなく、人々が少ない労力でサステナブルな行動を起こせるよう先導すべきです。企業がサステナブルな消費についてどのように考えるべきかを再定義し、今日からできる(そしてすべき)アクションを紹介します。
現在、気候危機を解決するのは誰の責任なのかをめぐって膠着状態が続いています。
  • 人々は、企業がより持続可能性に配慮した経営をし、サステナブルな製品・サービスを提供することを期待しています。
  • 企業は、サステナブルな活動から顧客ロイヤリティと利益が得られると確信できるよう、より多くの人々がサステナブルな製品・サービスを求めるのを待っています。

企業はこの膠着状態を打開する必要があります。

事態は差し迫っており、いわゆる「サステナブル消費者」と呼ばれる層からのニーズを待ち続ける時間はありません。また、サステナビリティがマス市場に急激に広がる可能性も未知であるため、企業が待ち望んでいることは決して起こらないかもしれないのです。

企業は、誰もがサステナブルな生活を実現できるよう率先して行動する必要があります。

この膠着状態を打開するために、3つの時代遅れな思い込みを見直しましょう。

思い込み1:ブランドは人々が「言葉と行動の差」を埋める後押しができる
思い込み2:ブランドは人々がサステナブルな代替品に切り替えるよう支援する必要がある
思い込み3:サステナブルな消費は、消費者の要求からはじまる
思い込み1:ブランドは人々が「言葉と行動の差」を埋める後押しができる

再定義 : ほとんどの人々にとって、 「言葉と行動の差」は広すぎて埋められない

世界中の人々は気候変動を懸念しており1、多くの人がサステナビリティを提唱するブランドから買いたいと言っていますが、こうした意図は必ずしも行動に結びついていません2
残念ながら、「消費者が言葉と行動の差を埋めるために、企業は何ができるだろう」という問いでは解決に繋がりません。なぜなら、ほとんどの人々にとってサステナビリティは「あったらいいな」程度の優先順位の低いものであり、この状況はすぐには変わりそうもないからです。

2021年夏、私たちはCOP26(第26回気候変動枠組条約締約国会議)に向けてスコットランドのグラスゴー市民21人を対象にエスノグラフィ調査を実施しました。調査から浮かび上がったのは、「皆すでに最善を尽くしている」という人々の真実です。例えば、ナビラは2人の小さい息子の世話で手一杯、ショーンはパンデミックの中で大切な人を失い困難な1年を過ごしていました。

現在、サステナブルな製品とそうでない製品とでは後者の方が需要が高い状況です。しかし、それは人々がサステナブルな消費に興味がないことを意味するわけではありません。人々が買い続けるにはそれなりの理由があるということです。例えば、子供が嫌がったら代わりの食事を用意できないので、新しい食材に挑戦できないといった理由です。

アンケートでは「サステナビリティに関心がある」と答える人がいるかもしれませんが、それは「願望と行動の差」を示している可能性があります。そして、ほとんどの人にとっては「漠然と心の片隅にあることと行動の差」であるようです。企業は、人々に今以上により良いことをするための能力、時間、資源を持っていることを期待すべきではないのかもしれません。特に現在、より良いことをするには多くの調べ物と犠牲が伴うからです。
思い込み2:ブランドは人々がサステナブルな代替品に切り替えるよう支援する必要がある

再定義:サステナビリティが優先されるかどうかにかかわらず、ブランドは人々がサステナブルな結果をもたらすような意志決定ができるよう支援する必要がある

企業は常に行動変容のための取り組みを行っていると言えます。人々に(競合他社ではなく)自社から何かを買ってもらおうとするのは、まさに行動変容を促す活動です。この活動を再構築することで、よりサステナブルな消費の形態を生み出すチャンスがあります。
「言葉と行動の差」は想像以上に大きく、この差を埋めるための障壁はより複雑なものとなっています。

私たちの調査からは、単に価格を調整しより便利にすればいいという問題ではないことが明らかになりました。サステナブルな生活スタイルへの切り替えにはアイデンティティや文化的、社会的な規範が関わっているため、完全に変えることを期待するのは理にかなっているとは言えません。調査に参加したある男性は心臓発作を経験しましたが、長年食べ続けていた赤身の肉を完全に諦めることはできそうもないと思っています。

ブランドが行動変容を促す方法は、サステナブルな選択をするよう人々を説得することだけではありません。予算、アクセシビリティ、好み、個人のアイデンティティなど、人々の最も身近な優先事項に合わせる形でサステナビリティを組み込む方法を創り出すこともできます。

企業が自らに問うべきことは次の通りです。

「よりサステナブルな消費をしたいという人々の願いをどのように手助けできるか?」ではなく、

代わりにこう問いましょう: 「(サステナビリティが消費者の優先事項であるかどうかに関わらず)よりサステナブルな行動を可能にするには何ができるか?」
思い込み3: サステナブルな消費は、消費者の要求からはじまる

再定義:サステナブルな消費は、企業のアクションからはじめる

企業はマス市場の「サステナブル消費者」からのニーズを待っていられません。提供価値や協業企業、政策決定者との関わり方を通じて影響を与え、消費者にとっての負担を軽減し、サステナブルな行動を起こせるような環境を率先して整えていかなければなりません。
A. 企業が消費者に影響を与える方法

ブランドは、購入の前後を含むタッチポイントにおいて消費者に何をどのようにコミュニケーションするか再考する必要があります。

最低限、購入の意思決定をする瞬間にサステナブルな選択肢について直感的に分かるようにする必要があります。例えば、食品がどれだけ環境に配慮して生産されたかを示す非営利団体Foundation Earthが提供する「エコラベル」3 のような、「正しい選択」について簡単に理解できる目印をパッケージに表示することなどが挙げられます。また、隠れた悪影響を伴わない真の意味でより良い意思決定を(気候科学者になることなく)することができるよう、情報提供は明確であることが重要です。Ecolytiq 4Doconomy 5 はユーザーの決済データから二酸化炭素の排出量を可視化し、一般消費者の平均的な排出量と比較できるようにすることで人々に必要な「良い選択」の基準を示しています。私たちの調査では、参加者に食料品購入時の二酸化炭素排出量を似た傾向を持つ人々のものと比較して見せることで、多くの人にとって自らの消費習慣を振り返るきっかけになることが分かりました。

B. 企業が提供する製品・サービス

企業はサステナビリティを常に掲げずとも、製品開発やサービスデザインにサステナビリティを埋め込む必要があります。例えば、節約という価値提案(例:衣料品のレンタルサービス)にサステナビリティというメリットを付随させるなど、ビジネスモデルを変革することでこれを実現することができます。さらに、価値提案は適切でなければなりません。サステナビリティを優先するあまり、品質、効率性、利便性を妥協してはなりませんし、優れたマーケティング戦略と同様、製品・サービスの価値をターゲットや彼らの文化に響くよう適用させることが大切です。

C. 企業と人々、協業企業、政策決定者との関わり方

膠着状態を打開するために、企業は誰とどのように関わるかについてより積極的かつ意図的になる必要があります。これには、消費者の視点に立って人々とサステナブルにまつわる意思決定との複雑な関係、特にトレードオフの関係を深く理解することが必要です。エコシステムを共有する他のプレイヤーとの協働としては、より多くのパートナーや競合他社と協力し、Foundation Earthの「エコラベル」が大手の小売企業を巻き込んだように競争関係の有無に関わらずすべての人に利益をもたらす変化を推進する必要があります。こうしたコラボレーションを活用することで、サステナビリティが標準となるために必要な基盤と期待値の創出に積極的に取り組むことができます。例えば、複数の企業がEUに対して2035年までにガソリン車とディーゼル車の販売を終了するよう働きかけています6

まとめ

見直すべきポイントは次の3つです
サステナビリティがマス市場のニーズになることは神話である:地球環境とビジネスの観点で必要な速さでサステナビリティがマス市場の優先事項になることはないでしょう。ほとんどの人にとって、サステナビリティは実行可能な選択肢でもなければ、意識的な関心事でもないのです。

行動変容を再定義する:消費者をサステナブルではないものからサステナブルなものへと移行させるということではありません。人にはそれぞれ犠牲にできない、あるいは犠牲にしたくない優先事項があるため、サステナビリティは人々の他の優先事項や関心事の一部として提供される必要があります。ある人々には明示的に、そして多くの人々にとってはそれと分からない形で。

負担を減らす:企業は、自らの影響力や提供する製品・サービス、インサイトの活用、協業企業や政策決定者との関わり方を通じてこれまでとは異なる消費パターンを促し、結果を変化させることに集中する必要があります。

変化を目指すに当たって、以下の原則が重要になります。

サステナビリティを常に主役にする必要はない

企業は人々にとって最も重要なことを中心にしなければなりません。人々のニーズを満たし、サステナビリティが"おまけ"としてついてくるような製品・サービスを創出するべきです。

サステナビリティは犠牲を必要としない

サステナブルな選択肢が人々に求めるものを考えてみましょう(例えば、労力、費用負担、代わりの食事を用意する余裕がないのに新しい食材に切り替えるリスクなど)。その選択肢から人々にとっての犠牲を取り除き、サステナビリティが人々にとって有益なものになる方法についてイノベーションが求められています。
私たちは共に、膠着状態を打開し、サステナビリティをすべての人にとって実現可能な生活様式にすることができます。

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