前例のないグループ横断ロイヤリティプログラムの構築


デザインファーストで創造する、
お客様体験価値向上とビジネス成果創出

伏見 一茂 氏
株式会社セブン&アイ・ホールディングス デジタルマーケティング部 シニアオフィサー
番所 浩平
インタラクティブ本部 マネジング・ディレクター 兼 Fjord Tokyo共同統括 グループ・ビジネス・ディレクター

セブン&アイ・ホールディングス
× FJORD TOKYO 【対談】

セブン&アイ・ホールディングスが2020年6月にリニューアルしたグループ事業横断ロイヤリティプログラム「セブンマイルプログラム」が、このたび2021年度グッドデザイン賞を受賞した。同サービスはお客さまに対して、いかなる体験価値を提供し、セブン&アイグループのビジネスにどんな成果をもたらしているのか。プロジェクトを牽引してきた両社の責任者、セブン&アイ・ホールディングス デジタルマーケティング部 シニアオフィサーの伏見一茂氏と、アクセンチュア インタラクティブ Fjord Tokyo共同統括 グループ・ビジネス・ディレクターの番所浩平氏に聞いた。

セブン&アイグループの多様なデジタルサービスを包括-シームレスな体験を創出

――セブン&アイ・ホールディングスが展開するグループ事業横断ロイヤリティプログラム「セブンマイルプログラム」が2021年度グッドデザイン賞に輝きました。まずは受賞に対する感想をお聞かせいただけますか。

伏見 ありがとうございます。アクセンチュア インタラクティブのFjord Tokyoとともに、サイトデザインをお客さま視点でゼロから見直してきた取り組みだけに喜びはひとしおです。

番所 グッドデザイン賞の審査員からは「グループ内の様々な事業を横断した大規模なロイヤリティプログラムを、事業者側の視点でなくあくまでユーザー視点にたって必要な機能のみに削ぎ落とし、シンプルでわかりやすく、また細部のインタラクションやアニメーションなども含めて完成度の高いUX/UIにまとめ上げている。リニューアル後に確実に会員数を伸ばしており、ユーザーからの評価の高さも伺える。」というコメントをいただきました(2021年度グッドデザイン賞)。業種も価格帯も大きく異なる事業を横断する、世界にもあまり例のないロイヤリティプログラムの実現に向けて多くの議論を重ねてきました。セブン&アイ・ホールディングスの皆さまとこだわってきた部分を高く評価いただき、感無量です。
セブンイレブン等のセブン&アイグループでのお買い物でセブンマイルがたまるプログラム
「セブンマイルプログラム」とは

セブン&アイグループの各店舗や統合通販サイト「omni7」を横断した7iD会員向けのロイヤリティプログラム。各店舗でのお買い物やお食事で税抜200円ごとに1マイルがたまり、たまったマイルを様々な特典と交換することができる。「いつものお買い物で私だけのHappyを」をコンセプトに、日々のお買い物での楽しみや、これまで知らなかった商品との出会いといった、新たなお客さま体験を提供している。
――そもそも「セブンマイルプログラム」とは、どのような課題を解決するために生まれたロイヤリティプログラムでしょうか。

伏見 セブン&アイ・ホールディングスがオムニチャネル戦略の一環として「omni 7」をグランドオープンしたのは2015年のことでした。

ただし、私たちにとってのメインターゲットは、リアル店舗でお買い物をしてくださるお客さまで、セブン-イレブンだけでも1日あたりの総来客数(国内)は約2,100万人を数えます。そこでリアルでもネットでも共通で使えるお客さまID(7iD)を用意し、セブン&アイグループの多様なデジタルサービスを包括してシームレスに利用できる独自の世界観を創出しようと考えました。「セブンマイルプログラム」はこの構想をお客さま接点の最前線で体現するもので、お客さまに対して新たな体験を提供するとともに、私たちもお客さまの日々のさまざまなお買い物情報や登録情報から、お客さまのことをより深く知ることができます。「セブンマイルプログラム」はセブン&アイグループのデータ戦略と表裏一体の位置づけにあります。
――お客さまからの要望を受けて始めたわけではなかったのですね。

伏見 むしろ発想は逆で、私たちはまだ世の中にないサービスを提供することに主眼を置いています。実際、グループ横断で利用可能なロイヤリティプログラムは国内の小売業を見渡しても他に類を見ません。当然、お客さまからいただいた幅広いご意見やご要望をもとにサービスを改善していくことも大切ですが、言語化されていない潜在的なニーズを掘り起こす体験をいかにして提供できるか――そうした価値創造を、「セブンマイルプログラム」を起点に行っていきたいと考えています。「いつものお買い物で私だけのHappyを」というコンセプトには、日常のお買い物の中にこそ、お客さまにとっての自分だけの楽しさや幸福感を創出していきたいという思いを込めています。

"見て楽しい"だけで終わらせない
ビジネスに貢献するデザインの力

――Fjord Tokyoとしては、この「セブンマイルプログラム」のサイトデザインをリニューアルするに際して、セブン&アイ・ホールディングスが狙いとするビジネスインパクトをどのように設定されたのでしょうか。

番所 私たちFjord Tokyoが掲げているのは「デザインの力で人々の生活体験をより良くし、継続的な企業価値向上を実現する」というミッションで、「セブンマイルプログラム」の「いつものお買い物で私だけのHappyを」というコンセプトと生活者体験を向上させるという考え方の根幹が一致しています。

そうした中で徹底したのは、単に"見て楽しい"だけのデザインには終わらせないことです。デザインの力でいかにビジネスに貢献するかが重要で、たとえば7iDの新規会員を増やしたり、セブン&アイグループ内でのお客さまの買いまわりを促進したり、あるいはお客さまの購買単価を高めたりといった成果につなげていくこと、を重視しています。日々のお買い物をワクワクする体験に変えることで、そうしたビジネス成果を生み出していくサイクルをつくることをチーム全体で常に意識してデザインしました。

――セブン&アイグループにはスマホ操作に必ずしも慣れているわけではない、幅広い年齢層のお客さまがいらっしゃいます。そうした多様なお客さまに寄り添うサービスをデザインするため、具体的にどんな工夫を凝らしたのでしょうか。

番所 往々にして日本のデジタルタッチポイントのデザインはさまざまな機能を盛り込みすぎて、お客さまにとって、わかりづらくなってしまう傾向があります。これに対して今回の「セブンマイルプログラム」のリニューアルでは、お客さまにとっての"わかりやすさ"に徹底的にこだわり、マイルを「ためる」と「つかう」という体験を楽しんでいただける、シンプルなサイトデザインを追求しました。この点は、他のロイヤリティプログラムと一線を画した「セブンマイルプログラム」の特徴となっています。

なお、シンプルを追求する考え方は、グループ各社のアプリやサイトから「セブンマイルプログラム」のサイトに遷移してくるお客さまに対しても一貫しています。少し技術的な話になりますが、SPA(シングルページアプリケーション)というフロントアーキテクチャを採用し、単一のWebページ内でコンテンツの切り替えを行えるようにすることで、お客さまが快適に操作できるシームレスな体験を提供しています。
伏見 サイトデザインのわかりやすさは、セブン&アイ・ホールディングスとしても全力投球してきた重要なポイントです。サイトを開けばトップ画面で、お客さまが現在所有しているマイルがカウントアップして表示されます。さらに同じ画面の「つかう」ボタンを押すと、そのマイルで交換可能な特典が一覧で表示されるとともに、新しく提供された特典もすぐに確認することがきます。お客さまが一番得たいと思っている体験にすぐにたどりつけるのです。

ひと口にわかりやすい、シンプルといっても、その概念はあいまいで、イメージするデザインはまったく違ってくるのですが、Fjord Tokyoの皆さんは私たちのビジネスの課題やコンセプトを深いレベルで理解し、お客さまに寄り添う形でクオリティの高いサイトデザインに昇華させてくれました。
番所 ありがとうございます。「セブンマイルプログラムを起点にお客さまの潜在的なニーズを掘り起こしたい」「お客さまの視点を大事にして、より良いサービスを提供したい」というセブン&アイ・ホールディングス様の明確な意志と強い思いがあったからこそ、我々もデザインの力に加え、ビジネスやテクノロジーといった様々なチームの総力を結集することができました。"デザインファースト"、つまりお客さま視点から考えてビジネス価値に繋げていくという理念を共有できたことが成功の鍵だったと振り返っています。

お客さまがSNSに喜びを発信することで新たな会員を呼び寄せるサイクルが回り始めた

――リニューアルした「セブンマイルプログラム」を2020年6月にリリースしてから、すでに1年以上が経過しましたが、手応えを感じている成果を教えてください。

伏見 7iD会員数は2,000万人を超えましたが、同等規模の会員数を有している小売グループは他に見当たらず、驚異的な数字だと思っています。もちろん、この新規会員獲得の最大の原動力となっているのは「セブンマイルプログラム」に他なりません。また、こうした会員の拡大に伴い、SNSを通じたお客さまによるさまざまな発信情報を目にする機会も増えてきました。マイルをためて交換した特典の写真と喜びのコメントを投稿するなど、お客さまに楽しんでいただいている様子が、私たちにも伝わってきます。

良質な商品を取り揃えたセブン&アイグループの各店舗で日常の買い物を楽しみ、そのお買い物でマイルがたまり、さらにそのマイルを使って特典を手に入れ、喜びを発信することで、また新たな会員を呼び寄せるというサイクルが回り始めていることを、マーケティング分析の結果からも確認しています。その意味からも、今回のグッドデザイン賞の受賞は決してゴールではなく、魂を込めてお客さま満足度のさらなる向上を目指し続けていきたいと考えています。正解は無い中でより良いサービスとデザインを追求し続けることが、結果につながると信じています。

番所 デザインの力を最大化するには、アクセンチュア インタラクティブのデータ分析やビジネスプランニングチームとの連携も欠かせません。これからも、セブン&アイ・ホールディングス様の取り組みをFjord Tokyoはじめアクセンチュア全体で全力を挙げて支援していく所存です。

――多くの企業の皆さまのサービスデザインにも役立つ、示唆に富んだお話をありがとうございました。

「セブンマイルプログラム」について詳しくはこちら
セブン&アイ・ホールディングス グッドデザイン賞 受賞プレスリリースはこちら
2021年度グッドデザイン賞 受賞ページはこちら
セブン&アイ・ホールディングス x Fjord Tokyo座談会記事はこちら
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