エンタープライズ・アーキテクチャー
2021/07/30
2021/07/30
企業が既存事業から、新規に創造した次世代の中核事業へと軸足を転換するとき、それに伴って組織全体の枠組みを変革する必要性に直面します。そうした全社横断規模のトランスフォーメーションを、戦略策定から実行まで全方位的にご支援するケイパビリティがエンタープライズ・アーキテクチャーです。
多くの経営者は安定的収益を自社にもたらしている既存事業を可能な限り維持しつつも、その将来的な先細りを的確に見据え、より成長性の高い新規事業の創出による中核事業の世代交代や転換を目指しています。
大手企業における日々の事業運営とは、そうした長期的視野に基づくものである一方、既存のIT環境やオペレーションモデル、人材、組織、体制、ガバナンス、プロセスといった要素が強固であるほど、それらが自社の足元をがんじ絡めにして、イノベーションや新規事業の創出を阻んでしまいます。本来あるべき機動的な事業モデルへの転換をできずにいることが、昨今の日本企業を取り巻く実情だといえるでしょう。
そうした束縛から自社を解放し、Time-To-Marketな事業開発・サービス提供を実現する経営基盤をいかにして構築するべきでしょうか。アクセンチュアでは、お客様側の経営層や現場社員の方々と共に組織全体の枠組みの再定義から着手し、経営目標(ビジネスゴール等)から逆算したビジネストランスフォーメーションの策定と実行、さらにその基盤となるDX推進などの具体論などまで、包括的な全社構造改革をご支援します。エンタープライズ・アーキテクチャーは、そうした討議を推進するための体系化されたツールであり、フレームワークです。
エンタープライズ・アーキテクチャーが志向しているのは、既存資産を最大限に活用して十分な価値を引き出すことに加え、非現実的なプランではなく実現可能な具体論へと落とし込んで実行する「経営のリフォーム」です。アクセンチュアは、お客様の全社的構造改革を「バリューチェーンで一貫したサービスラインナップの幅広さ」と「各領域の専門性の深さ」という"面"の取り組みでご支援しています。
エンタープライズ・アーキテクチャーの全社改革における主要ファクターの1つが、既存IT環境の構造改革です。新規事業の成長を加速させる新たなシステムの構築を目指そうとしても、極度に複雑化・巨大化してしまった既存システム環境に新システムをそのまま乗せることは極めて困難だといえます。一方で全システムを再構築することも現実的ではありません。稼働中のITシステムやインフラ基盤を厳しい目で選別し、再利用する部分と破棄する部分を見定め、その上で再構築する領域や新たに構築する領域を識別し、既存IT環境の最適化をはかることが取り組みの第一歩です。
しかし、レガシー刷新だけをエンタープライズ・アーキテクチャーの取り組みである、と捉えるのは早計です。 デジタル時代の到来を受け、これまで人間が行っていた業務の一部をIoTやAIが担うことによるビジネスプロセス自体の見直しや、データドリブン経営を支えるデータ活用基盤の構築、ビジネス環境の目まぐるしい変化に対応するためのアジャイル型への転換や伸縮性の高いクラウドへのインフラ移行など、真の全社規模のデジタル化と事業転換を実現するには、複層的な取り組みを全社規模かつ同時並行で進めなければなりません。
併せて、DX推進のための組織ガバナンスやルールの変革、人材・組織の改革、企業カルチャーやプロセス、ルールの全方位的な刷新も必要です。
上記のテーマを俯瞰すると、エンタープライズ・アーキテクチャーの取り組みを非常に難易度の高い取り組みに感じられるかもしれません。事実、これらの取り組みは小手先で行う一過性のものではなく、お客様側のCEOクラスが主導・旗振り役となるプロジェクトとなります。
アクセンチュアはグローバルでこうしたお客様企業の変革をご支援し、大規模変革のパートナーとして数々のプロジェクトを伴走してきた実績と知見を有しています。お客様の将来を見据えたビジョンの検討、具体論である中期経営計画で達成すべき目標の設定、各期の改革テーマへの分割と現場での実行まで、全フェーズに渡って伴走いたします。
アクセンチュアのエンタープライズ・アーキテクチャーのケイパビリティを裏打ちするのは、業界最大級規模を誇る人材の層の厚さと多様性、そして専門性と経験です。
企業経営の課題解決のため、鳥の目から蟻の目までを自在に行き来して事象を捉え、必要な打ち手を適切な粒度で提案できる能力を持つ人材は、市場全体を見渡しても希少です。こうした人材を揃え、各分野の専門家の連携によるチームワークでさらに価値を高めている点がアクセンチュアの最大の強みです。
エンタープライズ・アーキテクト、すなわちエンタープライズ・アーキテクチャーを実現するそれらのタレントが提供する価値としては、下記のようなケイパビリティを持つ各領域のエキスパートとのコラボレーション・ハブとなる点も挙げられます。こうしたフルアセットと総合力で、アクセンチュアはお客様の経営課題に貢献します。
エンタープライズ・アーキテクチャーが目指すのはお客様のビジネス変革の実現です。IT部門内におけるインフラやシステム改修の企画・検討で終わってしまうことなく、ビジネス変革に向けた全社的な取り組みとしてお客様の経営会議や取締役会にて実施の承認を得ることを、重要なマイルストンとして位置付けています。
全社規模の構造改革においては、「取り組みプラン(意義・ありたい姿・ロードマップ)に関する議論を深める」「検討したプランを実行する」という2つの要素のどちらが欠けてもビジネス変革の実現につながりません。エンタープライズ・アーキテクチャーは、そうした議論や検討、実行の正しいスタートラインを描く取り組みであるともいえるでしょう。
一方、お客様の課題や実行範囲がすでに特定されており、限定的なものである場合には弊社の他のサービスをおすすめする場合もあります。たとえば、自社データセンターのクラウド移行といったテーマが明確な場合は「クラウドイノベーション&アクセラレーション」を、CXOクラスの改革実行オフィスとしてのご支援が必要な場合は「トランスフォーメーション・リーダーシップ」というように、テクノロジーストラテジー&アドバイザリーグループの各ケイパビリティのエキスパートがご支援します。
エンタープライズ・アーキテクチャーは、お客様企業の経営層と現場層、ビジネス部門とIT部門といった階層・組織で分断されがちな取り組みを構想段階から俯瞰的・統合的に企画・推進するケイパビリティです。その本質的な目的である、お客様のビジネス・ITの針路の見極めと、成功へ向けての継続的な推進をご一緒いたします。