五十嵐:デジタル強化へのシフトに向け、既存社員を「デジタル人材化」する教育、育成の仕組みを、どのように考えていますか。
稲田:必要なデジタル人材を、抽象的に「デジタル人材」とまとめてもいけないので、4つの段階で定義しています。
高度な分析ができる、データ分析のプロフェッショナル。その次が、定式化が容易な分析ができる人材。これらが、データ分析のプロです。次に、自分で分析はできないが、データ分析をする人と対等に対話ができ、自分たちの仕事を変えていくことができる人たち。最後は、可視化ツールで集計・見える化ができる人材です。
こうした段階を定義して、それぞれのビジネス部門でどの層にどのくらいの人材が必要かを考えます。
五十嵐:データ分析のプロは、何人くらいが必要だと想定していますか。
稲田:データ分析のプロは、K4Digitalとビジネス部門を合わせて100名規模で考えています。当社は約2万人の会社です。0.5%程度がデータ分析のできる人材として必要になるでしょう。彼らをK4Digitalなどに配属して、OJTで育成していくことになります。 全体としては数百名規模で必要だと考えています。
五十嵐:昨年(2018年)、「関西電力グループアカデミー」を立ち上げましたね。
稲田:はい。これまで実践してきた「人を大切にする」という考えとともに、「厳しい競争環境で勝ち抜くには人材の育成が最も大切である」という会社の思いを込め、社長を学長とする関西電力グループアカデミーを開校しました。その中の研修プログラムの一つとしてデータ分析の基礎研修などを準備しています。自分でゴリゴリ分析をするわけではないのですが、分析者と対等に対話してビジネスを変えていく人材を育てていきたいと考えています。
それ以外にも、2万人近い社員がいるわけですが、現場第一線の社員を含め、すべての社員にも、データを活用することの重要性やデジタルで何が実現できるのかといったことを理解してもらい、現場発のDXも進めていきたいと考えています。そういう意味では、すべての社員にデジタルリテラシーを持ってもらうことを目指しているということです。全社員対象の研修プログラムの中にも織り込んでいきたいと思っています。