調査レポート

概略

概略

  • アクセンチュアは、クラウド移行によって創出されたビジネス価値を調査することで、現時点での企業のクラウド移行の達成状況を明らかにしました。
  • 最新調査では、COVID-19(新型コロナウイルス感染症)のパンデミックの影響で企業のクラウド活用が避けられない状況の中、調査対象企業のおよそ3分の2が、期待通りにクラウドの価値を享受できていないことが分かりました。
  • 一部の企業はクラウドによる価値を創出できているものの、クラウドの導入規模、企業規模、所在地域によって、各企業の成果に大きな差が生じています。
  • また、企業のクラウド活用を妨げる障壁についても考察されています。企業がクラウドの価値を最大限に引き出すためには、働き方の根本的な見直しや、新たな運用モデルへの移行、新たな役割やスキルのあり方の定義がカギとなります。


はじめに:クラウド、COVID-19、そして新しい現実

急速に変化するビジネス環境に事業を適応させるために、クラウドは欠かせないソリューションです。

近年、企業の柔軟性、効率性、革新力を向上させるために、クラウド移行の重要性がますます高くなっています。COVID-19(新型コロナウイルス感染症)のパンデミック以降、クラウド活用はすべての企業が避けて通ることができない必須課題です。遠隔地でのリモートワークやオンラインコマースへの対応、そして平時とは異なる厳しいビジネス環境という今の時代を企業が生き抜くためには、クラウドファーストへの速やかな移行が鍵となることを、多くの企業が認識しています。

企業はクラウドの価値を実際に享受するとともに、想定外の障壁にも直面しています。アクセンチュアは今回の調査で、現在、企業がクラウドへの投資で期待される価値をどの程度実現しているかを明らかにしています。

調査では、クラウドを活用している大半の企業が「期待通りの成果を十分に達成できていない」と感じており、またそれらの企業では、「自社におけるクラウド移行の能力に確信が持てない」と考えている経営層の割合が相対的に高いことが判明しました。これは企業のクラウド活用に対する姿勢に警鐘を鳴らす結果と言えます。クラウド移行後にその価値を低下させる障壁が企業内に存在するということを認識し、対処する必要があります。

主な調査結果

37%

「クラウドへの投資で期待される価値を十分に生み出している」と回答した企業の割合

45%

「クラウド移行による現在の成果に大変満足している」と回答した企業の割合

29%

「クラウドに移行したことで、必要な時に期待通りの価値を提供できると確信している」と回答した企業の割合

ビジネス上の必要条件を設定する

クラウドを活用している企業は、全体的なコスト効率の大幅な改善、サービス水準の向上、市場投入までのスピードの向上などの成果を実際に実現しており、クラウド移行によってビジネスモデルを再構築し、事業のレジリエンスを高めています。

しかし、すべてのクラウド活用企業が同様の成果を上げているわけではありません。アクセンチュアは今回の調査で、大きな成果を達成している企業が持つ明確なパターンを特定しています。調査結果では、クラウドによる価値を最大限実現している企業は、クラウド導入規模が大きい傾向が示されました。「クラウド移行により期待通りの成果を達成している」と回答した企業の割合はクラウドを大規模に導入している企業では半数近く(46%)であるのに対し、クラウドの導入が中規模であった企業では36%、導入が小規模であった企業では28%でした。また、全体の半数以上(54%)の企業が「期待通りの成果を達成できていない」と回答しています。

また、導入率が高い企業ほどクラウドによる価値を引き出すために、先行してパートナーとの連携を強化する傾向が見られます。クラウドを大規模に導入している企業の29%が「広範な運用領域でクラウドマネージドサービスを採用している」と回答しており、この回答率は導入が中規模であった企業の約3倍、導入が小規模であった企業の約10倍に相当します。全体で見ても、広範な運用領域でクラウドマネージドサービスを採用している企業(48%)は、他の企業(35%)と比べ、期待通りにクラウドによる成果を達成している確立が高いことが分かります。

また、クラウドの価値を最大限引き出している企業に共通する特徴として、収益が100億ドル以上の大規模企業であること、ラテンアメリカや北米を拠点とする企業であることの2点が挙げられます。これらの企業は、市場投入までの時間短縮とサービス水準向上で最大の成果を上げています。

「クラウド化により期待どおりの成果を完全に達成している」と回答した企業の割合

「クラウド移行により期待通りの成果を達成している」と回答した企業の割合

クラウド導入における障壁

クラウド移行においてはさまざまな問題が生じます。本調査でクラウド移行の成功を妨げる障壁として挙がった課題は、「セキュリティとコンプライアンスのリスク」「レガシーのインフラストラクチャやアプリケーション」「IT部門とビジネス部門の連携不足」でした。特筆すべきは、全体の3割以上の企業が、これら3つの課題すべてを挙げている点です。この結果は、企業がクラウドジャーニーを始める際に、これら3つの障壁について慎重に検討する必要があるということを示唆しています。

クラウド導入規模によりクラウド移行の成否が異なるのと同様に、直面する障壁の傾向も導入規模により異なります。クラウド活用企業の全導入規模区分(小規模、中規模、および大規模)でセキュリティ課題が最大の障壁として挙げられていますが、2位以降は「データ主権」「レガシーのインフラストラクチャやアプリケーション」「スキル不足」「事業の複雑さ」「IT部門とビジネス部門の連携不足」など各区分で異なっています。

順位 導入が小規模であった企業 導入が中規模であった企業 導入が大規模であった企業
1 スキル不足(46%) セキュリティ(45%) セキュリティ(52%)
2 セキュリティ(45%) レガシーのシステムやアプリケーション(43%) 事業の複雑さ(48%)
3 データ主権(43%) IT部門とビジネス部門の連携不足(40%) IT部門とビジネス部門の連携不足(43%)

クラウドによる成果を達成する際の障壁として各企業が上位3位までに選択した課題とその割合

期待通りのクラウドによる成果を達成する

企業がクラウドによる価値を最大限享受するためには、働き方の根本的な見直しや、新たな運用モデルへの移行、新たな役割やスキルのあり方の定義がカギとなります。企業が取り組むべき重要な対策として次の4つが挙げられます。

ビジネス価値を中心に据えた戦略

社内の意思決定者と連携しながら、広範なビジネスケースに基づいて最適なクラウド戦略を策定し、収益増とコスト効率化の機会を特定することが肝要です。

従業員や企業文化のチェンジマネジメント

新しい運用モデルに加え、スキル向上や人材育成のプログラムを行うことにより、従業員の働き方を変革し、急速に変化するニーズに対する対応力を強化することが欠かせません。

データとAI

クラウドデータモデルを構築することで、レガシーシステムに蓄積された業界や業務に関するデータや知見を活用することが重要になります。

成功に向けたパートナーとの連携

戦略パートナーのスキルや経験を活用して、自社組織の機能を強化することが不可欠です。クラウドサービスは、コスト効率を維持しつつ、適切なスキルを構築したい企業にとっては、有効な選択肢の一つとなります。

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