調査レポート

概要

概要

  • バーチャルツインを活用することで、企業はコスト、資源使用量、カーボンフットプリントを削減し、持続可能性とサーキュラー・エコノミーを促進することができます。
  • アクセンチュアとダッソー・システムズは、バーチャルツインがどのようにして持続可能な産業に向けた変革を実現しサーキュラー・エコノミーを促進するかを調べるため、共同調査を実施しました。
  • 調査の結果、5つのユースケースにおいて、バーチャルツインを活用することで2030年までに1.3兆ドルの経済価値と7.5Gtのカーボンフットプリント削減が見込めることが明らかになりました。


サーキュラー・エコノミーへの移行

バーチャルツインを導入することによるメリットは数多くあります。例えば市場投入までの時間を短縮したり、複雑な技術革新やプロジェクトに伴うリスクを最小限に抑えたりと、バーチャルツインに関連するテクノロジーはあらゆる業界においてコスト削減や業務改善に貢献します。

バーチャルツインは、持続可能な新製品やプロセスの設計、テスト、モデル化をバーチャル空間で記録的な速さで行うことを可能にし、市場投入までの時間とリスクを大幅に削減します。そのため、すでに世界の電気自動車開発の85%に導入されているほか、電気炉、世界初のソーラー飛行機、新しいバイオマテリアルなどの分野において持続可能性に関する画期的な取り組みに活用されています。

しかし最も重要なのは、バーチャルツインがサーキュラー・エコノミーへの移行に大いに貢献するということです。つまり、プロダクトライフサイクルから廃棄物をなくすよう、設計の時点から部品や製品の再利用を計画できるようになるのです。これは、気候危機に対処するための重要なステップであり、2030年までに実現すべき国連の持続可能な開発目標(SDGs)の達成にもつながります。

私たちの調査結果は、もし産業界、政府、社会がバーチャルツインを導入した場合、現在から2030年の間に1.3兆米ドルの経済価値と7.5Gtのカーボンフットプリント削減という利益を引き出すことができることを示しています。

バーチャルツインが実現する物理空間とデジタル技術のシームレスな連携

産業界のイノベーションを促進する

バーチャルツインはさまざまな産業のオペレーションを革新し、最終的には事業そのものを再構築するのに役立ちます。今回の調査では、バーチャルツインの可能性を示すために5つの主要産業におけるユースケースを検証しました。

  1. 建設・都市・地域の開発業界:メンテナンス、計画、機能性能試験などにかかるコストやエネルギー消費量の削減より、運用コストを2,880億ドル、カーボンフットプリントを6.9 Gt削減できる見込みです。これらを可能にするバーチャルツイン技術は、すでに実績があり市場で提供されています。
  2. 消費財業界:開発の工程において持続可能性を実現する新しい手法を確立することができます。バーチャル空間でプロトタイプを作成することで物理的検証を減らし、開発を素早く進めることができるのです。これにより、原材料・開発コストを1,370億ドル、カーボンフットプリントを281 Mt削減することが可能になります。
  3. 自動車・輸送機械・モビリティ業界:主要企業は、CO2排出量削減のため主に自動運転車の製造ですでにバーチャルツインを活用しています。バーチャルツインのさらなる活用により、自動運転車の開発やプロトタイプ・テスト車両制作において産業全体で6,900億ドルのコスト削減と、230 Mtのカーボンフットプリントが回避できることが見込めます。
  4. ライフサイエンス&ヘルスケア業界:特に医薬品製造では、生産工場にバーチャルツインを導入することで環境面において大きな恩恵を受けることができます。生産プロセスをシミュレーションすることで、運用費用の削減により売上原価を1,060億ドル下げ、生産時の温室効果ガスの排出量削減により61 Mt のカーボンフットプリントを削減することができます。
  5. ハイテク業界:エレクトロニクス分野において、業界が直面する持続可能性に関わる多くの課題を克服することができるでしょう。バーチャルツイン技術は、製品設計者がサーキュラー・エコノミーを実践し、廃棄物管理機関が電子廃棄物(E-waste)問題に取り組む際の力強い助けとなります。機器の再生・再利用を増やすことで730億ドルの追加収益、非公式に処理されるE-wasteの総量を減少させ、 処理方法を改善することで36Mtのカーボンフットプリント回避を可能にします。

ビジネス価値と持続可能性の実現

これらの5つのユースケースだけでも、バーチャルツインをより大規模に導入すれば現在から2030年までの間に1.3兆ドルの経済価値と7.5Gtのカーボンフットプリント削減を実現することができます。しかし現時点で活用範囲は限られており、産業全体におけるバーチャルツイン技術の導入を加速させなければならないことは明らかです。アクセンチュアとダッソー・システムズは、経営層に向けて次の5つの行動「テクノロジーと持続可能性の目標を明確に結びつける」、「バーチャルツイン技術に対する理解を深める」、「破壊的なシステムチェンジをもたらすユースケースに注力する」、「責任を持った形でテクノロジーを展開する」、「エコシステムのサポートを結集する」を提言しています。

今回の調査により、SDGsの達成を後押しし、明確なビジネス価値を提供するバーチャルツインの可能性を示すことができました。本調査結果が持続可能性とビジネス価値の両立を目指す次世代のリーダーにとって一助となることを願っています。

著者について

Justin Keeble

Managing Director – Strategy & Consulting, Sustainability Strategy Lead, Europe


Lauren Ing

Senior Manager – Accenture Strategy – Sustainability


Tony Murdzhev

Consultant – Accenture Strategy – Sustainability


Dhruv Malik

Senior Manager – Accenture Strategy – Sustainability


Simon Bentley

Senior Manager – Industry X


Jan-Willem Jannink

Managing Director – Global Industry X Sustainability Practice Lead and Industry X Energy Lead

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