持続可能性を実現するバーチャルツイン
2021/06/10
2021/06/10
バーチャルツインを導入することによるメリットは数多くあります。例えば市場投入までの時間を短縮したり、複雑な技術革新やプロジェクトに伴うリスクを最小限に抑えたりと、バーチャルツインに関連するテクノロジーはあらゆる業界においてコスト削減や業務改善に貢献します。
バーチャルツインは、持続可能な新製品やプロセスの設計、テスト、モデル化をバーチャル空間で記録的な速さで行うことを可能にし、市場投入までの時間とリスクを大幅に削減します。そのため、すでに世界の電気自動車開発の85%に導入されているほか、電気炉、世界初のソーラー飛行機、新しいバイオマテリアルなどの分野において持続可能性に関する画期的な取り組みに活用されています。
しかし最も重要なのは、バーチャルツインがサーキュラー・エコノミーへの移行に大いに貢献するということです。つまり、プロダクトライフサイクルから廃棄物をなくすよう、設計の時点から部品や製品の再利用を計画できるようになるのです。これは、気候危機に対処するための重要なステップであり、2030年までに実現すべき国連の持続可能な開発目標(SDGs)の達成にもつながります。
私たちの調査結果は、もし産業界、政府、社会がバーチャルツインを導入した場合、現在から2030年の間に1.3兆米ドルの経済価値と7.5Gtのカーボンフットプリント削減という利益を引き出すことができることを示しています。
バーチャルツインはさまざまな産業のオペレーションを革新し、最終的には事業そのものを再構築するのに役立ちます。今回の調査では、バーチャルツインの可能性を示すために5つの主要産業におけるユースケースを検証しました。
これらの5つのユースケースだけでも、バーチャルツインをより大規模に導入すれば現在から2030年までの間に1.3兆ドルの経済価値と7.5Gtのカーボンフットプリント削減を実現することができます。しかし現時点で活用範囲は限られており、産業全体におけるバーチャルツイン技術の導入を加速させなければならないことは明らかです。アクセンチュアとダッソー・システムズは、経営層に向けて次の5つの行動「テクノロジーと持続可能性の目標を明確に結びつける」、「バーチャルツイン技術に対する理解を深める」、「破壊的なシステムチェンジをもたらすユースケースに注力する」、「責任を持った形でテクノロジーを展開する」、「エコシステムのサポートを結集する」を提言しています。
今回の調査により、SDGsの達成を後押しし、明確なビジネス価値を提供するバーチャルツインの可能性を示すことができました。本調査結果が持続可能性とビジネス価値の両立を目指す次世代のリーダーにとって一助となることを願っています。
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