保険業界におけるデジタル技術の活用は2010年代前半から推進されてきたものの、まだまだ道なかばであると言えます。
従来の「デジタル化」は、AIやロボティクス、ブロックチェーンなどの先進技術をいかに現行業務に適用するかという議論が中心でした。しかしそれらのテクノロジーは、ツールや手段にすぎません。デジタル変革の先に、自社のビジネスの将来像や社会の未来をどのように見据えるかといった「本質」にフォーカスすることなく、真の「デジタル変革」は成し遂げられません。
また、社会から保険企業への要請も変化しています。顧客はいま、生命保険においては「健康な生活」、損害保険においては「防災や減災の視点を取り入れた安心・安全な生活」の実現のリードを保険企業に求めています。
一方で保険企業は「古い習慣に縛られたままのサービス体系」「柔軟性やスピード感で劣る旧態然とした業務プロセス」が課題として明確になっています。日本の保険企業が海外市場でグローバルプレイヤーに挑戦するうえでも、こうした実情は早急に改善されなければなりません。