調査レポート

概略

概略

  • AIは、今や私たちの働き方や暮し方に大きな変化をもたらしています。それでも、ほとんどの組織はAIが持つ潜在的可能性を十分に活かしきれていません。
  • 最新のアクセンチュアの調査により、AIを競争優位に繋げられるほど活用している組織は、世界でもわずか12%に過ぎないことが明らかになりました。
  • これら少数の企業は「AI活用先進企業」と呼ばれ、同業他社より最大50%の収益成長を達成し、顧客体験と持続可能性の面においても優れていることが調査結果から分かりました。
  • これらの企業は、最初から責任あるAIを設計するなど、5つの領域で高いパフォーマンスを発揮し、独自性を打ち出しています。


AI活用浸透度:なぜ重要なのか?

あらゆる業界の企業は、顧客サービスの向上、効率性の向上、従業員の能力向上など、様々な目的でAIに依存し、投資しています。このようにAIはますます重要視されていますが、ほとんどの組織は表面的な導入をするのがやっとの状態です。AIの可能性を最大限に活用し、自社の投資を生かしているとは言いきれません。

2021年、世界の大企業2,000社(時価総額ベース)の経営者のうち、決算説明会でAIについて議論した企業は、自社の株価上昇率が2018年の23%から40%に上がったそうです。しかし、アクセンチュアが約1,200社を対象に行った詳しい分析によると、AIを競争優位に繋げられるほど「AI活用浸透度」を高めた企業は、わずか12%にすぎません。後にも述べますが、「AI活用浸透度」とは、企業がどのくらいAI関連のケイパビリティー(企業全体の組織的能力)を適切な組み合わせでマスターし、同業他社をしのぐ成果を達成しているのかの度合いを示すものです。同調査では、浸透度指標で基準スコア以上を達成した12%の企業を「AI活用先進企業」としていますが、これらの企業は、AIを原動力として平均30%近くの総収益を創出しています。パンデミック前(2019年)においても、同業他社と比べ概して50%増の収益成長を遂げています。その上、これらの企業は顧客体験と持続可能性の面でも優れていることが明らかになっています。

同調査の中で構築した機械学習モデルによると、「AI活用先進企業」の割合は急速かつ大幅に増え、2024年までには現在の12%から27%へと2倍以上になることが予測されています。この情報が示唆するのは、AI活用浸透度を高めること、つまりAIを組織のあらゆる側面に組み込み、高いパフォーマンスを発揮することは、もはや選択肢ではないということです。これは、すべての業界、企業、リーダーが直面するチャレンジであり、同時に絶好の好機でもあるのです。

AI活用先進企業」の数は急速に増加し、2024年までには現在の12%から27%へと2倍以上になると予測されています。

実践から成果へ

アクセンチュアの調査から見えてきた「AI活用浸透度」を高めるために押さえるべきカギとして、次のことが言えます。企業の競争優位性を高めるために必要な一連のケイパビリティを、適切な組み合わせで習得すること。これらのケイパビリティには、データやAIだけでなく、組織戦略、人材、文化などが含まれます。「AI活用浸透度」は個々のケイパビリティの熟練度合いによって決まるのではなく、それぞれのケイパビリティをうまく組み合わせる能力と相乗的な強みによって決まるのです。

これには、クラウドプラットフォームやツール、データプラットフォーム、アーキテクチャ、ガバナンスなど、同業他社に遅れを取らないために必要な「基礎的AI能力」が含まれます。また、AI戦略や企業経営幹部のスポンサーシップなどの「差別化AI能力」も含まれ、イノベーションの文化と組み合わせることで、企業は期待をはるかに超える成長を遂げることができます。

熟練「AI活用先進企業」からの伝授:5つの成功要因

AI活用先進企業」の成功は、「AI」には確かにサイエンス的な側面もありますが、「AI活用浸透度」には芸術(アート)的な側面も存在する、と気づかせてくれます。繰り返し練習し、それぞれのテクニックを熟練させても、舞台で最高のパフォーマンスができるとは限りません。同じようにAIも、技術を熟練させるだけでなく、それらをどのように使うかというアプローチが優れた成果を発揮するカギになり、それにはフォーカスとコミットメントが求められます。ここでは、AI活用浸透度の高い「AI活用先進企業」から学べる5つの極意を紹介しましょう。

AIを支持

AIを組織全体の戦略的優先事項と位置づける、リーダーシップの完全なスポンサーシップを得る。

大々的に投資

AIへの投資をより効果的にするために、人材の獲得、採用、スキルアップ養成にも大々的に投資を行う。

AIツールやチームの工業化

規模拡大可能なAIコアを構築するために、AIツールやチームを工業化する。

責任あるAIを設計

設計当初から責任あるAIを組み込む。

投資の優先順位設定

長期的・短期的に分けて投資に優先順位を付ける。

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正しい戦略と優先事項があれば、より多くの企業が「AI 活用先進企業」になることができます。設計当初から責任あるAIを組み込めば、現在そして将来においてもその恩恵を受けることができるのです。AIのサイエンス的側面は画期的で刺激的ですが、可能性を最大限に活用することは、リーダーが継続的に鍛えなければならない、芸術(アート)的な側面なのです。

AI活用浸透度アセスメント:企業経営幹部リーダーのための質問例

主要な質問

  • データとAI戦略の実行について、企業の経営幹部は明確な説明責任を持っていますか?
  • 潜在的な価値をどのように特定していますか? また、潜在的な可能性、リスク、そして組織全体の戦略との整合性を確保しながら、ビジネスケースの優先順位をどのようにつけていますか?
  • AI製品やサービスを自社で構築するために十分なデリバリーリソースを割り当てていますか? エコシステムパートナーから最大限の力を引き出せていますか?

主要な質問

  • AI戦略を支えるクラウド型プラットフォームとテクノロジー戦略をどの程度持っていますか?
  • ビジネスニーズを満たすために、効果的な全社的データプラットフォームを持ち、強固なデータ管理およびガバナンスを実践していますか?
  • AI開発のライフサイクルにおいて、データサイエンスや機械学習のチームを効果的に利用していますか?

主要な質問

  • データおよびAIリテラシー戦略は事業目標に沿ったものですか?
  • 組織全体のシニアリーダー、利害関係者、従業員に対して、どのくらいデータやAI活用能力を優先させますか?
  • 機械学習エンジニア、データサイエンティスト、データドメインのエキスパート、データエンジニアから構成された多様で専門性の高いチームのように、AI人材を拡大、差別化、保持、育成するための全体論的な人材モデルを有していますか?
  • どのように組織内でデータとAI文化を制度化していますか?

主要な質問

  • 責任あるデータと責任あるAIについて、原則から実践につなげる全社的なフレームワークを持っていますか?
  • すべてのAIモデルのライフサイクル全過程で、一貫した工業化された責任あるデータと、責任あるAIのアプローチを適用していますか?
  • 事業展開する国や地域におけるAI関連の法規則について、これまでの制定や改正を丹念に追跡しながら将来の法的変化を予期し、それに備えていますか?

保科 学世

ビジネス コンサルティング本部 AIグループ日本統括 AIセンター長 アクセンチュア・イノベーション・ハブ東京共同統括 マネジング・ディレクター 博士(理学)


Sanjeev Vohra

リード - アクセンチュア・アプライド・インテリジェンス


Ajay Vasal

グロース&ストラテジー・リード - アクセンチュア・アプライド・インテリジェンス


Philippe Roussiere

グローバルリード - リサーチ・イノベーション

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