Mackevision × アクセンチュア インタラクティブ


CGIはいかにしてモノづくりや顧客体験を変えるのか?

小春 満義
インタラクティブ本部 マネジング・ディレクター 兼 Mackevision Japan Representative Director
リー・ソンジン
Mackevision Japan Head of CG, General Manager
町田 慎也
Mackevision Japan Business Development Manager

概略

  • 1996年にドイツで設立されたMackevisionは2018年にアクセンチュア インタラクティブグループの一員に。ハイクオリティな映像制作のみならず、産業分野でのComputer Generated Imagery(CGI:コンピュータが生成した画像・映像)の活用を提供し、自動車やアパレル業界などで注目されている。
  • 欧米企業は3DCGの活用で日本・アジア企業に先行。現場の「職人技・匠の技術」で世界トップの品質を出してきた日本企業もその維持が困難化することを踏まえ、3DCGへの転換が不可欠。
  • いまや生活者は「リアルタイム」の世界に生きている。商品を知ったその瞬間・その場で調べ購買するといったスピーディなビジネスが具現化している。CGIを自社の強みとするには、データ定義や基盤整備を含む、一貫性のある取り組みが重要。
  • 自動車、住宅、不動産、アパレル、都市開発まで、幅広い事例が登場している。本記事ではそれらの事例紹介を交えてCGIの可能性を解説。

世界のビジネスシーンを席巻するCGIの活用

小春 満義(以下、小春) 近年、日本の「モノづくり」関連の業界ではCGIを活用した変革が新たな潮流となっています。しかしCGIを十分に活用できている日本企業は、まだまだ少ないのが現状です。

商品としてモノを扱う企業は、完成品を市場に投入するまでには図面を作成し、何度も試作品を製作し、さらにプロモーションのために現物の撮影を繰り返す必要があります。このように、物理的なモノを使うことを前提としたビジネスの進め方には莫大な時間とコストが掛かることが当たり前でした。

しかしCGIを活用することで、このプロセスを一変させることができます。3DCGでバーチャル空間に設計図を描くことで、2Dよりも精緻な検証が可能になります。カラーバリエーションや素材の見た目を高精細な描画で完全に再現する3DCGIは、試作品を用いたデザインレビュー工程やサンプルの輸送コストを大幅に圧縮することができます。ひいては、商品を物理的に製造する前にプロモーションを展開することすら可能です。先行プロモーションにより顧客の関心を惹き、予約販売やフィードバックを得ることができます。

すでにメルセデス・ベンツポルシェは実車ではなく、CG(コンピューター・グラフィックス)の新車モデルを公開して予約受注を開始するといったアプローチを実践しています。ファッションブランドでも、H&Mからはバーチャルヒューマン(CGIによる画面の中の人間)をモデルとする事例が登場しています。

これらの変化の生活者一人ひとりへの影響の大きさは計り知れません。リアルタイムかつハイクオリティなCGIは、ユーザーの操作に即応しパーソナライゼーションを実現します。これは新しい体験を生み出し、生活者の購買意欲を強く刺激します。

CGIは今後、モノづくり業界に着実に浸透しながら大きな構造改革を行っていくと考えています。企業が何十年も続けてきたビジネスのあり方をガラッと変える、これを顧客起点で行うのがアクセンチュア インタラクティブが提唱するビジネス・オブ・エクスペリエンス(BX)です。Mackevisionは体験価値の創造と飛躍を可能にする強力なBXのソリューションのひとつとしてCGIを提供します。

リー・ソンジン(以下、リー)多くの人が知る通り、CGIは映画やゲームといったエンターテインメント産業で急速に進歩してきました。MackevisionもCG制作のポストプロダクション(映像として仕上げていく工程)を事業として1996年にシュトゥットガルト(ドイツ)で設立されましたが、この都市はドイツの自動車産業の集積地の1つ。自動車メーカーのマーケティング・広告素材のCG制作を請負うことで、産業分野に進出しながら成長してきました。もちろん現在も『ゲーム・オブ・スローンズ』をはじめ世界的にヒットしている数々の映像作品にもCG制作で参画しており、一部のメイキング映像を公開しています。

CGIの工業分野でのニーズの高まりに応える形で、デトロイト(アメリカ)、北京(中国)、ソウル(韓国)などへ支社を展開。2018年にアクセンチュア インタラクティブ傘下のグループ企業となったことで日本での本格展開をスタートさせました。

Mackevisionは特定のCGソフトウェアに依存せず、独自開発したツールやCG生成エンジンでハイクオリティかつハイパーリアルなデジタルコンテンツを効率よくお届けし、多くのグローバル企業から高い評価をいただいています。私はCG業界で20年以上のキャリアを持っていますが、日本やアジア企業のCGIの活用はまだまだ始まったばかりだと感じています。

町田慎也(以下、町田)今の2人の話は、日本のモノづくり企業が2Dでの製図から製造現場での加工まで、豊富な経験に裏打ちされた職人技で支えられてきたと言い換えることができます。しかし日本全体では少子高齢化で「匠の方々」の技術継承が困難になっていますし、前提としてビジネス環境の変化もどんどん加速しています。市場から求められるスピードとクオリティに応えられるソリューションとして、モノづくり企業の方々はCGIを活用した転換を模索されています。

日本企業におけるCGIの課題とソリューション

町田 産業へのCGI導入において日本企業は後塵を拝していますが、私たちMackevisionは挽回できると考えています。企業がDX(デジタル変革)を推進する上で、CGIが重要な要素となるからです。

乗り越えるべき最初の大きなハードルは、企業全体ひいてはサプライチェーン全体での「3Dを共通言語化して利用する体制の確立」です。そのうえではまず、3DCGのデータをしっかりと持っていなければなりません。日本企業で陥りがちな課題を整理すると、次の4点が挙げられます。

  • 3DCGデータの形式やプロセスが厳格に定義されていない
  • メーカー側が製品全体の3DCGデータを持っていない
  • CG制作を外部ベンダーに任せているため元データが自社内になく、モデルチェンジのたびに発注し直さなくてはならない(OEMとしてのガバナンスが効いていない)
  • データが存在しても断片的なものしかなく、使い方もバリューチェーンの観点で途切れている
このため、第一歩として3DCGに関する知見を内製化し経験を獲得したいというニーズが多くの日本企業から聞かれます。

これらは製造業だけでなく、商品としてモノを扱う企業では共通のテーマになるでしょう。3DCGはプロダクトを超えて、都市のあり方を変える取り組みにも活用されています。国土交通省では現在、日本全国の3D都市モデルの整備・オープンデータ化プロジェクト「PLATEAU」(プラトー)を主導し3DCG活用の実証実験を展開しています。

リー 新型コロナウイルスのパンデミックでCGIの重要性が増しているとも言えます。デジタルタッチポイントやデジタルチャネルが幅広く活用されはじめているからです。デジタル化は営業やマーケティング部門が吸い上げた顧客ニーズをスムーズに製品に反映できるなど、設計開発プロセスにも柔軟性をもたらします。

一方、CGIソリューションの恩恵を得るには、業務全体のデジタル化が欠かせません。言い換えると、あらゆる情報をデジタル上で構造化することでデジタルツイン(現実世界の環境や物体をバーチャル空間で再現したもの)を作れるようにする必要があります。デジタルツインを作るには、いくつものプロセスを定義し、個々の役割を明確にする取り組みが不可欠です。CGIの活用は、そういう意味で組織横断の取り組みになります。これは大きな課題ですが、Mackevisionの最大の強みは業務全体のデジタル化に際したニーズを正確に把握できるコンサルティング能力と、蓄積してきた経験や知見を組み合わせた「Dynamic Visual Contents Solutions」として体系化している点です。

小春 ビジネスのデジタル化が進み、CGIの活用領域はますます拡大するでしょう。これは生活者の行動様式の変化にも合致しています。スピードこそがこれからのビジネスで大きな成功要因となることは間違いありません。

たとえば「家を建てたい」という個人客はこれまで、住宅メーカーの展示場やモデルルームに電話をかけて休日の訪問を予約し、実際に空間を見ながら提案を受け、大量の紙のパンフレットを抱えて帰り検討するというのがパターンでした。しかしモデルハウスが3DCGになっていれば、その顧客は「見たいと思ったその場」でWebにアクセスし、イメージする住宅を画面上でどんどん組み立てて仕様や見積りを検討できます。リアルタイムCGが実現するのはこのような世界です。

このとき、安っぽいCGでは顧客は興醒めです。購買意欲を無くすばかりか、その企業の評価さえも落としかねません。なぜなら顧客は映画やゲームなどでハイパーリアルの映像を日常的に目にしており「CGIでどのような表現が可能か」を体験的に知っているからです。

企業にとって3DCGを活用しているか、していないかは、顧客獲得を直接左右するほどインパクトの大きなことだと言えるでしょう。

CGIによる事業変革をエンド・ツー・エンドでご支援

町田 現在はっきりしていることは、モノを扱うビジネスにおいても、その主戦場はオンラインへと移行しているということです。さらに顧客にニーズに応えるために、あらゆることがデジタル化・リアルタイム化へと進んでいます。欲しいと感じたら、その場で調べ、購入する。この一連の流れを止めないビジネス環境の整備にCGIは大きく貢献します。

Mackevisionはお客様企業が持つ(あるいは現在は持っていない)3DCGのデータの定義から着手して基礎部分(ファウンデーション)の整備に取り組むほか、コンテンツ制作、ディストリビューションまでをエンド・ツー・エンドでご支援しています。

リー ビジネスシーンでCGIが利用されるのはもはや日常的な時代が到来しており、CGIを使いこなすことは企業にとって強力な差別化要因になります。

3DCGがモノづくりのあり方をどのように変化させているのかを熟知しているMackevisionは世界最高峰レベルのCGIのプロフェッショナル企業として、お客様企業の業務変革に寄与するサービスをお届けしていきます。

小春 アクセンチュア インタラクティブの人材や知見とMackevisionによる協働はそうしたサービスの品質を担保するものです。物理依存からの脱却、ルーティンの仕事の仕方からの飛躍、生活者・顧客に新しい体験を提供するビジネスの次世代化など、変革に必要な要素を幅広くご提供していきます。

さらに私たちにはもう1つの目標があります。CGアーティスト/CGクリエーターはハイレベルな知識と専門技術、アーティスト的なセンスが要求される仕事であるにも関わらず、日本国内では細分化された多重下請け構造の中で、日陰の存在になっています。日本の産業とビジネスの未来を具現化するCGアーティストの社会的地位と所得の向上を同時並行的に進めています。

CGIの重要性を力説しているMackevisionですから、日本のCGアーティストがよりクリエイティビティを発揮できるよう、業界を改善していくことも責務としています。日本の未来を共に描く、スポットライトの当たる存在としてCGアーティストの存在感を高めていきたいと考えています。

アクセンチュア インタラクティブでは、お客様企業の組織を変革し成長を実現するさまざまなサービスを提供しています。

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