熱望されるリーダーとは
変化を捉えて主導すべき時
2021/02/26
変化を捉えて主導すべき時
2021/02/26
2020年の新型コロナ危機による大混乱の後、企業は平常に戻るだけでなく、今後の成長をも構築しようとしています。
昨年、企業のビジネスのやり方と人々の生活様式における長年の規範の限界が露呈しました。これまでの活動を振り返ると、脆弱なサプライチェーン、信憑性の低い情報、顧客の新しいニーズといった課題が浮かび上がってきました。こうした現実の調整に最も成功した企業は、変化の達人となっています。
テクノロジー分野でリーダーにならない限り、トップに立つことはできないのは明らかであり、最近の急激なデジタル化の加速で、グローバルリーダーの基盤のとしてのテクノロジーの位置付けは、より強固になりました。
さらに企業は、リーダーになるには「ニューノーマル」を待つのでなく、自分で構築する必要があることも学んでいます。今、大きな変革を起こすには、大胆なリーダーシップとテクノロジーを優先する姿勢が必要です。単にビジネスを修復するのでなく、慣習を覆し、新しい将来ビジョンを創出しなければなりません。
そうした将来において、企業は周囲の世界の並外れて大きな影響を受けやすくなります。金銭的成功はリーダーの評価基準の1つに過ぎません。パンデミック前より価値の高い世界を再構築するのは特別な瞬間であり、人々の幸福、環境への影響、インクルーシブ環境の拡大など、今までの「価値」の定義を拡大する必要があります。
新しい未来はそこまで来ています。ただ、その未来は世界が予想していたものとは異なります。未来が形作られるにつれて、過去にしがみつく余地は企業にはなくなってきます。変わっていく世界の傍観者となるのか、構築者となるのか。「ひと」は、新しい挑戦の準備ができています。今度は企業が「ひと」に追随する番です。変化を起こしましょう。
著者について
ビジネス戦略とテクノロジー戦略は切り離せなくなっており、判別不可能といってもよいほどです。
新型コロナウイルスのパンデミックを受け、世界中の企業がデジタルトランスフォーメーション(DX)を急速に進めました。
こうした変化と新テクノロジーの相次ぐ登場により、ビジネスの世界は新時代を迎えています。アーキテクチャがかつてないほど重要度を増し、業界がテクノロジースタックを巡って争う時代です。
テクノロジーの選択肢もかつてないほど豊富です。クラウド展開の分散、AIモデルの種類、最先端デバイスの幅広さから、ハードウェアやコンピューティングの設計(および基礎物理)まで、スタックの各層は新たな次元へと拡大しています。
デジタルツインワールド(現実世界のエンティティやシステムを表現またはシミュレーションした世界)は多数の業界にわたって拡大しており、ミラーワールドの誕生を促進しています。
デジタルツイン技術は導入当初、各種デバイスのデータの監視、シミュレーション、合理化機能により支持されました。ところが最近はモデルの規模やAIの使用増加と普及により、同一性に変化が見られるようになっています。リーダー企業は、巨大なインテリジェント・ツイン・ネットワークに接続し、多数のツインをつなげて工場、製品ライフサイクル、サプライチェーン、港、都市など実物そっくりの全体モデルを構築して、ミラーワールドを創造し始めています。
信頼性の高い包括的データを基盤に構築されるインテリジェント・ツインとミラー環境は、いくつかの方法でビジネスに役立ちます。例えば、収集される新しいデータや実施される新しいテストに基づき、オペレーションの最適化、異常の検知と予測、計画外のダウンタイムの防止、自主性の確立、設計と戦略の調整が行えます。
今すぐ資産のインテリジェント・ツインを構築することに着手し、最初のミラー環境を組み立てる企業こそが、よりアジャイルでインテリジェントな未来へと業界や世界を導くリーダーとなります。
テクノロジーをより多くのユーザーに開放する民主化の動きが、明らかに進行中です。通常は高い専門スキルを持たない人々が強力なテクノロジーの機能を手にしています。
そうした人々は民主化されたテクノロジーを使って、作業の最適化や問題解決を自力で行えるようになります。これにより、IT部門は日常的な問題を当事者に任せて、大規模プロジェクトに集中できます。
すべての企業に、民主化により従業員をデジタルトランスフォーメーションの取り組みの主軸とするチャンスがあります。ただ、効果的に行うには、リーダーがすべての事業部門に対してイノベーションの推進者となる必要があります。
新しいツールを人々に与えるだけでなく、テクノロジストのような思考方法を積極的に教える必要もあります。その本質は、そうした人々をエンジニアに変えることではなく、むしろ、テクノロジーで問題を解決できるようにすることにあります。
パンデミック後の世界では、昔どおり職場に戻る人はいません。企業と従業員を待っているのは、あらゆる場所が仕事場となる新しい未来です。
具体的にはどうなるのでしょう。従業員が自分のノートブックやスマートフォンをオフィスに持参できた頃のことを思い出してください。企業は新しいポリシーを定め、新しいテクノロジーソリューションを見つけて、完全に管理下にないデバイスに対して柔軟性を確保しつつリスクを軽減する必要がありました。一方で、従業員にとっては仕事がしやすくなるチャンスでもあり、企業もコストを節約できました。今回違うのは、持参するのがデバイスだけではない点です。従業員は仕事環境全体を持参するようになります。
パンデミック後はこうした自分の環境を持参(BYOE)して仕事をする場所は、従業員の自宅だけに限りません。自宅、オフィス、空港、パートナーのオフィス、その他別の場所など、あらゆる場所 からシームレスに仕事ができるようになります。
マルチパーティシステムでは、効率性を高め、ビジネスと収益の新たなモデルを構築するような方法で個人と組織がデータを共有します。例えば、ブロックチェーン、分散台帳、分散データベース、トークン化、その他多様なテクノロジーや機能が挙げられます。
パンデミックのピーク時に思い切った削減を行い、事業の継続に奮闘する中で、どの業界でも企業はマルチパーティシステムの利用と投資を倍増させました。このシステムは多くの分野で、野心的な事業から渇望されるソリューションへと急速に進化していきました。
企業が新型コロナ後の世界で発展するには、過去の過ちを繰り返すわけにはいきません。企業は、既存および将来のパートナーシップに向けて、回復力、適応力、信頼性を兼ね備えた基盤を形成する大きな課題に直面しています。
日本版レポートとエグゼクティブ・サマリー(英語)はこちらよりご確認ください。