(左) レッドハット株式会社 常務執行役員 パートナー・アライアンス営業統括本部長 金古 毅氏 (右) テクノロジーコンサルティング本部 グローバルアライアンス・ジャパンリード マネジング・ディレクター 木田 滋巳

世界をリードするオープンソース・ソリューションプロバイダー企業であるレッドハットとアクセンチュアのグローバル規模における協業は、2009年から始まり現在まで多岐にわたる分野でお客様へ価値を提供してきました。

2020年、両社は一層強固なエコシステムを構成し、最新テクノロジーをベースとするさらなるジョイントソリューションの創出と提供を実現するべく、アライアンスパートナー戦略を刷新してより大きな一歩を踏み出しました。

日本企業のお客様が喫緊の経営課題としている「DX(デジタルトランスフォーメーション)」の支援を強化するため、レッドハットとアクセンチュアは具体的にどのような協業体制を実現していくのか。レッドハット株式会社の常務執行役員 パートナー・アライアンス営業統括本部長 金古 毅氏と、 アクセンチュア株式会社 テクノロジー・コンサルティング本部 グローバルアライアンス・ジャパンリード マネジング・ディレクター 木田滋巳による対談を紹介します。

(文中敬称略)

「不確実性の時代」における、調和の取れたDXの実現

――レッドハットとアクセンチュアの「パートナーアライアンス戦略」の背景として、これからの時代に求められる企業の課題やIT戦略のあり方をご説明いただけますでしょうか。

木田 アクセンチュアは世界最大級の総合コンサルティング企業として、幅広い産業や業務領域においてビジネスとテクノロジーを融合させ、デジタル社会の到来に向けて日本企業のお客様の経営課題の解決をEnd to Endでご支援してきました。

2013年には他社に先駆けて「デジタル」の名を冠する専門組織を立ち上げ、デジタル技術の社会実装を推進する業界リーダーの1社として知見や経験を集積してきました。しかし今や、社会のいたるところにデジタルは浸透しました。アクセンチュアは「Digital Is Everywhere」と現状を表現し、あらゆる側面でデジタルがもたらす力を組み込み、お客様に最適化されたサービスを高い俊敏性をもって提供できる体制へと強化を図るべく、2020年3月に上記組織に所属していた専門人材を社内の幅広い部門へ分散して組み込む形で、この専門組織を発展的に解体しています。

現在、お客様のDX推進のご支援として、よりスピーディーに、より高い付加価値を組み合わせながらサービス提供できる体制が整ったといえます。

金古 いまお話を伺いましても、アクセンチュアは自社を含めてDXの先進企業でいらっしゃると実感しています。私どもレッドハットも多くの日本企業のお客様と長年にわたってお取引きしてまいりましたが、日本全体のDXの進展をさらに加速させなければならないと感じており、まさに忸怩たる思いを抱えております。

経済産業省が発表した「2025年の崖」のレポートもさることながら、現代のビジネス環境には不確実性が増しています。いかに迅速にビジネスをターンアラウンドできるかが経営に携わる方々に求められているほか、他業界企業との連携といった「従来とは異なる発想でのビジネス展開」も必要とされています。

レッドハットもお客様へ、DX推進のための価値ある「気づき」をご提供できるように、テクノロジーを基盤とするサービスを日々展開しております。

木田 金古様がおっしゃる通り、DXが進まなければ12兆円もの経済損失が発生しうると警鐘が鳴らされておりますし、アクセンチュアのお客様におかれましてもレガシーシステムからの脱却など、もはや時間的猶予のない経営アジェンダが山積しておられます。

アクセンチュアはEnd to Endでのサポートをサービスの特徴としてきましたが、経営課題の多くは1社単独の力では解決不可能なものばかりです。お客様企業のデジタルシフトのご支援にあたっては、様々なソリューションの中からお客様ごとに最適なものを組み合わせた「調和の取れたDXの推進」による伴走が重要だと考えています。

金古 当社も同じ思いを強く持っています。レッドハットも過去27年にわたってオープンソース・ソリューションをエンタープライズのお客様へご提供してまいりましたが、今のキーワードはアジャイルです。現在最もホットなトピックであるDXの重要性をお伝えすることと、お客様企業の「組織・プロセス・企業文化」へと踏み込んだご支援が必須だと感じています。

アクセンチュアとレッドハットのシナジーで生み出せるもの

――アクセンチュアとレッドハットの両社は「アライアンスパートナーとのビジネス戦略」について、どのように考えているのでしょうか?

木田 お客様が直面している課題は年々複雑化し、取り組むべき領域も多岐にわたっています。経営者の方々のご期待とご要望にお応えするには、高い専門性を持つ企業がエコシステムを構築し、それぞれの人材や知見、ノウハウ、製品の掛け合わせでシナジーを生み出さなければならないと考えています。

そもそもアクセンチュアは特定のベンダーに偏らない「無色透明」な会社です。アライアンスパートナー企業のソリューションを迅速かつ的確に組み合わせ、各社の強みを最大化する付加価値を加えることで、お客様にベストなアセットソリューションを実現するという思想を持っています。

金古 レッドハットも自社を「キャタリスト(媒介)」と表現しています。私どもも自社IP(知的財産)としてソフトウェアを保持しているのではなく、コミュニティから誕生したアウトプットに技術者を入れて製品として磨き上げ、サポートを付属したサブスクリプションモデルでお客様へご提供しています。

レッドハットのビジネスモデルは、まさしく木田様が話されたエコシステムそのものであり、アライアンスパートナーと共に価値を創出しています。

木田 さらに私はアライアンスパートナーとのビジネス戦略のもう1つの要点として、案件単位で集合離散を繰り返す集団ではなく、日頃から密に連携することで時代のトレンドを見極め、経験の蓄積と共有を行う長期的パートナーシップになること重視しています。

レッドハットとは2009年から協業を開始して以降、2012年に戦略的アライアンスを締結して協業体制を強化してきましたが、2020年からは専属のアライアンス担当者を設置し、より協業範囲を深めていきます。両社の知見の融合によって、お客様の真のペインポイントの理解と解決に向けて、取り組みがより加速すると期待しています。

金古 はい。オープン性が求められる現代にふさわしいパートナーシップだと思います。レッドハットではここ数年、戦略として「オープンハイブリッドクラウド」を提唱しています。

この戦略は3つの柱で構成されています。第1の柱は、オンプレミスや仮想環境、プライベート/パブリックを問わず、どのような環境であってもアプリケーションを動作させる「可搬性の担保」。第2の柱は、お客様のアプリケーション資産をモダナイズし、アプリケーションのデリバリースピードを上げる「クラウドネイティブ化の促進」。第3の柱は業務の属人化の徹底解消を目指す「自動化」です。

レッドハットが提供している製品も、いうなればお客様がDXを達成されるための「部品群」であり、最終的な価値を生み出すジョイントソリューションの構成要素だと考えています。アライアンスパートナー戦略は、まさしく両社の共創的な取り組みの推進によって、End to Endかつシームレスなサービス提供の実現を目指すものです。

「自動化2.0」で属人化解消の実現へ

――アクセンチュアとレッドハットの協業によって、ユーザー企業はどのような具体的メリットを享受できるのでしょうか?

木田 このアライアンスは、お客様企業にとって喫緊の経営課題であるDXを前進させる強力なドライバーとなります。DXを支えるものは「人のマインド」と「テクノロジー」です。アクセンチュアが提供しているテクノロジー基盤「ACTS(Accenture Connected Technology Solution)」は複数のデジタルソリューションを連携する統合的なプラットフォームです。ACTSはモバイル機器やレガシーシステムを連携させることもできるなど、お客様のDXとビジネスを支えるソリューションとなります。

ACTSの実行環境としては、レッドハットのコンテナソリューションが非常に大きな割合を占めています。Red Hat OpenShift Container Platform上で稼働するACTSである「ACTS on OpenShift」を、DXを支えるプラットフォームとして実装することが可能です。

また、ACTSをベースとした「AMO 2 DX(Application Modernization & Optimization to DX)」は、基幹系レガシーシステム(メインフレーム等)のマイグレーションからDX実現までを一気につなぐソリューションとして展開するなど、アクセンチュアとレッドハットの協業は具体的に進展しています。

もう1つの「人」についてもDX推進の有識者を組織化しており、この「有識者」と「AMO 2 DX」を両輪としながらレッドハットのソリューションも組み合わせてDXをご支援させていただいております。

金古 まさにそうしたベンダーロックインを回避し、経営課題解決のためにIT戦略を描く手法はアクセンチュアの得意とするところですね。レッドハットにとっても、よりダイナミックで先進的な提案が可能になる点で頼りがいのあるパートナーです。Red Hat OpenShiftはすでに多くのお客様にご採用いただいており、この基盤を活用したジョイントソリューションを今後も生み出していけると期待しています。

アクセンチュアとの協業でユーザー企業様にとっても大きなメリットとなるのは、私どもが「自動化2.0」と表現している新しいタイプの属人化解消のアプローチです。既存の自動化は、まだまだサイロ化した組織内部の部分的利用に止まっており、より広範囲かつ全社的な自律的運用による「IT運用の高度化」をご提供していきたいと考えています。

オープンハイブリッドクラウド戦略は、まさにそうした目標とお客様企業にとってのメリットに直結するものだと言えます。

木田 属人化の解消とIT運用の高度化においては、「Red Hat Ansible Automation」や「Red Hat Decision Manager」を組み込んだソリューションを検討していければいいですね。これらの製品群は、お客様がDXを発展的に推進していくうえで有効に機能するのではと期待しています。

特定のベンダーに偏らないアクセンチュアは、社会のトレンドを掴みながら、お客様のニーズに最適なソリューションを提供するうえで、アライアンスパートナーや製品に対する「目利き」という重要な役目も担っていると思っています。

金古 日本はパートナー依存度が高いマーケットでもあるため、そうしたコンサルティングとベンダーロックインでないサービス、まさに木田様がおっしゃる「無色透明」への期待はますます高まると思います。

お客様の経営課題に「タッグ」で挑む

――両社の協業は、今後どのような発展を目指していますか?

木田 アクセンチュアとレッドハットが課題感を共有しながら、ジョイントソリューションを生み出していくことが目標です。しかしお客様のご要望や社会の状況は日々変化しますので、ソリューションにも継続的な進化が必要です。そうした持続的なイノベーション創出を目指す協業が私たちの目指している姿です。

金古 両社のアライアンスは2009年からのものですが、これからは拡大期に入ると考えています。「データの扱い」がますます重要になる今後のビジネスにおいては、レッドハットのミドルウェアの価値はより高まると考えています。

アクセンチュアは経営分析に精通しており、レッドハットは課題解決をソフトウェアでお手伝いしています。この協業は、お客様に「新しい選択肢」をご提供できるものになるでしょう。今後は「日本だからこそ生まれるソリューション」が増え、グローバル規模のパートナーシップでレバレッジをかけて世界へ発信できるソリューションも登場すると予測しています。

――最後にユーザー企業へのメッセージをお願いします。

木田 このアライアンスパートナー戦略はポイントごとの協業ではなく、持続的にお客様のインサイトを共有してソリューションを構築していくものであることから、「アクセンチュア×レッドハット」のタッグは1+1=2ではなく、1+1が「5」にも「10」にもなるような付加価値をご提供してまいります。

金古 アクセンチュアとのパートナーシップは、お客様にとって有意義なサービスが誕生する環境となり、ベストなご提案をタイムリーかつアジャイルにご提供できるものとなります。お客様のDX推進に不可欠な全社改革をご支援するパートナーアライアンスとして、ぜひご期待ください。

――ありがとうございました。

新型コロナウイルスの感染予防のため、座談会はマスク着用およびソーシャルディスタンスを確保して安全に行いました。マスクの取り外しは一時的なものであり、飛沫等に配慮して撮影しております。

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