顧客が叶えたいことは、たとえば「快適なマイホームでの家族との生活」、「健康で安心な毎日」、「お金の不安がない将来」などの本質的な欲求です。金融機関が提供する商品・サービスはその欲求実現の一部に寄与しますが、それだけでは顧客の欲求は満たしきれません。いま、金融機関には、企業目線で事業目標を追いかけることだけではなく、顧客を理解し、顧客に寄り添い、願いを叶える存在への転換が求められています。
住宅購入を例とした場合、金融機関が住宅ローンという「金融商品の提供者」というスタンスをとると、住宅販売会社から購入する住宅を決めた顧客の紹介を受け、その顧客に迅速・正確に与信審査を行って融資するのみとなります。
一方、住宅購入を「快適なマイホームでの家族との生活」を実現したい顧客の欲求と捉えると、金融機関が提供する価値は異なります。金融機関は、保有データにより物件確定前の事前与信を行い、与信額に基づいて住宅販売会社から提案・値引を引き出し、顧客の想像を超える魅力的な住宅そのものの提案も可能です。
顧客の願いを叶えるためには、現状の商流を所与とせず、それ自体を変革することも必要になります。
金融機関には、業法・規制の遵守が求められることは事実です。しかし、従来からの商品・サービスを武器にした「待つだけの金融機関」では、顧客に選ばれるために辛い消耗戦を強いられます。少子高齢化に伴い市場が縮小する現代では、一人ひとりの顧客と向き合い、その顧客の欲求を叶える「新しい価値」の提供により、長期の関係構築を目指すことが重要です。
「金融+αの価値提供」をご支援するアクセンチュア
アクセンチュアが提唱するCXとは、単に「顧客が快適・便利さを感じること」ではありません。CXは金融機関のサステイナブルな事業成長と両輪になるものです。「いかにしてCXと事業を噛み合わせていくか」というテーマこそが、アクセンチュアがご支援するCXの領域だといえます。
顧客が真に求めていること理解し、金融機関が持つ商品・人材・資金・IT・データ等の様々な経営資源を活かして、顧客の期待に応える価値を共創していくことがアクセンチュアの強みです。また、CXに立脚した持続的な成長を実現するためには、新たな事業・サービスを創出するだけではなく、顧客のニーズや変化にアンテナを張り、常に新たな価値を生み出し続けるオペレーティングモデルや組織への転換も重要です。
顧客本位で求められる価値を提供していくためには、業務を効率的に遂行(RUN)することを目的とした従来からの組織構造(RUN型組織)の見直しも求められます。イノベーションを実現していくためには、組織横断で最適な顧客体験を描き、新たな価値・変化を生み出す「CHANGE型組織(態勢)」への変革が必要です。アクセンチュアでは、そうした変革を推進し、顧客目線でイノベーションを創出するための知見・人材を有しています。
また、金融機関が非連続な成長を実現するためには、従来からの金融商品・サービスに縛られず、「金融+αの価値提供」が必要です。「+α」を生み出すためには、金融・他業種の融合や、企業の大小を問わないコラボレーションが重要になります。アクセンチュアは、様々な業種・企業とのリレーションを活かしたエコシステム型ビジネスの構想・推進や、オープンイノベーションによるスタートアップとの協業も含め、金融機関が新たな価値創出を行うためのパートナーとして、全力を尽くす伴走者となります。
次なる成長に向けて、金融機関には「顧客本位の価値提供とは何か?」という問いが突き付けられています。単に金融商品を提供するに留まらず、「顧客の願いを叶える金融機関」へと転換できるかどうかは、このCXとの向き合い方にかかっているのです。