調査レポート

概略

概略

  • アクセンチュアでは、テクノロジーに関する調査を毎年行っており、今後企業や組織に最も大きなインパクトを与えることが予想されるテクノロジー・トレンドを発表しています。
  • アクセンチュアの「テクノロジービジョン2019」調査では、世界12カ国の198名の自動車業界のリーダーの方々にアンケートを実施しました。
  • 調査の結果、自動車業界のリーダーの93%が新たなテクノロジーを試験的に導入し、ポストデジタル時代における成長を目指しているという結果になりました。
  • 自動車業界のリーダーは未来を見据えた組織の変革を目指し、5つのアクションを実践しています。


デジタルへの熱狂からポストデジタル時代の希望へ

過去10年間にわたり、自動車メーカーとサプライヤーはデジタルテクノロジーによってイノベーション戦略を強化し、単なる製造企業からテクノロジー企業へのシフトチェンジを遂げてきました。そして今日、業界リーダーは「ポストデジタル時代」を支える新たなテクノロジーである「DARQ」(分散型台帳技術:DLT、人工知能:AI、拡張現実:XR、量子コンピューティング:Quantum Computing)をさらなる変革の触媒として活用しています。

これらのテクノロジーによって、自動車メーカーのオペレーションやデザインの改善が可能になるほか、メーカーは消費者と市場への理解をかつてないほど深め、最適な機会を追求できるようになります。つまり、これは消費者のニーズが瞬時に伝わり、そのニーズが速やかに満たされなければならないポストデジタル時代において、まさに欠かせない能力と言えます。そして、スピードとハイパーパーソナライゼーションという二元的な目標の先にあるものが、急速に進化しつつあるモビリティ・アズ・ア・サービス(MaaS)です。既存の自動車メーカーは今、新興メーカーやデジタルネイティブ、テクノロジー大手と競合、あるいは協働しながら、いち早く市場に参入しようとしています。



シフトチェンジ

MaaSソリューションや自動運転車をめぐっては、すでに商業化に向けた活発な取り組みが行われていますが、実際の収益性は依然として不透明なままです。これらの新たなモビリティ・サービスは「スピードに乗る」までの時間が予想以上にかかっており、その結果、デジタルスタートアップは存続そのものを問われる危機に直面しています。一方で、既存の自動車メーカーやサプライヤーの場合は事情が異なります。

デジタルネイティブな競合とは異なり、既存のメーカーやサプライヤーはまだ独自のビジネスモデルに頼れる余地があるほか、大量生産や強力な流通網/販売網、ブランド力、ロイヤルティの高い顧客基盤といった強みを生かすことができます。とはいえ、こうした強みを理由にMaaSソリューションや自動運転車を活用した成長戦略を先送りすべきではありません。メーカーやサプライヤーはこれまで通り、未来の自動車業界における自らの役割の明確化、見直しを持続していかなければなりません。

85%

カスタマイズされたサービスとリアルタイムデリバリーの統合によって、新時代の競争優位性をいち早く確立できると回答した業界リーダーの割合。

70%

新たなテクノロジー(分散型台帳技術、人工知能、拡張現実など)を組み合わせることによって、今後3年間で組織の変革を実現できると回答した業界リーダーの割合。

ポストデジタル時代の主役

ポストデジタル時代において、従来の自動車メーカー/サプライヤーは新たなテクノロジーフレームワークを活用して未来への道筋を見定め、成長を加速することができます。このフレームワークは、以下の3つの中核的な要素から構成されます。

  1. 新しいテクノロジー群。組織のリーダーは、新たなテクノロジーを継続的に事業に統合していかなければなりません。現在では人工知能や拡張現実ソリューション、3Dプリンティング、分散型台帳技術といった多種多様なテクノロジーが、ビジネスバリューチェーンや顧客体験の再構築に活用されています。これらがもたらす効率改善や新たな収益源は投資利益を素早く生み出し、そこからさらなる成長に向けた投資が可能になります。
  2. イノベーションを加速する新たなテクノロジー戦略と経営モデル。ポストデジタル時代においては、テクノロジー戦略と経営戦略を巧みに融合した未来ビジョンの策定が欠かせません。また、CEOが中心となってこの統合的な戦略を組織全体に浸透させることも重要です。実験に適した環境や協働の文化、アジャイルメソッド、リーンオペレーション、新しいエンタープライズアーキテクチャ、デザイン思考といったアプローチも必要です。さらに、エコシステムを一層重視し、今までにない「ヒューマン+」の視点に立った労働者の役割の再定義やスキル開発も必須の課題となります。
  3. 未来を見据えたテクノロジー基盤。自動車メーカー/サプライヤーは最新のテクノロジーを継続的に導入して、コアアーキテクチャを切り離して新たな価値を創造しなければなりません。これからの市場で成功を収められるのは、データやその利用方法を自在に理解し、新たな機会を掘り起こせる組織です。革新的なアプローチによるサイバーセキュリティも、未来を見据えたテクノロジー基盤を構築する上では欠かせません。というのも、エコシステムのパートナーシップとデータ共有がさらに一般化するポストデジタル時代は、ハッキングのリスクが劇的に高まるからです。従ってエコシステムを支える強固なセキュリティ基盤の確立は、優先課題の1つとして認識しておく必要があります。

未来へのロードマップ

新たなテクノロジーは、私たちをモビリティの新時代へと導こうとしています。それは大きな期待に満ち、市場が絶え間なく移り変わり、グローバルな機会がもたらされる新しい時代です。また、企業がコアビジネスの継続的な成長と変革を推し進めながら、方向転換を図る時代でもあります。MaaSと自動運転プログラムの波が押し寄せつつある今、先見の明のある自動車メーカーであれば、この状況の中でただ漫然と構えているわけがありません。今この瞬間から、未来へ向けたロードマップの策定を開始するはずです。

業界の未来において、カギとなるのはパートナーシップです。業界各社は新たなパートナーシップを通じて、独力では実現し得ない価値を市場に提供できるようになります。

About the Authors

Tilak Mitra

Managing Director, Lead – Products Industry X.0 and Industrial, Global Technology


Brian Irwin

Managing Director – NA Mobility Industry Lead


Kevin Eversmann

Managing Director – Automotive, Technology Consulting


Gabriel Seiberth

Managing Director – Digital Automotive, Industry X.O and Innovation


Theo Forbath

Managing Director - Technology Advisory Products Lead

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