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ブログ

公共サービスを担うお客様への AI Powered Contact Center 導入事例のご紹介

所要時間:約3分

2022/12/19

こんにちは。テクノロジーコンサルティング本部テクノロジーアーキテクチャグループに所属しているシニア・マネジャーの返町 敏宏と、ビジネスコンサルティング本部テクノロジーストラテジー&アドバイザリーグループに所属しているマネジャーの小酒井 一稔と申します。今回は、AI Powered Contact Center(以下AIPCCと記載)の公共のお客様への導入事例として、過去に我々2名が参画したプロジェクトを紹介させて頂くとともに、Technology Diariesという事で、AIPCCにフォーカスして、プロジェクトを通し実際Deliveryの現場で感じた事をお伝えできればと思っております。

最初に、AIPCCをご存じない方の為にAIPCCとは何か?を端的にお伝えすると、電話やメールといったあらゆる顧客接点におけるお問い合わせに対してAIによる自動応答と、ヒトによるきめ細やかな対応を組み合わせることで、トータルで顧客接点における業務効果の最大化を実現し、自動化・無人化できる業務はAIに任せ、削減できた工数を高付加価値業務へシフトさせていく事を目的としたサービスです。

なお、アクセンチュアのAIにまつわるサービスについては、AI POWEREDサービス:顧客接点をご参照ください。

次に、このプロジェクトの背景や特徴といった部分をお伝えさせて頂ければと思いますが、簡単に言うと以下のようなプロジェクトでした。

  • クライアントのコールセンターそのものの立ち上げとコールセンター業務を遂行する為のシステム構築
  • 新規事業に伴うコールセンター新設であったが故、プロジェクト開始時点で確立された業務は存在していなかった
  • 国側で制度の具体的な内容が決まらないとシステム機能(チャットボットのFAQ)に落とせない反面、決まるとスグに反映させることが求められる
  • コールセンターコストを抑える必要があった
  • 以下のようにカットオーバーまでの期間は5ヶ月というタイトなスケジュール(チャットボットだけで言うと2ヶ月。加えて、プロジェクト開始後紆余曲折あり、一部機能を除いたコールセンターの業務システムのカットオーバーも当初予定より1ヶ月短い4ヶ月になった)
例:プロジェクト背景・特徴
例:プロジェクト背景・特徴

上記の背景・特徴を持っていたこのプロジェクトにおいて、コールセンターコストを抑える為に人的リソース(オペレータ)に替わるAIによるエンドユーザからの問い合わせ対応を実現できる点と、短期間でのカットオーバーに対してクラウドをフル活用したソシューションとしてそれが実現可能である点からAIPCCをソリューションとして選定しました。AIPCCは特定のクラウドサービス事業者のサービスに縛られずにマネージドサービスを選択して組み合わせることが可能ですが、実際今回のプロジェクトでも、AIエンジンはIBM Watson、コールセンターの業務システムはSalesforce、音声電話はAmazon Connectを利用し、これに加えて、音声電話での会話内容をテキスト化してコールセンター業務システムに連携する部分にはGoogleのSpeech-to-textを利用しました。構築したシステムの実際の機能構成・システム構成は以下の通りです。

例:構築したシステムの実際の機能構成・システム構成
例:構築したシステムの実際の機能構成・システム構成

そういったプロジェクトの中、非常に短い期間ではありましたがDeliveryを通して感じた事などのいくつかを以下に紹介します。

  • タイトなスケジュールでしたが無事カットオーバーを実現できたのはAIPCCという一定、確立されたソリューションによるところが大きかったです。もちろん、労を惜しまずにDeliveryに尽力していただけたプロジェクトメンバーの力があっての事でしたが。
  • その一方、業務内容からくるFAQ設計、チャットボットのテストには非常に苦労したのも事実としてあります。新規事業であったが故に確立された業務が無い中、なかなか十分なFAQが準備できず、テストの初期段階ではチャットボットの回答精度もお世辞にも良いとは言えない状態でした。今回のプロジェクトではFAQ設計、テストに多くの時間を費やし、何度も回答精度を測定しながらチューニングを繰り返す事でクライアントにOKを頂ける精度にまで向上させる事が出来ましたが、チャットボットの回答精度の向上においては、早い段階から有識者を交えた計画を立てておく事を強くオススメします。
  • 如何にチャットボットに誘導させるか?も重要な要素であります。エンドユーザからの問い合わせ先として、チャットボットとオペレータという2つの問い合わせ先としてのチャネルが用意されていると、やはりエンドユーザはオペレータへの電話問い合わせに流れて行ってしまいますので、如何にエンドユーザに不便さを感じさせずにチャットボットに誘導するかを考える事が重要であると感じました。
  • また、少し将来的なことも含めての話として、今回選定したAIPCCは、様々なサービスを選択して組み合わせることができるものですが、蓄積されるデータについては一元的に管理できるプラットフォームです。問合せに関するデータはもちろんのこと、例えば、エンドユーザの申請手続きも含めて管理をすることで、手続きの状況を自動で回答したり、手続きそのものをチャットボットとのやり取りで完結させたり、といったことが可能になります。エンドユーザの接点から得られるデータを活用すれば、エンドユーザの属性や状況に合わせて、様々な情報をプッシュ型で届けるといったことも実現可能です。次に必要な手続きを促すこともできますし、よくある質問とその回答をあらかじめ提供することで問合せの数を抑制する、といったこともできるようになります。データを活用した業務改善には引き続き取り組んでいきたいと考えています。

長くなりましたがお伝えさせていただきたかった内容としては以上となります。
今回の記事が今後の皆様の業務の中で何かの役に立てば幸いです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。

筆者

﨤町 敏宏

テクノロジー コンサルティング本部 シニア・マネジャー