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ブログ

テクノロジーサプライチェーン領域における企業変革の一丁目一番地、サプライチェーンプランニング

所要時間:約5分

2023/03/27

テクノロジーコンサルティング本部エンタープライズ&インダストリー、サプライチェーン&オペレーション(以下、E&I SC&O)に所属しているアソシエイト・ディレクターの星信継です。

現在、私の組織にて「企業変革フォーカスエリアの一丁目一番地」として力を入れている「Supply Chain Planning領域(以下、SCP)」についてお話したいと思います。

なぜ今、SCP領域の改革が注目を集めているのか

企業の抱えるサプライチェーンネットワークのグローバル化・複雑化が進んでいる中で、国家間のハイテク摩擦やCovid-19、自然災害など不測の事態に直面するケースが増えており、工場の生産停止や資材の調達リスクが顕在化しています。身近なところでは、新車ディーラーで自動車を購入しようとしても「納品待ちが半年以上先なんです」と言われた人も少なくないと思います。これも、東日本大震災や中国ゼロコロナ政策によって半導体の生産・流通網が分断され、タイムリーに需要・供給計画へ反映できずにサプライチェーン全体の意思決定が遅れたことに起因しています。

また、特に日本の計画系業務は高度熟練工によるKKD(勘・経験・度胸)を駆使したマニュアル作業で行われていることが多く(後続で詳細説明)、団塊世代の一斉退職や少子化による生産人材の不足、転職など人材流動化の加速を受け、「人手によるマニュアル作業を前提とした業務設計」から脱却し、「AI・機械学習をはじめとしたテクノロジーを前提とした業務設計」への変革が求められています。人材流動がより活発な欧米ではSCP活用が広がっていたが日本ではまだまだ、というのがこれまででしたが、最近では「属人化業務からの脱却」「集計・調整工数を削減し、本来注力すべき業務に充てる」という文脈でSCP活用を検討するクライアントが非常に多いなと感じています。

実際には、サプライチェーンマネジメントの市場は2025年までに313億ドル市場へ成長が見込まれています。

Supply Chain Management Market
Supply Chain Management Market

とはいえ、日本の多くの製造業の現状は「バケツリレー型サプライチェーン」

日本の製造業では長年「SCM改革活動」「カイゼン活動」を進めてきた結果、各部署の業務が個別最適化されており、相互の連携となると人力・Excel・メールのバケツリレーが頼りとなっています。事業部ごと、国ごとに、個別業務と個別システムが存在し、全社で100もの「サプライチェーンシステム」が乱立することも珍しくありません。結果的に、エクセルバケツリレーでつなげ、環境変化に対応したタイムリーな計画シミュレーション・意思決定どころか、加工・集計に膨大な工数がかかり全体像の把握にすらなかなかできていないのが現状です。

バリューチェーン分断の例:日本の大手企業の「バケツリレー型SCM」
バリューチェーン分断の例:日本の大手企業の「バケツリレー型SCM」

一方、計画系業務と対比される実行系業務(受注・出荷・購買・伝票登録)の世界では、1990年代からERP導入ブームが起こり、サプライチェーンや会計の各部門のデータをシームレスにつなげた情報一元化、グローバル標準化が進められてきました。しかし、計画系業務の世界では、実運用に際して極めて高い柔軟性・操作性が要求されることからシステムでは対応しきれず、グローバルどころかいち工場内でさえシステムがうまく使われてなかったのがこれまでの実態です。

何故計画系はこれまでシステムがたてつかなかったか
何故計画系はこれまでシステムがたてつかなかったか

SCPソリューションにはさまざまな型があり、事業特性や狙いに合わせた導入が必要

計画系業務は、実行系(受発注、出荷)と異なり、事業特性や目指すサプライチェーンのオペレーションによって様々な手法が存在しており、ソリューションにもそれぞれに特徴があります。

複雑な生産制約が存在しているためAIや機械学習を駆使して最適計画を作りたいのか、品目点数が多くWhat-ifシミュレーションを駆使して人による計画修正を前提としたいのか、はたまた、高度な計画エンジンの活用よりもExcelライクな操作性・柔軟性で計画情報の見える化を実現したいのか、事業特性や求める狙いを明確にした上で、各ソリューションの強み弱みを加味した選択が当然ながら必要となります。

SCM計画系のソリューションイメージ
SCM計画系のソリューションイメージ

アクセンチュアのケイパビリティ

アクセンチュアでは以下3つの観点で他社にはない強みを保持しており、SCP変革を確実に推進していきます。

1. Blue Yonder、Kinaxis、o9、SAP IBP、Anaplan等各ソリューション導入実績が豊富

前述の通り、業務・パッケージ特性を考慮した選択が重要であり、単一ソリューション導入経験だけでは見えてこない「目利き」ケイパビリティを保持しています。グローバルでの導入実績も豊富で、上記ソリューションにおいてグローバルで数百以上の導入を経験しており、資格保有者もトップクラスです。また、単なる導入経験だけでなく、とあるソリューションでは、ソリューション社史上最速での導入を実現するなど、チャレンジ案件も多数成し遂げています。

2. 業務要件定義からシステム設計・開発・保守まで一貫した対応が可能

一般的なSCP導入の座組みとして、業務要件定義をコンサル会社でサポートし、システム設計・開発・保守をパッケージベンダー・他SIベンダーで分断することが多く、要件認識齟齬やコミュニケーションミスによる品質低下やスケジュール遅延が発生するケースが多くあります。アクセンチュアは、要件定義~システム設定・運用までエンド・ツー・エンドで実現する組織体制・ケイパビリティを持っており、プロジェクトのQCD(Quality(品質)、Cost(コスト)、Delivery(納期))を向上させます。また、稼働後運用において計画業務データ分析を通じてさらなる業務改革の施策を提案・実行することでさらなる変革をサポートするサービスも保持しています。

3. 実行系と計画系の両方のシステム導入経験による、サプライチェーン全体の最適機能配置とシステム連動を実現

実行系と計画系業務は表裏一体であり、両者の業務・データは連動させる必要があります。実行系基幹システムと計画系システムでのマスタ・データ粒度の違いをいかに吸収するか、数か月先の中長期需給計画と日次の実行オペレーション計画をいかに連動させるかなど、サプライチェーン全体を俯瞰した上での検討が重要になります。本当か、と思われるかもしれませんが、計画系システムに無理にマスタメンテ機能を保持させてユーザビリティが欠如したり、実行系と同じカバー範囲での品目・BOM(Bill Of Material:部品表)数で複雑な制約要件をつめこんでパフォーマンス不具合を引き起こしたりなど、「使われないシステム」ができる話には枚挙にいとまがありません。アクセンチュアは、実行系基幹システム最大手のSAP ERPで11年連続The Best Service Partner Awardを受賞するなど実行系基幹システム導入実績は業界トップクラスです。実行系システムの豊富な導入経験に基づき、計画系と実行系の業務・システム特徴を見極め、サプライチェーン全体の最適な機能配置策定とシステム連動を実現します。

サプライチェーンプランニングはこれからの企業変革に不可欠な領域です。お客様特有の事業構造、目指す姿を見極めながら「本当に効果がでる仕組みの構築」を強力に推進していく所存です。最後までお読みいただき、ありがとうございました!

筆者

星 信継

テクノロジー コンサルティング本部 クロスプラットフォーム コンサルティング - サプライチェーン & オペレーション グループ アソシエイト・ディレクター