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Careers

里海珊瑚プロジェクト:障がい者の賃金向上を目指す

2023/10/10

こんにちは。マネジャーのNatsumiです。

アクセンチュアといえば、企業のコンサルティングのイメージが強いかと思いますが、実は色々な仕事があります。

その1つが社会貢献活動(コーポレート・シチズンシップ/CC)です。アクセンチュアでは、本業で培ったコンサルティングスキルやテクノロジーへの知見を生かし、複数のテーマを設けて継続的にCC活動に取り組んでいます。

今回は、“障がい者の賃金向上を目指す社会貢献活動”について、私の業務経験を交えて紹介したいと思います。

マネジャーのNatsumiです。
マネジャーのNatsumiです。

個性を生かして付加価値の高い就労を実現

障がい者の就労機会・条件は限定されていて、自立して生活をするために十分な賃金を継続的に得ながら、仕事のスキルを身につけ、キャリアを築いていくことがまだまだ難しい状況にあることはご存知でしょうか。私が参画するプロボノプロジェクト(非営利団体に対する無償コンサルティング)では、障がい者が自らの個性を生かして就労スキルを身につけ、付加価値の高い就労を行い、その対価として十分な賃金を継続的に獲得できる事業を立ち上げることを目指して活動を行っています。
では、どのような事業が適しているのか。私たちが出した結論は——すでにタイトルが答えになってしまっていますが、“珊瑚保全”でした。

沖縄をはじめ、日本各地で見られる色とりどりの珊瑚。珊瑚は人々の目を楽しませるだけではなく、生物の住処や産卵場所として、海の生態系を守る存在です。その珊瑚が今、温暖化や海洋汚染の影響などで、世界中で絶滅の危機に瀕していることを、みなさんも耳にしたことはあるかと思います。

これまでも自治体・企業・NPO等が、海中での養殖を中心に珊瑚の保全活動を行っていますが、継続的な活動資金の確保が容易でない上、海中養殖は制約も多く保全活動は困難です。そこで私たちは珊瑚を陸上の水槽と人工海水で養殖し、海に植え付けを行う保全活動の方法を考えました。専門性の高いスキルが必要な水槽管理は障がいのある方の個性を生かして行います。社会的に意義の大きい仕事へ携わることで働く方々のやりがい、スキルの習得、継続的な就労を実現する試みです。
さらに、サステナビリティという言葉が共通認識となり、企業も消費者も、社会的価値に対価を支払うことが当たり前の時代となったことも追い風に、事業という枠組みで珊瑚保全に取り組むことに可能性を感じました。

海中に広がる珊瑚
海中に広がる珊瑚

ダイビングスポットとしても有名な座間味島にて、海中に広がる珊瑚

水槽DX(デジタル・トランスフォーメーション)とは

事業化の活動は、沖縄・那覇のIT・福祉スタートアップであるサンクスラボ株式会社と協働し始まりました。また、アクセンチュアが関わるからには、テクノロジーの活用は切り離せません。珊瑚はとても繊細な動物であり、水質や水温など、生育環境が悪くなるとすぐに衰弱します。そのため、水槽での珊瑚養殖を成功させているのは、一部の水族館や研究所等に限定され、「オフィス水槽での養殖は無理だ」と有識者に一蹴されたこともありました。そのような中で、繊細な珊瑚を、障がい者が安心して飼育できる環境を整えるという目標のもと、水槽DX(デジタル・トランスフォーメーション)という活動が始まりました。

自宅で珊瑚を飼育していたアクアリストや、元研究員さんなど、協力者も集まり、約2年間、試行錯誤を繰り返しながら、オフィス水槽での珊瑚養殖ノウハウを確立していきました。そのノウハウをもとに、IoT機器によるモニタリングシステムや、ユーザービリティに配慮したタスク管理アプリの開発、飼育マニュアルの作成などを通じて、障がい者が活躍できる業務に落とし込み、今では那覇のサンクスラボ社のオフィスの水槽は21台に増え、安定した珊瑚養殖が可能になりました。2023年5月には、天然海水と人工海水を組み合わせた、オフィスの水槽での産卵・受精にも成功しています。

 

満月の夜に赤みのある卵を次々と水中に放出する珊瑚の産卵の様子
満月の夜に赤みのある卵を次々と水中に放出する珊瑚の産卵の様子

那覇オフィス水槽にて、満月の夜に赤みのある卵を次々と水中に放出する珊瑚の産卵の様子

美しい景観を形作る“持続可能な里海”を広げていく

この活動は企業やパートナー企業の共感を呼びました。今では、20名近くの障がい者の方々が水槽管理のスキルを身に付け、その中には企業の社員として、適正な賃金で就労を実現した方もいらっしゃいます。「自宅でアクアリウムを始めました」「こんなにお給料を貰ったのは初めてです」と、笑顔で報告をいただき、嬉しかったです。

また、陸上で育てた珊瑚は定期的に地元漁協の協力を得て海へ植え付け、珊瑚を守り増やす活動を行っています。定期観察を繰り返しながら、海中での保全ノウハウの確立、海洋の360°モニタリングシステムの開発など、さらなるテクノロジーの活用に挑戦中です。
加えて、“里海珊瑚プロジェクト”の名を冠するこの活動は、珊瑚を植え付けて終わりではなく、同時に、多くの生物たちの住処となり、美しい里海の景観を形作る“持続可能な里海”を広げていくこともコンセプトの一環です。
里海構想では、株式会社GKデザイン機構とパートナーシップを組み、海中に珊瑚を植え付つけるための基盤を制作し、改良を続けています。観光客や地元の子供達など、誰でも簡単に植え付け活動への参加ができれば保全活動への参画ハードルが下がりますし、地形・生態系・波や潮の流れなどが異なるあらゆる海の環境でも珊瑚を育てることができれば保全活動のエリアも広がります。
7月には、東京ミッドタウン・デザインハブで開催された世界デザイン会議のプレイベントで、珊瑚基盤の模型や活動紹介に関する展示も行いました。

地元の漁師さんやダイバーさんと協力し、海中に設置した鉄製の基盤

イノベーションの現場に立ち会うことで成長

ここまでは長々と“里海珊瑚プロジェクト“の紹介でしたが、最後に、キャリアブログということで、私自身の話をします。 

私は漠然と社会のためになるような仕事がしたいと考え、学生時代には法学・社会科学を学びました。ですが、学んでいくうちに、官公庁で働く自分が全く想像できず、ビジネスによる社会貢献、新しい技術の活用や素晴らしいアイデアによるイノベーションに魅力を感じ、コンサルタントになりました。いつかはソーシャルビジネスを立ち上げてみたいという思いで、アクセンチュアでは主に、新サービス構想や成長戦略策定など、企業が市場・消費者に対して価値をもたらすことのできる機会にかかわる業務を経験してきました。 

そんな中、偶然このプロジェクトの話を聞き、志願してメンバーに加わることになりました。
多くの大企業が事業環境の不確実性に頭を悩ませ、イノベーションを志向する中、私のコンサルティングに欠けていたのは、“里海珊瑚プロジェクト”のようなイノベーションの現場に立ち会う経験でした。不完全な事業を少しずつ形にしていくスタートアップの社員のような経験ができるこの仕事には、キャリア志向や成長機会との親和性を感じ、さらには会社の中で色々な経験を蓄えられるありがたさも感じました。
また、今までに会ったことのない、異なる価値観やバックグラウンド、専門性を持つ方々とのお仕事は、私の思考の裾野や人のつながりを広げてくれました。多様性を大切にしたチームで、個性を活かして成果を生むという方法は、普段から私自身もマネジャーとして大切にしている行動原理ですが、それを体現するのにふさわしいプロジェクトであるとも感じます。

例えば、珊瑚のわずかな体調の変化も見分けることができ、水質の変化を察知しコントロールできるアクアリスト、海や天候の性質を深く理解しながら、ハードな潜水をこなすダイバーさんや漁師さん、センサーや太陽光パネルを使い、回路やプログラムを組んで、ゼロからツールを作ってしまうエンジニア。熱意と誇りを持ち、楽しんでお仕事に向き合うメンバーばかりで、とても楽しく刺激的です。
そして、今では沖縄が大好きです。私の地図アプリはお気に入りの絶景ドライブスポット、タコライス屋さんのリスト、音楽アプリは国道58号線ドライブ用のプレイリストでいっぱいです。未だに船酔いと潜水は苦手なのですが…。

ここまで読んでくださりありがとうございました。今後は、障がい者の自立支援や珊瑚保全に共感いただける方々が、この活動に参加できる機会作りを検討中です。ぜひ、いつかどこかでお会いできるとうれしいです。

浦添に広がるイノー<沖縄方言で珊瑚礁に囲まれた浅い海>にて
浦添に広がるイノー<沖縄方言で珊瑚礁に囲まれた浅い海>にて

浦添に広がるイノー<沖縄方言で珊瑚礁に囲まれた浅い海>にて

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