セキュリティ：信頼の構築

より良いサービス体験を通して市民との信頼関係の構築を目指すのであれば、公共機関は個人情報の保護とセキュリティの確保に、最優先で取り組むべきです。

言うまでもなく、個人情報のセキュリティに関する懸念は、公共サービスを利用したときの感じ方やサービスおよび公共機関に対する信頼度に影響を及ぼします。市民の多くは、個人情報を確実に保護し、適切に活用するためには、公共機関の能力が不十分ではないかと危惧しています。

このような懐疑的な声には、公共機関に対する信頼の理想と現実との間に厄介なギャップがあることを示しています。世界中のほとんどの人々が、現実として公共機関が管理する資産、ウェブサイト、インフラにおける非常に大きな脅威が存在していることを、直感的に理解していると言っても過言ではないでしょう。公共機関がより快適な公共サービスを通して優れた市民体験を提供していくためには、公共機関に対する理想と現実のギャップを埋めるための取り組みが鍵となります。

情報セキュリティに関する対策の範囲は技術面だけにとどまりません。職員に対するセキュリティ教育も極めて重要な対策です。職員の情報セキュリティのリテラシーを底上げするだけで、市民から信頼が得られるわけではありませんが、信頼を損なう将来のリスクを低減することができます。セキュリティ教育は規制の枠を超えたアプローチを採用すべきです。人間の行動を真に変えるためには、魅力的なコンテンツと人間中心の学習モデルを採用する必要があります。あらゆる組織にとって、人間による過失は最大のセキュリティリスクとなるからです。

心強いことに、市民は信頼に関するギャップやセキュリティ関連の懸念があるにもかかわらず、公共サービスが改善されるのであれば、より多くの情報を公共機関と共有してもよいと考えています。調査では、サービスの品質と公共機関に対する信頼との間の重要な関係性を浮き彫りにしています。