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調査レポート

再創造を可能とするデジタルコアの獲得

第2章:テクノロジーを梃子にいかにして継続的な再創造を行うか

5分(読了目安時間)

2024/11/06

概略

  • デジタルコアは、継続的な再創造を通じた飛躍的なパフォーマンス向上のために不可欠なテクノロジーケイパビリティです。​
  • 生成AIと新たなエンジニアリング原則により、再創造を可能とするデジタルコアの獲得を現実的に進めることができます。
  • 先進的で適応力の高いデジタルコアを構築するための3つのエンジニアリング原則は、「意図を持って作り上げる」、「点と点をつなぐ」、そして「エコシステムとともに繁栄する」です。

強力なデジタルコアにより再創造に備えることは不可欠です。

私たちのレポートの第1章では、再創造への備えとして企業が徹底すべき3つの基本原則を明らかにしました。それは、①業界をリードするデジタルコアの構築、②イノベーションへの投資の強化、③技術負債のバランスを取ることです。これら全てを実施する企業は、大幅なパフォーマンス向上を実現しています。

60%

高い収益成長率

40%

高い収益性

第2章では、コストとリソースの効率性を保ちつつ、柔軟で強靭かつインテリジェントなデジタルコアを獲得する方法について詳しく掘り下げます。

デジタルコアは、デジタル基盤(クラウド優先のインフラ、セキュリティ、柔軟な統合などを含む)、データとAIの基盤、そしてデジタルプラットフォームから構成されます。
おさらい:デジタルコアとは何か

私たちはデジタルコアを、独創性ある再創造への野心を掻き立て、その実現を支える必要不可欠なテクノロジーケイパビリティだと定義しています。このデジタルコアは、俊敏性とイノベーションをもたらすクラウドの活用、差別化を可能とするデータとAI、成長を加速するためのアプリケーションとプラットフォーム、次世代の体験と最適化されたオペレーション、そして各レベルでのセキュリティにより構成されます。

新しいシステムの獲得に向けた、新たなアプローチとは?​

かつてのように硬直的なシステムの時代は終わりました。今日の急激に変化し続けるビジネス環境を勝ち抜くためには、デジタルコアは動き続け、常に学習し、適応していくものである必要があります。

AIや生成AIの台頭は、デジタルコアの構築や活用方法を含め、あらゆるものを再定義しています。

プログラミング革命

生成AIは開発者の生産性を30%向上させ、これまで以上にプログラミングを容易にしています。

AIエージェントの躍動

ポストトレード決済からエンドツーエンドの顧客エンゲージメントに至るまで、AIエージェントが複雑なタスクを担い、プロセスを変革しています。

プラグアンドプレイ型のイノベーション

今や各組織は、信頼できるエコシステムが持つAIイノベーションにアクセスし、微調整しながら取り込むことで、真の差別化を実現しています。

デジタルコアは変化のスピードに合わせて常に進化し、組織独自の目標を達成するために十分にスマートである必要があります。そして、過剰なカスタマイズに起因する悩みを避けることが重要です。

それはまるでF1レーシングカーのようなもので、瞬時の調整とハイテクなエンジニアリングが求められます。この世界では、最も適応力があり、知的なシステムだけが生き残れるのです。勝利をつかみ取るためには、テクノロジーを駆使してビジネスプロセスを再構築する高度なエンジニアリングが必要です。

今すぐ行動し、デジタルコアを進化させる

私たちの分析によって、デジタルコアの進化を効率化し、加速させる3つの重要なエンジニアリング原則が明らかになりました。それを私たちはACT原則と呼び、先進的な企業は他社対比2倍これを徹底しています。​

01

意図を持って作り上げる:AIを活用し、ダイナミックに適応可能なアーキテクチャに進化させる

ビジネスとテクノロジーのアーキテクチャを進化させ、動き続け、常に学習し、変化に柔軟に対応できる最新のコグニティブアーキテクチャを実現する。AIをオーケストレーターとして活用する。

先進企業は、イベントデータ、テレメトリ、および予測分析といった認知的要素を活用して、より賢く自動化を実現する取り組みを同業他社の2倍の頻度で行っています。

コラムチャートによると、上位25%の企業は継続的に自動化を行い、手動の作業から自律的な最適化へと移行しています。
02

点と点をつなぐ:SoR (Systems of Record)とインサイトをプラットフォームで接続する

取引プラットフォームと分析プラットフォームをシームレスに接続し、リアルタイムのインサイトを得ることで、ビジネス成果を導き出す。継続的なデータフローを確保し、常に最適化と振り返り、そしてより良い意思決定を可能とする。

トップ25%の企業は、データ統合とエンドツーエンドの可視化(CCP)において、他社の2倍のスコアを記録しています。

折れ線グラフは、上位25%の企業が下位25%の企業と比較してどのようなパフォーマンスを示しているかを説明しています。
03

エコシステムとともに繁栄する:主要なパートナーとともに次世代テクノロジーやイノベーションを迅速に取り込み成果を産み出す

スタートアップや大手企業のもつ最先端のイノベーションに大規模なエコシステムを通じてアクセスし、より早い差別化を実現する。これらの主要パートナーが提供するセキュリティ、信頼性、および統合の利点を享受する。

先進企業は、大規模なエコシステムを通じて次世代テクノロジーに早期にアクセスする可能性が2倍高い結果が出ています。

縦棒グラフは、上位 25% の企業が新しいテクノロジーを採用する可能性が 2 倍高いことを示しています。

どう始めるか:リーダーシップが鍵

最新のデジタルコアを構築するには、経営陣による能動的な行動が不可欠です。その中には次のようなものが含まれます。

CIOやCEOは、AIをコアプロセスに統合し、AIを最優先したインテント駆動型のアーキテクチャを実現する先頭に立つべきです。リアルタイムのインサイトと意思決定の自動化に焦点を当て、テクノロジーとチームを連携させて、より迅速なイノベーションを推進します。

60%

の経営者が、より賢い製品やサービスに影響を与えるためにAIを活用し始めています。

CIOとCDOは、協力してAI駆動の分析をビジネスシステムに組み込み、オペレーションの容易化と人手への依存度を下げる必要があります。CEOはビジネス戦略を調整し、AIに主要な業務の最適化を担わせるべきです。

34%

の企業が、オペレーションおよび報告のニーズを満たすためにデータモデルが標準化され、コアプラットフォームやアプリケーション全体で整合していると述べています。

CIO、CEO、CSOは、協力してスタートアップや大手企業からのイノベーションを取り込みながら、リスクと技術負債を最小限に抑えるエコシステム戦略を構築する必要があります。これにより、技術およびビジネスの両面でプライオリティを合わせることができます。

50%

平均的なCIOは、依然として時間の50%を保守などの戦術的なタスクに費やしています。

先進的なデジタルコアをいかに活用するか

最新のデジタルコアを獲得したとしましょう。これにより、何ができるようになるでしょうか?ここでは、デジタルコアを活用して組織全体で再創造を推進するためのいくつかのヒントをご紹介します。​

ITトランスフォーメーションを始動する

76%のIT幹部が、今後3年間で生成AIによる変革の主要分野としてITを挙げています。最大の価値を引き出すためには、深く作戦を練ることで、先手必勝の取り組みに集中すると同時に、戦略的で高価値な投資にも着目することが重要です。​

IT担当役員の76%が、今後3年間における生成AI変革の主要分野としてITを挙げています。
IT担当役員の76%が、今後3年間における生成AI変革の主要分野としてITを挙げています。

AI変革の主要分野と期待される影響

アジャイルな働き方を取り入れる

新しいテクノロジーの可能性を真に引き出すために、企業は、革新的なオペレーティングモデル、プリンシプル、およびプロセスを一貫性をもって実現する必要があります。柔軟性を組織の体質に組み込むことが、機動性による競争力を確保する鍵です。

68%

の企業が、プロジェクトのニーズに応じてチームメンバーが流動的に参加・離脱できる強力なケイパビリティを構築していると報告しています。

67%

の企業が、テクノロジーやその他のスキルを統合した、強力で多分野にわたるクロスファンクショナルなチームを構築していると報告しています。

会話し続ける

デジタルコアを正しく構築すれば、その可能性は無限大です。例えば、AIエージェントが取引を交渉したり、個別化医療や予防医療を提供したりすることを考えてみてください。それは単に新しいブレークスルーをもたらすだけではありません。今日の最先端技術をもってすれば、既に存在するプロセスにおいても価値を産み出すことができるのです。

企業は、新しいエンジニアリングプリンシプルとリーダーシップへの熱心なコミットメントによって、デジタルコアを通じた野心的な目標の実現を加速させることができます。また、他の重要な要素にも新しい方法を適用する方法があります。例えば、革新的なオペレーティングモデルの構築、生成AI時代に対応するためのセキュリティの強化、インフラとアプリケーションの適切な管理を通じた技術負債のコントロールなどです。​これらのトピックについては、別途詳しく探求しています。

待つ必要はありません。今日からこの変革を開始しましょう。相応の努力が必要となりますが、それを補って余りあるリターンが期待できます。​

筆者

Karthik Narain

Group Chief Executive – Technology and Chief Technology Officer

Lan Guan

Chief AI Officer

Ram Ramalingam

Global Lead – Software & Platform Engineering and Intelligent Edge

Koenraad Schelfaut

Lead – Technology Strategy & Advisory

David Wood

Global Technology Consulting Lead

Surya Mukherjee

Senior Principal – Global Technology Thought Leadership