サブスクリプションビジネスの最前線：Zuoraｘアクセンチュアによるシナジーとは

──ビジネスの「サブスクリプションモデルへの転換」が、なぜ世界中で起こっているのでしょうか。

Robbie　まず1つ言えるのは、ビジネスのあり方が「所有から利用へ」、言い換えるならば「オーナーシップからユーザーシップへ」と移り変わっていることです。これは業種・業界を問わず起こっている事実です。

では、なぜ「所有から利用へ」という変化が起きているのでしょうか。それは顧客のニーズが変化しているからです。近年の消費者は「所有」するよりも「色々なことを試したい」あるいは「成果・結果が欲しい」という欲求を明確にしていると同時に、企業との新しいエンゲージメントの方法を求めています。

その要求に答えるには、製品・サービスを提供している企業はアジャイルになり、長期的な顧客とのリレーションシップ構築に取り組むことが重要です。これを実現するビジネスモデルがサブスクリプションであり、変化する顧客ニーズを捉えながら価値を提供し続ける、顧客中心のビジネスモデルなのです。

サブスクリプションモデルの企業は、S&P 500企業と比較して、この10年間の成長率が4.6倍に達しています。2021年の実績だけを取り出してみても、S&P 500企業の成長が12％なのに対し、サブスクリプションビジネスへと転換した企業の成長率は16.2％です。*¹

──日本企業における、サブスクリプションモデルへの転換の状況を教えてください。

桑野　コロナ禍によって、多くの企業がDXを加速させています。なかでも製造業のDXの取り組みは、世界に追いつく勢いです。Zuoraが提唱するサブスクリプションエコノミーは、まさに日本にも広がりつつあるといえます。

Zuoraの日本法人は2015年に発足し、すでに8年目に入りました。日本進出当初はテクノロジー業界のお客様が多数派でしたが、昨今ではメディア企業、ガス・電力などのユーティリティー企業、モバイルなどを手掛ける通信企業、金融機関、流通・小売企業、製造業のお客様も増えています。

多くのお客様に共通するキーワードが「危機感」です。メディア企業は広告収入に加えて紙媒体の販売数が落ち込み続けていますが、コンテンツのデジタル化とサブスクリプションモデルの採用で新たな収益の確保を進めています。人口動態を見ても日本国内のマーケットでコアビジネスを成長させるのは困難です。新たなビジネスの創出に、サブスクリプションは貢献しています。

家電や自動車メーカーも、Zuoraの仕組みを使って新たなデジタルサービスに取り組んでいます。コピー機等の複合機メーカーは国内トップ6社がZuoraを採用しています。新たなデジタルビジネスとして、オフィスの課題を解決するソリューションビジネスをクラウドベースで展開されています。

篠原　お客様がお持ちの「危機感」は、私たちも日常的にお会いしている経営者の方々から強く感じます。国内経済はもちろん、世界経済も大きく変容しました。日本企業のグローバル展開においても、サブスクリプションへの転換は、ビジネスチャンスになると思います。

齋藤　一方で、日本企業はサブスクリプションモデルに懐疑的な方々も少なくありません。新規ビジネスをどのように立ち上げ、スケールさせるのか。そのためには何が必要か。ユーザーからのフィードバックをデータに基づいて検証し、新たな価値創造にはアジャイルな仕組みが必要です。そのためにはトライアル＆エラーが避けられません。

篠原　プロセスやシステム、例外処理、顧客ごとのケースなどを考え出すと前進できなくなります。まずはシンプルに考え、実践いただくことをお薦めしています。日本のビジネスパーソンはHowへの関心が強いですが、実践しなければ知見や経験は手に入りません。Zuoraとアクセンチュアはお客様の成功へ向けて、そうした取り組みをご一緒しています。

Robbie　その通りです。サブスクリプションモデルを成功させることは、まさにジャーニーです。高いレジリエンシーを持ちながら、一緒に地図を見て進んで活動することだと言えます。

篠原　アジリティとレジリエンスは、まさに両輪ですね。

──サブスクリプションモデルへの転換を成功させるには、どのような取り組みやソリューションが有効なのでしょうか。

桑野　具体的には先ほどRobbieが紹介した、オーダー・トゥ・レベニュー（受注から収益認識まで）の仕組みを持つアジャイルプラットフォームを構築することです。

Zuoraのソリューションはプライシングやパッケージング、見積、受注・契約管理、請求管理、回収、収益認識、会計仕訳、KPI、分析までをカバーしています。つまり、サブスクリプションビジネスにおける収益化の全プロセスを一気通貫で扱っており、高い柔軟性を誇っています。たとえば、従量課金などの新たなプライスモデルの導入や、アップグレードのプランを提供する場合でも、簡単な設定作業で迅速に準備ができます。また、アップグレードなどの契約変更に伴う日割りの請求計算や、サービスのアクティベーションから収益認識までをすべて自動化することが可能です。

Zuoraのソリューションはグローバルのお客様のリクエストをもとに10年以上毎月バージョンアップを繰り返し行なってきており、「収益化のノウハウ」としてお客様にご活用いただいています。新しいビジネスを立ち上げて成長させていくためには、試行錯誤ができるアジャイルな環境が必要になりますが、まさにそれがZuoraのプラットフォームを多くの企業でご採用いただいている理由の一つです。