シームレス・カスタマーエクスペリエンス支援体制強化


サービスデザインとエンジニアリングの融合で実現する顧客体験

中尾 達也
Accenture Song マネジング・ディレクター
加藤 圭介
Accenture Song マネジング・ディレクター​
2021年3月8日

概略

  • 購買チャネルが多様化する中、顧客を中心にマーケティングとコマース、サービスを一体的・統合的に運用するアプローチ「シームレス・カスタマーエクスペリエンス」がビジネス成長の鍵になる
  • サービスデザインとクラウド領域エンジニアリングの優れた人材が集い、クロスクラウド/マルチプラットフォームを手掛けている国内有数の企業であるタンバリンが2021年11月にアクセンチュア インタラクティブ(現アクセンチュア ソング)に参画
  • アクセンチュアはコマース領域における豊富なナレッジと経験を有するタンバリンとの協働により、顧客体験を起点としたビジネス変革を支援する体制を強化

※本記事は株式会社タンバリン(2021年11月にアクセンチュア株式会社に参画、2022年6月1日付で同社を存続会社として吸収合併)とアクセンチュアの協働によるコマース領域の支援体制の強化をご紹介するため、2022年3月に公開されました​

購買チャネルをつなぐ
シームレスな顧客体験がビジネス成長の鍵

加藤 圭介(以下、加藤) 人や企業がモノを買ったりサービスを受けたりする行為をまとめて購買行動といいますが、デジタル技術の普及を受け、購買のあり方も大きな転換点を迎えています。エンドユーザー(消費者)が購入チャネルを検討するときにデジタルを介するケースが増えており、オンラインと対立して考えられがちな「リアル店舗での対面販売」においてもデジタル技術を取り込んだ新しい顧客体験(カスタマーエクスペリエンス)の創造が進んでいます。例えば、オンラインで商品を探してECサイトで注文や予約、決済までを完結させたうえで、リアル店舗でピックアップする。または手軽な方法で取り置きを依頼し、最寄りの店舗で支払って購入するといったショッピング体験がその具体例です。

顧客のニーズや嗜好が多様化する中、このようなオンライン(eコマース)とオフライン(リアル店舗)を融合させる体験をデータを駆使して個客にパーソナライズされた形で届けられることは、企業の競争優位性の源泉になります。なぜならば、こうした新しい体験こそが、ブランド力を向上させ顧客の購買意欲を刺激するからです。逆に、こうした体験を実現できなければ顧客は離れていってしまうでしょう。より良い体験を創造できるかどうかは、ビジネスを左右するシビアな要素なのです。

エクスペリエンスの重点領域、
コマースの強化

加藤 アクセンチュア インタラクティブが目指す「シームレス・カスタマーエクスペリエンス」は、個客に徹底的にフォーカスしたうえで、各タッチポイントを通して一貫した顧客体験を提供するために企業の様々な機能を一体的・統合的に運用していくアプローチです。

シームレス・カスタマーエクスペリエンスは主に次の3つの機能で構成されます。これらを統合されたデータプラットフォームで運用してこそ、デジタル時代にふさわしい顧客体験を実現することができると考えています。
  1. 顧客ニーズの多様化を的確に捉える「マーケティング」
  2. 顧客とのコミュニケーションを最適化して購買へつなげる「コマース」
  3. 商品・サービスの体験価値を向上させる「サービス」

アクセンチュア インタラクティブはデジタルを活用したマーケティングの高度化やサービスの最適化・効率化で幅広い業界の企業をご支援してきました。

しかし私たちにも強化が必要な領域が存在しました。それが「コマース」領域です。

2021年11月、株式会社タンバリンをアクセンチュア インタラクティブのグループへ迎えたのは、まさにこのコマース領域の支援体制を強化し、お客様企業と共に目指すシームレス・カスタマーエクスペリエンスの実現をより速く、より力強く推し進めたいという目的を叶えるためでした。

エクスペリエンス起点で実現する
ビジネス変革にお互いが共鳴

中尾 達也(以下、中尾) アクセンチュア インタラクティブへの参画は、私たちタンバリンにとっても「近い将来に必ず実現したいビジョン」を達成するための最高のチャンスでした。

タンバリンは2015年の創設です。eコマースサイト構築に知見と経験を持つエンジニアや、お客様企業が本質的に目指す顧客体験を具現化するためのコンサルティングを含むサービスデザインの専門家が在籍しています。

アクセンチュア インタラクティブが提供している幅広い領域のサービスを、タンバリンでは「フルサービス」や「エンドツーエンド」と表現していました。顧客接点の構築、データの連携、データドリブンによるインタラクションの高度化、最終的な顧客体験の最適化など、eコマースをプラットフォームとしてフルサービスでの顧客体験の創造を実現したいと考えながら、日々のプロジェクトに取り組んできました。

私は経営者として、そうしたビジョンをいかに早く実現するかに全力投入してきました。お客様企業へ価値をお届けすると同時に、共に働くタンバリンのメンバーにやりがいのある仕事と成長機会を提供し続けたい。デジタル関連業界は売り手市場でもあるので、タンバリンを魅力ある第一線レベルの会社として成長させ続けることが私のミッションでした。

加藤 そうしたタンバリンを率いる中尾さんと、ぜひ一度お話しする機会を得たいと思っていました。タンバリンはSalesforce Commerce Cloudの扱いにおいて日本トップレベルの実績と実力をお持ちです。タンバリンと私たちが協働すれば、シームレス・カスタマーエクスペリエンスの実現、さらにはその先にある顧客体験を起点としたビジネス変革が可能だと確信していました。

中尾 お話を伺ってみると、私の思い描いた将来像と、アクセンチュア インタラクティブが掲げている未来がほとんど一致していることに驚きました。

コミュニケーションと体験をどのように設計し、ECサイトや店舗、コンタクトセンターを含めた全チャネルを横断する体験設計をいかにして具現化するか。実現手段であるプラットフォームの作り方など、方向性から具体論まで、多くの場面で共感したことを今でもよく覚えています。

アクセンチュア インタラクティブと協働したら、私やタンバリンの仲間たちが思い描いた世界の実現へ向けて一気にジャンプできる。そのような期待が高まり、参画を決意しました。

クロスクラウドを手掛けられる、
国内屈指のスペシャリスト集団

中尾 これまで消費者はリアル店舗や広告のクリエイティブなどを通じてブランドを体験していました。しかし昨今ブランドを形作るものは、デジタルを通じて提供されるサービス体験そのものとなっています。顧客体験がビジネス成長の重要なドライバーであるのはそのためです。

同時にデジタルは、システムによって成立しています。つまりフロントエンドとバックエンドのSIによって顧客体験を届けるシステムが具現化します。

バックエンドは業務システムであり、要件を定義して構築していく一般的なSI案件と共通しています。フロントエンドはお客様のビジネスの成長の柱となるカスタマーエクスペリエンスを設計し、実現へと落とし込んでいく仕事です。アプリのデザイン、UIやUX、サービスの使い勝手の設計力、デザイン力が必要となります。

加藤 テクノロジーの活用については、タンバリンは特にマルチクラウドを強みとしていますね。

中尾 はい。「デザインする力」と並んで、「クラウドプラットフォームを駆使して短期間でシステムを構築する力」がタンバリンの主要な提供価値です。この2点は多くのお客様から評価いただいています。

世の中にリリースされるまでの間に、様々な技術的制約によって当初の構想やイメージ、予定した機能が失われる場面をたくさん経験してきました。だからこそ、「良い体験」を実現させるにはデザインと開発がシームレスにつながるテックスタックや開発プロセスが非常に重要だと考えています。

私がタンバリンの経営者として大切にしてきたのは、こういう点です。お客様企業が必要としているビジネス上の価値を、我々がいかに具現化するかを突き詰めてきました。

だからエンジニアに求めるのはスピード感と同時に、ユーザーと同じ視点に立つこと。お客様企業の担当者と対話する際、「どのように作ったらエンドユーザーにより良い体験をお届けできるか」といった視点で考え、語り、直接提案できる顧客志向のマインドを持つエンジニアであることを重視してきました。

加藤 そうした経緯の中でSalesforceのソリューションのナレッジも蓄積されてきたのですね。

中尾 そうです。クラウドのメリットはSIに必要な経験をクイックに蓄積できる教材や事例が充実していることです。加えて、タンバリン社内にも多くのナレッジを集約できています。短期間でエンジニアやPMをオンボードするうえで、ナレッジは不可欠な武器なのです。

タンバリンではスタッフの47%がSalesforceに関する資格を取得しています。たとえばSalesforce認定アドミニストレーター、Salesforce認定B2C Commerce デベロッパー、Salesforce認定Heroku Architectureデザイナー、Salesforce認定JavaScriptデベロッパーなどの有資格者が多数在籍し、プロジェクト現場をリードしています。

創業時から、私も含めたメンバーがSalesforceをプラットフォームとして扱っています。Salesforceの知見はもちろん、Herokuも日本に進出した当時から活用しているため国内随一のノウハウを蓄積している企業と自負しています。Salesforce Commerce Cloudでカバーしきれない部分をHerokuで作るケースも多々あります。

加藤 案件として多いのはSalesforce Commerce Cloudですか?

中尾 数が多いのはその通りですが、Salesforce Commerce Cloud単体だけでなく、周辺の決済サービス、ID認証基盤、Salesforce CDPとのデータ連携など、幅広いプロジェクトがあります。Salesforce Marketing Cloudと連携させるプロジェクトにも以前から取り組んでいましたが、2020年1月に社内で準備チームを立ち上げて以来、非常に力を入れてきました。

このようにマルチプラットフォームやクロスプラットフォームと呼ばれる、基盤をまたがるクラウド環境の構築・連携に関するノウハウには自信があります。その分野に強いエンジニアが多く在籍しているのもタンバリンの強みです。

加藤 クロスクラウドを高い技術レベルで手掛けられるベンダーは、日本国内でも決して多くはありませんね。

中尾 はい、Salesforceの複数の製品を同時に活用するプロジェクトの経験は豊富です。

世界観を実現したプロジェクト ――GROOVE X「LOVOT」

加藤 2020年にはSalesforce社からPartner Awardの「Innovation Partner of the Year」で表彰されています。

中尾 この受賞で評価いただいたのはサブスクリプションのビジネスモデルで家族型ロボット「LOVOT[らぼっと]」を展開されているGROOVE X様のご支援事例で、まさに私たちが実現したい世界観を体現したプロジェクトでもありました。

技術的なところでは、LOVOTの販売サイトはSalesforce Commerce Cloud(B2C Commerce)、Salesforce Marketing Cloud、Herokuを組み合わせているほか、Google Cloud Platform、Zuora、Marketoとも連携するマルチクラウド環境で構築されています。2019年のローンチ時に、事前予約サイト、MyLOVOT(お客様ポータルサイト)、LOVOT Webストア、カスタマーサポートのCRMプラットフォームを同時に立ち上げました。

ペットのように癒やしを届けるLOVOTは、家族の一員になるロボット。カスタマーサポートも含め、オーナーさんと長期的な関係を築くことが大切です。そのため、いかに世界観を実現できるかがとても重要になります。例えば、LOVOTをメンテナンスに送るのは「修理ではなく入院」。"入院中"の状況をお知らせするメールも、「一緒に入院中のLOVOT仲間のお世話もしてくれていて、とても頼りがいがあります」などオーナーさんに親しみを感じてもらえるメッセージを届けます。このようなユーザーとのコミュニケーションのすべてはフルデジタルを前提として構築され、CRMでシームレスに提供されています。

お客様企業が構想する、ユーザーとブランドが共に惹かれ合うような世界観やコミュニケーションを実現したい。世界観を支えることによってエンドユーザーに価値を届け、お客様のビジネス成長に貢献し、さらには世の中をより良くしたい。このような思いを私自身とタンバリンのメンバーは共有しています。

自分の手掛けた仕事が社会にインパクトを与えているという手応えは、仕事に対するやりがいを強く感じさせてくれます。アクセンチュア インタラクティブと一緒になることで、世界トップレベルのプロジェクトに携われる機会が広がります。これからメンバーの視座も高まっていくでしょう。今後のコラボレーションが楽しみです。

加藤 タンバリンが持っている"良さ"を、ぜひアクセンチュアへ注入していただきたいと期待しています。

顧客体験を起点とするシームレス・カスタマーエクスペリエンスを実現させ、人々の日常がより豊かになる未来の社会を形にしていきたいと思います。そのためにもタンバリンのメンバーと面白い企画をどんどん具体化したいと願っています。

中尾 こちらこそ宜しくお願いします。
アクセンチュアでは、お客様企業の組織を変革し成長を実現するさまざまなサービスを用意しています。 ​

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