課題―求める変化

アクセンチュアのオペレーションズ コンサルティング本部は日本マイクロソフト株式会社(以下日本マイクロソフト)からの業務委託を受け、シェアードサービスの「MS Business Support Center(以下BSC)」を運用し、日本マイクロソフトの社員がより付加価値の高い業務に集中できるように業務の支援を行っています。

BSCの特徴は、庶務業務に加えて、営業、マーケティング、レポーティングなどの業務に関しても業務委託を受け、1000種類を超えるサービスを提供していること。また、一部業務については中国・大連でのオペレーションも行っています。

BSCが発足したのは、日本マイクロソフトが品川に本社機能を移転して間もない2012年の頃。当初は庶務業務のみを受託するサポートデスクとしてサービスを開始しました。本プロジェクトに関わってきた日本マイクロソフト マーケティング&オペレーションズ コーポレート戦略統括本部の田中陽一郎氏は、アクセンチュアに業務を委託した背景には、既存業務の肥大化や複雑化した社内の体制があったが、自社の業務を客観的な視点で把握・整理することは難しく、第三者のサポートを必要としていたのだと述べます。

そこでなぜ、アクセンチュアを選んだのか。田中氏は次のように振り返ります。

「私たちがアクセンチュアさんを選んだ理由のひとつは、当社と既に他の領域で業務委託の実績があったこと。もうひとつは、マイクロソフト製品の知見とテクノロジーを持っていること。そして最大の決め手は、庶務業務の整理のみならず、数年後を見据えたロードマップまで提案してくれたことが大きな理由でした」

日本マイクロソフト株式会社 マーケティング&オペレーションズ コーポレート戦略統括本部 ビジネスサポートセンター ビジネスブログラムマネージャー 田中 陽一郎氏

事実、BSCのサービス開始から数年後には、再び業務が肥大化してきた状況を受け、アクセンチュアは再度デューデリジェンスを実施。このタイミングからBSCは既存の庶務業務に加えて、マーケティング、レポーティングを含めた1000種類以上のサービスを提供する体制へと切り変わりました。

この時、1000種類以上における業務のデューデリジェンスにあたったのが、アクセンチュア オペレーションズ コンサルティング本部のマネジング・ディレクターである小林美奈です。膨大な業務量に近道というものは存在せず、小林は丹念に一つひとつ地道に業務の整理を行い、日本マイクロソフトの業務の将来像やToBeの姿も見据えた提案を行っていきました。

業務改善は確かに重要なミッションの一つではありましたが、日本マイクロソフト執行役員 コーポレート戦略統括本部長 本多正樹氏は、本プロジェクトの目的は単なる業務効率化に留まるものではなかったと述べます。

「私たちにとって業務効率化以上に重要だったことは、顧客目線に立ち返ることです。業務を委託することによって、自分たちの業務が“何の為のものなのか”を見つめ直し、それまで以上に自分たちがお客様に寄り添えるようにならなければ標準化の意味はありません」(本多氏)

取り組み―技術と人間の創意工夫

BSCでは当初700名以上の日本マイクロソフト社員からの業務依頼をメールで受けていましたが、依頼メールから対象業務を特定することは難しく、依頼時の不備も少なくなかったため、担当者のアサインまでには長い時間がかかりました。また、業務実績の把握についても、各業務担当者が記入した台帳を集約する必要があり、リアルタイムの状況把握も困難でした。

そこでアクセンチュアはチケット管理ツールの導入を検討。日本マイクロソフトとも協議を行った結果、同社の業務で既に活用されていたMicrosoft Power Platformのローコードアプリケーション作成ツール「Microsoft Power Apps」を紹介され、日本マイクロソフトのポリシーに準拠したチケット管理ツールを構築しました。

アクセンチュアの開発担当者によると、Power Appsの開発自体は難しくなく、今回のような1000種類以上の業務に対応できる汎用的な構成であったとしても、短期間での開発が可能であったと述べています。

また、BSCの提供サービスを拡大し、大連への業務移管を行う際には、日本マイクロソフトの社内から不安の声が上がりました。日本語スキルの問題、セキュリティの懸念などを挙げる社員が多かったのです。アクセンチュアは、日本マイクロソフトの社員が不安視する事象が発生しないように留意しながら業務プロセスの設計を行い、同社の田中氏とともに社員の不安の払拭に奔走しました。

一方、日本マイクロソフトの本多氏によれば、大連への一部業務移管は日本マイクロソフトにとって意識変革の好機でもあったといいます。

「海外に委託するのは不安だといっても、オフショアの活用はIT業界では当たり前です。アクセンチュアさんを信じ、自分たちの意識を変えていく必要がありました。 弊社代表取締役 社長の吉田仁志も、“Transform Japan, Transform Ourselves, Transform Together” を掲げ、常に言い続けています。この言葉にも表れているように、自分たち自身も変革していくことが重要なのです」

日本マイクロソフト株式会社 執行役員 コーポレート戦略統括本部長 本多 正樹氏

成果―創出された価値

2020年には新型コロナウイルスの流行が始まり、日本マイクロソフトでは同年3月から原則としてリモートワークに切り替わりました。リモートワークへの移行が迅速に実現できた背景には、以前からアクセンチュアが進めてきた業務プロセス改善や大連への一部業務移管が要因として挙げられます。

アクセンチュアは、日本マイクロソフトのリモートワーク移行に伴い、BSCのリモート対応に向けた調整に動きました。大連のセンターでは既にリモート対応を実施していたことから、その実績と環境を生かし、必要最低限の出社に抑えた体制を提案したのです。

当時は差し迫った状況ではあったものの、日本マイクロソフトからは大きな不安の声はあがりませんでした。また、アクセンチュアが紙の書類やハンコの削減に取り組み続けてきたことも、想定外の状況で大きな効果を発揮することになりました。

アクセンチュアがBSCのサービス拡充とともに業務プロセスの改善に取り組み続けた結果、リードタイムの短縮や問い合わせ数の削減などの効率化が実現され、日本マイクロソフト社員は付加価値の高い業務に今まで以上に向き合えるようになりました。ですが、このプロジェクトには終わりがないと日本マイクロソフトの田中氏は語ります。

「業務の状況は常に変わり続けます。効率化の余地がなくなることはあり得ません。私たちがアクセンチュアさんとともに取り組んできたのは単なるBPOではなく、デジタルトランスフォーメーション(DX)です。DXとは常に変化を続けることであり、終わりがありません。この変革はけっして特別なものではなく、BSCのモデルは他の企業にも適用できるものであり、このモデルを多くの会社に広めていくことで日本全体のDXにも繋がります」(田中氏)

また、トランスフォームの意義とアクセンチュアの提供価値について、日本マイクロソフトの本多氏は次のように述べています。

「トランスフォームと言っても、その中身は泥臭いことばかりです。アクセンチュアさんには1000種類以上の業務整理に始まり、チケット管理ツールの構築、継続的な改善提案など、数年にわたって地道な取り組みを続けていただいた結果、今の姿があります。トランスフォームではトップの強いコミットメントも必要ですし、何より本気で支えてくれるパートナーの存在は必須です。日本マイクロソフトにとって、アクセンチュアさんとのパートナーシップは、まさしく財産と呼べるものだと感じています」(本多氏)

日本マイクロソフトのDX、そしてBSCの進化には終わりがありません。アクセンチュアは、既存サービスのさらなる効率化のみならず、データを活用しながら業務高度化を目指し、よりよい顧客体験の実現を支援し続けて参ります。

前列左より日本マイクロソフト株式会社 執行役員 コーポレート戦略統括本部長 本多正樹氏、マーケティング&オペレーションズ コーポレート戦略統括本部 田中陽一郎氏、後列左よりアクセンチュア遠藤、小林、栗山 ※写真撮影時のみ、衛生面に配慮した上でマスクを外しております。

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