Skip to main content Skip to footer

調査レポート

ビジネス成長を牽引するCHRO

所要時間:約5分

概略

  • データ、テクノロジー、人材の力を活用し最適化した企業は、改革と成長の促進により、収益性が向上します。
  • 取り組みの鍵となるのはテクノロジーを活用したビジネスに対する洞察と、組織の壁を越えたコラボレーションを推進する力を兼ね備え、ビジネス戦略を「高解像度」で見ることができるCHROです。
  • 高い解像度でビジネスを理解した優秀なCHROがビジネス成長を牽引できるようにするため、企業がすべきこと、そしてそのような新たなCHROが組織にもたらすメリットについて解説します。

11%

データ、テクノロジー、人材を複合的に活用し最適化したときに得られるトップラインの生産性(従業員一人当たりの売上高)プレミアム

89%

CHROは長期的な利益成長を確保するために中心的な役割を果たすべきであると回答したCEO

29%

ビジネス成長を牽引するために必要な経験を持っており、変革を進める環境が整備されているCHRO

新たな成長の核となるCHRO​

データ、テクノロジー、人材を最大限に活用することに注力している企業は、各業界の上位25%に該当します。​

クラウドによって、かつてないほどのデータにアクセスできるようになった経営層は、組織内外の変革を力強くリードしていく方法を模索しています。

この変革をリードするのが最高人事責任者(CHRO)です。変革をリードするスキルを持つだけでなく、企業全体に大きな影響を与える新しいタイプのCHROは、データ、テクノロジー、人材が持つ力を相互に結びつけ、コラボレーションを促進し、経営層をリードしているのです。

デジタルエンタープライズに不可欠である優秀なCHROは、ビジネスの成長と優れた従業員体験をもたらします。彼らは組織の細部に目を配ることで新しい価値を見出し、継続的に改革を推進しているのです。

CHROは、企業の成長と改革を推進するビジネスリーダーであると捉える必要があります。そして、その任務を遂行するために充分な権限を彼らに与える必要があるのです。

ジュリー・スウィート、アクセンチュア 最高経営責任者(CEO)

優秀なCHROを見抜く方法

優秀なCHROは、その他のCHROと比較して、システム思考、財務分析力、リーダーシップ、IT知識、戦略的人材開発力、ビジネス洞察力の6つの重要なスキルにおいてトップレベルの熟練度を持つ傾向があります。

優秀なCHROは、経営層全体と深い信頼関係を築いている傾向が4倍も強くみられます。CEOをはじめ、CFO、CTO、COOとの関係においてそれが顕著です。また、組織や業界を超えた社外ネットワークを構築し、変革の範囲を更に広げています。その結果、競争優位を構築するためのイノベーションが可能になるのです。

CHROを支援する方法

適切なスキルと人脈を持っていたとしても、55%のCHROはビジネス成長に影響を与える環境が整っていません。企業はどのようにして、彼らに最適な環境を整えることができるのでしょうか。

従業員のことを優先して考える

人材は、変革と競合優位性をもたらす重要な資源です。CHROを含むすべての経営層は、自社で働く従業員が幸福(Net Better Off)なのか?という問いに対して説明責任を果たす必要があります。

データドリブンで組織内外の壁を越えたコラボレーションを実現する

変革は、リーダーがサイロ化された役割から脱却したときにはじめて実現します。CEOは、CHROを長期的な利益成長を牽引するための中心的存在として位置づけなければいけません。これは従来CHROの役割である人材獲得や能力開発に加えて、資本配分や製品開発など、通常の人事の権限外の領域にも巻き込むことを意味します。

変革の力を強めるために

アクセンチュアの調査によると、優秀なCHROは革新的な方法で人材を獲得し、データ、テクノロジーを活用することで、従業員の潜在能力を引き出します。CHROは今や人事部門を超えた改革を主導しているのです。すべての経営層は、CHROをビジネス成長を担う経営者として活躍させるべきか考えるべきでしょう。第一歩として、次の問いについて考えてみてください。

  1. 従業員が企業の成長を促進するために肩書きや役職を超えて考え、行動しているか。そしてその成果が認められる組織文化が浸透しているか。
  2. 変革を加速するために充分なデータとテクノロジーを持っているか。変革は組織内の摩擦が少ない方法で進められているか。
  3. 優秀な人材を採用し、人材の能力を開発し、潜在能力を最大化するための差別化された戦略を持っているか。
  4. 従業員が幸せ(Net Better Off)に働くことができているか、という命題に対して、すべてのリーダーが説明責任を果たせるか。

今こそトップ5%の仲間入りをするとき

未来の成功のために、今こそ改革が必要です。それは、データ、テクノロジー、そして人材、それぞれが持つ力を複合的に活用し、価値を最大化するところから始まります。これをCHROが実現するには、社内外の人脈や適切なスキル、そしてそれができる環境が必要です。また、上位5%の企業となるには、優秀なCHROだけでなく、経営層全員による強いリーダーシップが必要です。企業の成長を担うのは、経営層ひとりひとりなのです。

筆者

植野 蘭子

ビジネス コンサルティング本部 人材・組織 プラクティス 日本統括 マネジング・ディレクター

Ellyn Shook

Chief Leadership & Human Resources Officer

ユスフ・タヨブ

オペレーションズ担当グループ・チーフ・エグゼクティブ