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人事・タレントマネジメント業務の徹底見直しを行うトランスフォーメーション&トランジションモデル(T&Tモデル)
所要時間:約5分
2023/05/25
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所要時間:約5分
2023/05/25
担当しているモビライゼーショングループは、お客さまの業務を弊社BPOサービスの活用を前提として、効率的・効果的な新しい業務を構築する部署であり、BPRやDX、具体的な業務設計、業務移行、等の一連の変革を推進しています。
本ブログでは、昨今ご依頼やご相談が増えている人事・タレントマネジメント領域におけるBPOサービスを活用したお客様の業務の効率化・高度化について、BPRやDX、業務設計、業務移行についてお話したいと思います。
アクセンチュアは、人事・タレントマネジメント領域のBPOサービスにおいて25年以上の実績があり、現在日本企業のお客さまとしては20社超、800FTE以上の体制でサービス提供を行っています。日本企業向けにBPOサービスを提供している拠点は、お客様の建屋内、弊社国内拠点(主に福岡・熊本)、及び中国大連センター等、があります。近年ではお客様の建屋内や福岡・熊本センターをはじめとした日本国内からサービスを提供するケースが増えつつあります。
アクセンチュアにBPOサービスをご依頼いただくお客さまのニーズには、コスト削減や、お客様の業務も含めたBPR推進、より付加価値の高い部署へのリソースシフトやリスキル等があり、特に昨今の日本国内で提供するBPOサービスでは、コスト削減と合わせてお客様の組織変革の推進を期待されるケースが増えています。お客さまのご期待に応えるためには、DXやBPRを前提として、業務の高度化を推進し、End-To-Endで業務量を減らしながら、効率性を徹底的に高めることが重要となります。アクセンチュアでは、DXやBPRを業務移行に組込み、徹底的な業務見直しを行うT&T(トランスフォーメーション&トランジション)モデルによりこの変革を推進しています。
従来型BPOでは、お客さまの業務を徹底的にマニュアルに落としこむことで、同じ業務を単価差のある人材で実行し、コスト削減を実現するという方法が一般的にイメージされます。
人事・タレントマネジメント領域は、少量多品種かつクライアント企業様固有の人事制度や国の多様な制度、社員に寄り添った制度運営、作りこまれたカスタムシステム等のため、固定のベテラン人事担当者が運営していることも少なくありません。現状の手順をそのままマニュアル化するだけでは、長年経験を積まれた人事担当者の方と同じ生産性も品質も担保できません。最終アウトプットが何か、その実現に必要なインプット、プロセスが何か、をベースに最短かつ確実に必要なアウトプットが提供できる業務プロセスを再設計することで、業務自体の効率性と品質担保をはかることが重要です。
T&Tモデルでは、お客様と効率的・効果的な業務の在り方を徹底的に議論し、新しい業務プロセスをお客様と描き、BPOサービスの開始時点から新しい業務プロセスで業務を実現できるように、BPRや業務設計、DXや各種ツール等の仕組みを構築し、新しい業務に対応した人材を準備しながら、BPOサービスを開始します。
T&Tモデルでは、多くの企業様で継続的に改善してきたノウハウや、業務標準化の手法を型化することでこの業務変革を実現しています。
図 T&Tモデルコンセプト
ここからはT&Tモデルで業務変革を実現した事例を各担当のインタビューでご紹介していきます。
オペレーションズ コンサルティング本部 マネジャー 白木栄次
Q.T&Tモデル による変革のポイントを教えてください
さまざまな製造業のお客さまを担当しています。製造業のお客様は、一般的に本社に加えて日本各地に製造拠点があり、各拠点の特性や成り立ちの違いから、同じ業務でも少しずつ異なるやり方で行っており、業務の効率性を改善できる余地があります。
BPOで業務をお預かりする際、バラバラのやり方では生産性もあがりませんし、誤ったパターンで処理をすることも起こりえます。そのため拠点間の業務の違いを可視化し、可能な限りの標準化を行います。T&Tモデルに沿ってプロセス・ルールの標準化を徹底することによって、手作業による処理からRPAやマクロでの自動処理への転換も行いやすくなり、順次自動化を推進しています。
Q.T&Tモデルをさらに推進するためのポイントを教えてください
人事総務業務は、少量多品種のため、一度の変革ではなく、段階的に標準化・効率化しながら継続的に変革を進めることが重要です。最初は、効果が効きやすい大量処理の業務から改革を進め、一つ一つの業務では効率化効果が効きにくいロングテールの業務も段階的に標準化・効率化を進めていく必要があります。加えて、デジタルタッチポイントを活用した従業員によるセルフ化や、短期のコンサルティングだけではなく、BPOの長期契約のメリットを活かした段階的な業務効率化によりさらなる効率化を進めていきたいと考えています。
オペレーションズ コンサルティング本部 マネジャー 有本かんな
Q.T&Tモデルによる変革のポイントを教えてください
さまざまな自治体のお客様を担当しています。多くの自治体では人事給与業務を効率化する、集約化センターの構築・運営が進められています。自治体のお客さまは、人口減少・高齢化社会の到来により社会的な人手不足が顕著になる一方で、高水準の住民サービスを提供し続ける必要があります。内部管理業務における職員のマンパワーを住民サービスへ拡充するべく、中間経由事務を削減し、各部署に分散した業務を集約化することが求められています。
業務集約では、従来の紙プロセスや中間処理からの脱却・デジタル活用を前提とした業務設計やシステム開発を含めた業務の変革と実業務の運営を行っています。デジタル活用にあたっては前提となる業務プロセス・ルールを標準化する必要がありますので、お客様とともに各種業務の標準化を徹底的に行いました。現在では、電子申請、チケット管理、RPAをはじめとした各種ツールを組み合わせて活用することで、業務の効率化や品質確保を実現しています。
Q.T&Tモデルをさらに推進するためのポイントを教えてください
BPOサービスの対象業務だけでなく、お客様が担当する業務・作業も含めてEnd to Endでの更なる効率化と品質向上を目指すことです。そのためには、①単一の業務に閉じず、お客様の人事給与業務全体の業務プロセスを俯瞰すること、②機械が行う作業と人が真心を持って行う作業を分解するといった業務の工業化を行うことや、③業務間に横串を通して改善を進めていくことが重要と考えています。業務の工業化に向けた業務標準化やツール等の要件定義は、アクセンチュアならではの知見や強みを活かしながら、お客様とともに推進していきたいです。
オペレーションズ コンサルティング本部 シニア・マネジャー 井上知幸
Q.T&Tモデルによる変革のポイントを教えてください
製造業や公益企業など幅広いお客さまを担当させていただいています。お客さまは、業務効率化だけでなく、従業員のエクスペリエンス向上を目指されています。この両面を実現するため、今まで電話やメール、営業所や工場においては対面で人が丁寧に対応していた従業員サポートを、デジタルタッチポイントに置き換えました。従業員が自分で必要な申請を調べ、手続きが出来るセルフ化により、人事部のオペレーションは効率化され、従業員がいつでもどこでも手続きができる利便性の向上も実現しています。人事部門内の業務処理プロセスの標準化や自動化だけでなく、従業員とのかかわり方を含めたE2Eでの業務プロセス改革に取り組んでおり、一歩踏み込んだT&Tモデルによる変革を進めています。
Q.T&Tモデルをさらに推進するためのポイントを教えてください
従業員のみなさまにデジタルタッチポイントを使うことに慣れていただくこと、より使いやすいタッチポイントへの改善を続けていくことです。従業員ポータルは作ったけど使われない・変わらないというお声もよく聞きます。そうならないためには、デジタルタッチポイントのデータを用い、従業員が悩んでいること(問い合わせ)、その解決のために調べた内容(検索数)、見られた記事(閲覧数)を分析しながら、タッチポイント自体を進化させていきたいと考えています。
左から オペレーションズ コンサルティング本部 マネジャー 白木栄次、有本かんな、シニア・マネジャー 井上知幸
本ブログでは、人事・タレントマネジメント業務のコスト効率と付加価値水準向上を実現するために重要となる、T&Tモデルによる業務変革の手法ついてご紹介しました。
各手法で共通となるのは、徹底的に業務を可視化し、標準化していることです。標準化がないままデジタルの活用も効率化も進みません。一方、標準化と言葉で言うのは簡単ですが、少量多品種で何百種類もある業務を他組織・拠点で分散実施しているケースや、長年同じ人が担うことで属人化した業務に対する変革の実行は簡単なことではありません。我々は、T&Tモデルのアセットと、豊富な経験を持った人材によってこの変革実現を支援しています。