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日本が抱える社会課題のソリューションとしてのBPO
所要時間:約5分
February 07, 2023
日本が抱える労働力減少の問題は、出生率低下に伴う労働人口減が注目されがちですが、より注目すべきは労働生産性の低さにあると考えています。
下記は日本の労働生産性が諸外国と比べてどのくらいのレベルにあるのかを示したデータですが、過去半世紀に渡って日本はG7の中で最下位、トップの米国の2/3程度の労働生産性という突出した低さです。
足元の企業業績からも生産性が低下している状況が顕著に見て取れます。下記は従業員3000名以上の日本企業について過去3年の売上成長率と従業員増加率を対比した分析ですが、実に全体の75%の企業(グループ①+②)において従業員増加率が売上成長率を上回っている、つまり年々労働生産性が低下しており、更に全体の45%の企業(グループ①)は年々労働生産性を低下させながらも増員を続けています。
減りゆく労働人口を獲りあいながら、確保した労働力を生かしきれず、日本全体としての生産力が落ちてゆく、そんな現状が見て取れます。
出生率の向上・労働人口の増加には時間を要しますが、労働生産性の向上は即効性があります。日本の生産力の維持・向上のために真剣に向き合うべきはこの生産性向上だと考えています。
労働生産性改善活動であるBPR(Business Process Re-engineering)がなぜ日本企業において困難なのか、それを実現するための手段としてBPOがなぜ有効なのか、については以前日経ビジネスに寄稿させて頂いたのでそちらをご参照頂きたですが、我々アクセンチュアはBPOサービスを通して、この日本が抱える労働生産性問題解決の一翼を担えればと思っています。
会社・組織は人が織りなすものなので、算数のように簡単にはいきません。改革を進めようとすると必ず慣性の法則にぶつかります。改革とは今までのやり方を変えることであり、変化に対して不安や抵抗感を持つのは自然なことでもあります。アクセンチュアが提供するBPOソリューションには、こういった慣性の法則を突破するための力学・メカニズムの設計も含まれます。
例えば、ある企業で生産性向上を目指し業務改革推進部署を設立するとします。この業務改革推進部署にどういう機能・ミッションを持たせるべきでしょうか?業務改革を効果創出まで結実させようとすると大きく"業務を効率化し余力を創る活動"と"創出した余力を再配置する活動"が必要となります。「ではこの2つのミッションを業務改革推進部署に持たせよう」と考えがちですが、そうすると何が起こりうるか。効率化をBPRによって実現するにせよBPOによって実現するにせよ効率化して余力が創出されればされるほど、再配置すべき規模が拡大してゆきます。再配置を行うには出し元と行き先部署との調整が発生するため一定の苦労を伴います。再配置対象人数が少なければこの調整の苦労も減少するので、業務改革推進部署には効率化による余力創出規模を小さくしようという力学が自然と働き、改革のスコープ・深度そのものが縮小してゆく、そんなリスクを孕むことになります。この場合、業務改革推進部署は"余力の創出"のミッションを受け持ち、HR部署が"創出余力の再配置"のミッションを受け持つという機能配置が適切になります。一方で2つのミッションを業務改革推進部署が持った方がスピーディに取り組みを進められるという正の側面もあります。これは当該改革の取り組みに対する社内コンセンサス度合や経営状況における必須度、改革推進者のタイプ等に依存するため個別企業ごとに設計を進めて行きます。
こういった改革実行時のリアリティに根差した改革推進メカニズムの設計を行うことができるのも、数多くの企業において改革伴走支援を行ってきたアクセンチュアならではの特徴だと思います。