今世紀、最も成功したディスラプター(創造的破壊者)たちに共通するものは何でしょうか?これらはすべて、かつてない取り組みにより大規模なリーチを実現させ、前例のない価値を生み出したプラットフォームビジネスであると言えるのではないでしょうか。例えば、これまでにない圧倒的に優れた体験や、他よりも劇的に低いコストや早さの提供などがあるでしょう。

しかし、海外プラットフォーマー勢に共通する強みの中でも最もハイパーグロースに欠かせないのが、「企業が何をどのように行うかを一から設計しなおす能力」であると言えます。このような大規模な変化は偶然起きるものではなく、達成させるための、イノベーションや大胆な思考、これまでの在り方を再設計するビジョンや勇気、意志が必要です。

小さくスタートするグロースプラットフォーム

今日のスーパープラットフォームとされる企業がスタートアップ企業であったことは想像しにくいのではないでしょうか。いずれの企業も、輝かしいアイデアと一握りのユーザーからスタートしています。彼らが巨大企業となるまでの道のりは、まさにハイパーグロースそのものです。そしてそれは、特定の成長要因に注力し続けた結果なのです。

今日のスーパープラットフォームとされる企業がスタートアップ企業であったことは想像しにくいのではないでしょうか。いずれの企業も、輝かしいアイデアと一握りのユーザーからスタートしています。彼らが巨大企業となるまでの道のりは、まさにハイパーグロースそのものです。そしてそれは、特定の成長要因に注力し続けた結果なのです。

ハイパーグロースストーリーの始まり

このハイパーグロースストーリーの始まりは、Chamath Palihapitiya氏がきっかけとなります。製品開発とマーケティングの専門チームだけでは、Facebookが規模を拡大するために必要なネットワーク効果を得ることができないと考えた彼は、その中間に位置する「成長に特化したチーム」というコンセプトを打ち出しました1

この「グロースチーム」は、ユーザー獲得戦略と成長の促進にのみ焦点を当てた活動します。このチームは、実証実験や、分析を経て、Facebookの持続的なハイパーグロースに繋がるカギは、「すべてのユーザーが10日間で7人の友達を獲得すること」にあると発見しました1

この1つの指標は、会社全体の重要項目となり、結果、今のような姿が生まれたのです。このアプローチは、他の多くの企業でも採用され、大きな成功を収めています。 例えば、Uber、Airbnb、Pinterest、Google2などの企業も、顧客の獲得、エンゲージメント、収益化、維持を促進するために、公式・非公式を問わずさまざまなグロースチームモデルを長年にわたって試行してきました。

結果がそれを物語っています。2020年度、グローバルプラットフォーム上位300社の収益は約1.5兆円で、そのうちB2Cが41%、B2Bが59%を占めています。

グローバルプラットフォーム企業の売上高
(10億米ドル)

グローバルプラットフォーム企業の売上高

出典: Accenture’s Software & Platforms Market Model Q3 FY20, N=300 companies globally

グロースチームは何を行うのか?

グロースチームは、仮説を立ててから実証実験、反復といった科学的なアプローチをとりながら、新しいソリューションを生み出します。重要なのは、「最重要指標」(OMTM)3という単一の指標に焦点を当て、さらに、長期的な成長を達成するために、エンジニアリング、プロダクト、マーケティングの各チームを連携させ、組織全体のDNAに成長を組み込んでいます。

どのように実行するのか?

グロースチームは主要な成長指標を特定し、物事を遅延させるネックとなるポイントを仮説立てます。そして、その洞察をもとに、迅速にコンセプトの実証を行い、成果に繋がる有効的な戦術を見極めます。

グロースチームは、ネットワーク効果を活用し、成果を上げています:

新たな製品・サービスの導入を加速

グロースチームは通常、ユーザー数を増加させることで、プラットフォームの迅速な普及に注力します。

ただ、顧客維持率などの指標も、長期的な成長を実現するために考慮する必要があります。Dropboxがその好例で、まったく新しい紹介プログラムを構築し、わずか1年でユーザー数を10万人から400万人へと大幅に拡大させました。

新たな顧客層の獲得

SaaSの分野においては、成長の初期段階にあるプラットフォームは、SMB企業にフォーカスしています。

それは、製品の俊敏性を高め、販売サイクルタイムを短縮することで、SMB企業がプラットフォーム企業との競争において優位に立てると認識しているからです。

消費者市場のグロースチームは、未開拓の顧客層を活性化するために、しばしば価値提案を単純化することがあります。例えば、Airbnbのグロースチームが行ったような、Airbnbのプラットフォームで提供されているすべての機能を分析し、30以上の機能の中から、たった6つの機能を優先させ絞ることにしました。これらの機能は、すべて非アクティブユーザーや非ユーザーが見る可能性があり、この6つの機能に注力することで、未開拓で価値ある領域にアクセスし、より早く規模を拡大することができたのです4

もう一つの例として、米国で設立されたUberのコアバリューポジションとして、キャッシュレス取引を可能にすることに最も注力していましたが、当時インドでのユーザー数は極めて小さいものでした。その頃のインドでは、ほとんどの人がクレジットカードを持っていなかったため、Uberが成長するためには、既存の顧客層を超えて拡大する方法を見つける必要がありました。そこで、チームは現金決済のオプションが成長と維持に与える影響を検証しました。この実験は成功し、製品チームのキャッシュレス・ビジョンからは逸脱したものの、インドで現金決済に対応することには理にかなっていたようです。また、日本の先進的な企業でも、すでにグロースチームによる継続的なイノベーションへの取り組みが実現しています。C2Cコマースから多方面へビジネス拡大を続けるメルカリでは、データドリブンによるプロダクトとマーケティングの融合がグロース戦略を支えています。

プラットフォームエコシステムの活用

プラットフォームは、エコシステムによって非常に大きな力を発揮します。

EC、配車サービス、ホスピタリティなどの分野で、エコシステムパートナーは、プラットフォームの1.5兆ドルを上回る2.3兆ドルの収益を獲得しています。プラットフォームのエコシステムの多くは、AmazonやAlibabaの出店業者、Uberを利用するレストランやドライバーなど、何百万もの小規模なパートナーから構成されています。ユーザー数を増やすというプラットフォームエコシステム戦略は、成長に欠かせない重要な源泉となります。Salesforceも、CRMやデータ管理機能を活用したビジネスソリューションを構築するために、数百の開発者にプラットフォームを開放しました。また、Uberのグロースチームは、ライダーからドライバーへの転換率という指標に着目し、ドライバーが競合他社ではなくUberを選ぶような金銭的インセンティブを提供し、ロイヤリティを持つドライバーによるエコシステムの構築に力を注ぎ、成長を後押ししたのです4。日本においても、プラットフォーム企業を中心に、エコシステム戦略は企業戦略のコアとなってきています。Eコマースからフィンテック、通信へと進出し今や1億超のユーザIDを抱える楽天は、国内最長となる25年以上の歴史を持ちながら、エコシステム戦略に則り、今もなお継続的な成長を続ける国内の代表的なプラットフォーム企業と言えます。また、通信業界やペイメント業界、ライフスタイル業界においても、サービス融合による新たなエコシステム構築が活況を呈しており、今後、市場における急進的な拡大とさらなる変化を見せることになるでしょう。

新たなグローバル市場の開拓

グロースチームは、顧客やプラットフォームエコシステムにフォーカスするだけでなく、新しいグローバル市場での成長を実現するための支援も行います。

デジタル製品が国境を越えて行き交うプラットフォーム企業にとって、地理的な拡大は、すなわち会社規模の拡大を実現するための最短ルートのひとつとなります。例えば、Netflixは、初期の事業拡大と加入者獲得のためにグロースチームとこのアプローチを活用し、グローバルでの持続的な成長を実現しました5。Amazon6についても、インド市場に参入する際に同様のアプローチを採用し、インド最大のECプレーヤーの一つになるという目標を設定しました。

グロースとメリットとは

グロースチームは、プラットフォーム外で行われるビジネスを成長させるだけでなく、内部にもポジティブな変化をもたらします。部門横断的に活動することで、グロースチームはサイロ(連携や情報共有の不足)を打破し、マーケティングとエンジニアリングの連携を向上させます。また、グロースチームは、ひとつの成長指標を改善する過程で各機能を統合することで、明確な目的意識を共有することができます。重要な最初のステップは、検証可能な、企業のネットワーク構築に影響を与え得る指標を選択することです。

この回では、グロースチームとは何か、何を行うのかについて簡単にまとめてきました。次回は、グロースチームの構造について深掘りしていきたいと思います。

出典:

1 Facebook's Aha Moment Is Simpler Than You Think

2 Building for everyone, everywhere

3 A Step-by-Step Guide to Building a Growth Team

4 How to build a growth team – lessons from Uber, Hubspot, and others (50 slides)

5 How Netflix Expanded to 190 Countries in 7 Years

6 Amazon Unbound: Jeff Bezos and the Invention of a Global Empire Hardcover – May 11, 2021

著者について

古嶋 雅史

通信・メディア・ハイテク本部
メディアエンターテイメント統括
兼 デジタルビジネス統括
マネジング・ディレクター


三谷 剛

ビジネス コンサルティング本部 コンサルティンググループ ソフトウェア&プラットフォーム シニア・プリンシパル


溝口 祐毅

ビジネス コンサルティング本部 コンサルティンググループ シニア・マネジャー


Robin Murdoch

Managing Director – Software & Platforms, Global Lead


Kevan Yalowitz

Managing Director – Software & Platforms Strategy


Scott Bowden

Managing Director – Software & Platforms, North America Lead


Michael Whipple

Manager – Accenture Strategy, Software & Platforms

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