新時代の「食」を考える

食への関心が再び高まる

食に対する発想を変える5つの方法

食のトレンド

「外食」から「家庭で調理」にシフト
持ち帰りから、食べる・体験する・楽しむへ
「食べるために生きる」から「よりよく生きるために食べる」へ
過剰なものから少ないものへ
グローバルな視野からローカルな生活へ

パンデミック以前は、食事は忙しい一日の中でマルチタスクにこなさなければならないことの一つに過ぎませんでした。しかし、COVID-19によってもたらされた生活のスローペース化によって、人々はよりじっくりと食を楽しむ時間を持つことができるようになりました。
ある人は、慣れ親しんだ食材に安らぎを求めたり、食事の計画をより自由に立てたりしています。また、懐かしのブランドやレシピを再発見する人もいます。また、料理を通じて新しい文化や国を発見する「プレート上の旅」をしたいという願望も高まっています。
消費者向け産業はどうなるのでしょうか。

食品・飲料ブランドや小売業者は、新しい食材や珍しい食材について消費者を教育し、興味深い製品シリーズをキュレーションして、食に関するエキサイティングな体験を提供することで、消費者にインスピレーションを与えることを目指すことができます。高度な分析がカギとなります。例えば、Pop Up Grocerは、革新的なブランドを紹介し、厳選された刺激的な商品を提供しています。
ヴィーガン卵の代替品「JUST egg」を展開するEat Justが、中国で初のフードスタジオを開設しました。著名なシェフが栄養価が高く環境に優しい植物性食品を調理するコツを伝授し、また、物理的なクラスだけでなく、バーチャルクラス（We Chat）も提供しました。
旅行会社は、食事が旅行やホスピタリティ体験全体に与える影響を見直すことで、利益を得ることができます。例えば、TransaviaはJust Eatと提携し、離陸の1時間前まで機内食を予約することができるようになりました。
エアアジアは、航空会社のメニューを地上のお客さまに提供するレストラン、サンタンラインを拡大しています。

健康とウェルビーイングは、消費者、特に食品を選ぶ際の優先事項となっています。人々は食生活とライフスタイルの選択について、より深く考えるようになっています。もちろん、今でもちょっとした贅沢や嗜好品を楽しみたいとは思っていますが、それもより健康に暮らしたいという要望を叶えつつ、実現したいと思う人が増えているのです。
69％の消費者が、パンデミック開始以来、果物や野菜をより多く食べるなど、食生活に少なくとも1つの前向きな変化を起こしています。
このことは、消費者産業にとってどのような意味を持つのでしょうか。

ブランドは、顧客の心身の健康を、楽しい食体験と組み合わせて、ホリスティックかつパーソナライズされたアプローチをとることができます。
消費速度を遅くすることで、より目的意識を持って食事に取り組むことができるスナックバー「マインドフルバイツ」は、その好例といえるでしょう。
CPGSは、ライフサイエンス企業と提携し、オーダーメイドの栄養を提供することを検討すべきです。ユニリーバはマイクロバ・ライフサイエンスと共同で睡眠と腸の健康との関係を調査しており、これは腸に優しく睡眠を促進する食品の将来の革新に役立ちます。
例えば、フランスのスーパーマーケット Intermarchéは、アプリ「ConsoMieux」の改訂により、消費者が倫理的嗜好や食事の必要性に基づいて個別に選択できるよう支援しています。
消費者は旅行会社に健康的なライフスタイルを求めている背景あり、ブランドは機内や滞在中にヨガセッションや健康的な朝食オプションなど、滞在中のウェルビーイング体験を提供することでその要望に応えることができます。

パンデミックによって、人々は自然の美しさと同時に、そのもろさや潜在的な脅威について考える時間が増えました。そのことが、消費者マインドにおけるサステナビリティの重要性に拍車をかけました。人々は何かを変えたいと願っており、その助けを必要としているのです。消費者の半数は、どのブランドがサステナブルで倫理的で、どのブランドがそうでないかをよく理解していないと感じています。
世界の消費者の3分の2（66％）が、パンデミック前と比較して、より責任ある買い物をするようになったと回答し、85％が生活、買い物、食事の方法に何らかの変化をもたらそうとしています。
このことは、消費者産業にとってどのような意味を持つのでしょうか。

消費者企業は、持続可能で倫理的な製品やサービスに対する人々の期待を取り入れるために、高度な分析とセグメンテーションの更新を必要としています。これには、人々がそれらの製品を購入するために行うトレードオフが含まれます。そして、消費者がサステナブル/エシカルな行動とその影響を理解できるようにする必要があります。Foundation Earthは、複数の消費財メーカーや小売企業の支援を受けて、ブランドに対するスコアリングシステムを提供しています。
小売業者は、持続可能な製品群を強調し、ウェイトローズのように詰め替え用ステーションを提供したり、プラスチックやパッケージの削減を検討することができます。
企業は、持続可能な製品を促進するために一層の努力を重ねることができます。
旅行・観光関連企業は、地域の産品を伝えるユニークな役割を果たし、地域のイノベーションを紹介する最適な舞台を提供することができます。また、アメニティの一部としてより持続可能な選択肢を提唱することで、人々にプラスチックの使用に対して責任感を持つように促すことができます。

COVID-19は、地元の食料品店やレストランが品質と利便性を提供し、取引を継続するためのサポートを必要としていることを認識し、人々が地域社会と再びつながることを促しました。また、リモートワークによって、多くの人が住む場所を含めたライフスタイルの選択を見直すようになりました。
私たちが再び世界を旅することができるようになったとき、旅行者は慣れ親しんだホテルのレストランではなく、地元で作られた料理を好むようになり、このローカルフードへの注目は維持されるでしょう。
世界の消費者の55％が、地元で生産された製品を購入するために小売業者からの支援を望んでいます。
このことは、消費者産業にとってどのような意味を持つのでしょうか。

CPGにとって「ローカル」には、データを活用するための高度な分析と、それらの店舗にサービスを提供し、トラフィックを促進するためのディストリビューションが必要です。ボリビアの乳製品ブランドDeliziaは、郷土料理にインスパイアされた限定フレーバーのアイスクリームを発売し、地元のプライドに訴えました。
小売業者は、店舗やオンラインで地元の生産者や製品を紹介し、店舗の役割を拡大して、独自のコミュニティ・ハブを作ることを検討することができます。
ホスピタリティ・ブランドは、地元のレストランやホテルのメニューに地元の食材を取り入れたり、地元の美食ツアーを紹介する重要な機会があります。既存の例としては、「Las Vegas Strip Foodie Tour」や「Eat Mexico」などがあります。
また、Eat WithやBonAppetourといった企業が先駆的に行っているプライベートダイニングモデルなど、オーダーメイドの地元料理体験も選択肢のひとつです。