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ブログ

Accenture Life Trends 2025から見える生活者との関係構築のパラダイムシフト

5分(読了目安時間)

2025/04/09

概略

  • 5つのトレンドに表れる「立ちどまり、リバランスする」生活者の姿とは
  • 企業活動を根本から革新する生活者との関係構築のパラダイムシフト「CRM2.0」

Accenture Life Trends(アクセンチュア ライフ トレンド)とは

生活者の視点から社会やビジネスにおける世界のトレンドと企業がおさえるべきポイントをまとめた年次レポート「Accenture Life Trends 2025」は、今年で18年目を迎えます。5つの重要なトレンドは、人間、テクノロジー、ビジネスが交差するところで起こるさまざまなことに着目しており、製品、サービス、体験、コミュニケーション、コマース、カスタマーサービスなど、アクセンチュア ソングがご支援する領域そのものです。

レポートの作成にあたっては、アクセンチュアの世界中の知見を集約しつつ各国を対象にした定性・定量調査行い、あらゆるインサイトを組み合わせています。

例年、各トレンドを一言で表すメタトレンドを発表していますが、2021年から振り返ると、2021年(新しい領域の地図づくり)から2022年(新たな日々を織りなすもの)は「パンデミックの混乱と喪失から内省を深める時代」、2023年(コントロール&パワー)から2024年(解体と再構築の始まり)は「パーマクライシスがもたらすストレスに適応する時代」、そして今年2025年のメタトレンドはPause&Rebalance(立ちどまり、リバランスする)です。

AIやデジタル技術の飛躍的な進化が生活を変えるようになった一方、真偽不明な情報や無数の選択肢が提示されたことで、意思決定の基準が複雑化し、人々は焦りやためらいを感じるようになりました。そこで一度立ち止まって、テクノロジーと人間、社会の関わり方を見直そうという考えが広がっている、つまり「テクノシフトによる変化から信頼の原点に立ち返る時代」にあると考えていています。

2024年の5つのトレンド―立ちどまり、リバランスする

企業やブランドがこのモーメントをどう捉え、この時代ならではの顧客との関係性・信頼をどう構築していくのか?私たちだけでなく次世代もより豊かで持続的な社会を享受するための5つのトレンドをご紹介します。

1. ためらいのしわ寄せ

デジタル技術は人々の生活を豊かにしてきましたが、それを悪用する者も現れてきました。そのため、人々はオンラインコンテンツの信ぴょう性に疑問を抱き、情報の信頼性に対してためらいを感じるようになっています。この技術の進歩はハイパーパーソナライズされた詐欺的な犯罪も助長し、人々はこういった不正を自ら見抜いて被害を防がなくてはならず、行動の安全性に対してもためらいを感じています。

企業がこの事態に向き合うためには、利便性から信頼性へシフトしていくことが重要であると私たちは考えています。政府が企業に対して新しいコンプライアンス対策を要請する可能性があることも考慮し、コンテンツ管理方針を更新すること。さらに自社の商品やサービスの安全性を確保し、誠実に透明性をもってコミュニケーションをすること。また、セキュリティと連携して顧客の安全を確保し、企業の信頼性を高める仕組みをつくることが大切です。

We recommendとして下記を述べています。 1. What to think     考えるべきこと:急増する詐欺的コンテンツに対する明確な対応方針 2. What to say     言うべきこと:生活者の安全を保証し、安心を守るためのコミュニケーション 3. What to do     やるべきこと:セキュリティと連携し確立する企業信頼性を高める仕組み
We recommendとして下記を述べています。 1. What to think     考えるべきこと:急増する詐欺的コンテンツに対する明確な対応方針 2. What to say     言うべきこと:生活者の安全を保証し、安心を守るためのコミュニケーション 3. What to do     やるべきこと:セキュリティと連携し確立する企業信頼性を高める仕組み

トレンド「ためらいのしわ寄せ」について詳しくはこちら

2. 親子間ギャップ

二つ目は、子どもがデジタル技術を使用する際に伴うリスクが顕在化してきたことに関するトレンドです。インターネット上の有害な情報から子どもを守る必要性に直面しつつも、完全に切り離すことができないのが現代の子育てで親が持つジレンマと言えます。子どものデジタル接触を制限する規制が世界中で広がっているなか、親は適切なバランスを見つける必要がありますが、そこで重要になるのが子どもの機会を損なわずに危険から守るガードレールの提供です。企業・ブランドも同時に、テクノロジーの良い側面を奪わない機会の提供と、デジタル接触のリスクの減少の双方を実現していかなくてはなりません。

今後、若年層へのデジタル接触が規制された場合に備えて、企業は若年層向けの商品やサービスをどのように変化・適応させるべきか考える必要があります。それだけでなく、親と子ども双方に対する安全・安心を確保する手立てを行い、デジタルだけに偏らないタッチポイントを創出していくことも重要になっていきます。

We recommendとして下記を述べています。 1. What to think     考えるべきこと:若年層のデジタル接触が規制された場合の適応方法 2. What to say     言うべきこと:親と子どもの双方に安心感を 与えるコミュニケーション 3. What to do     やるべきこと:デジタルに偏らないタッチポイントの模索や機能の精査
We recommendとして下記を述べています。 1. What to think     考えるべきこと:若年層のデジタル接触が規制された場合の適応方法 2. What to say     言うべきこと:親と子どもの双方に安心感を 与えるコミュニケーション 3. What to do     やるべきこと:デジタルに偏らないタッチポイントの模索や機能の精査

トレンド「親子間ギャップ」について詳しくはこちら

3. せっかちエコノミー

三つ目は、人々が「即時」に提供されるサービスに慣れることでうまれた新たな行動様式に関するトレンドです。人々は、自分と同じような状況にあるインフルエンサーの実体験・体験談などを参考にして、より迅速かつ効果的に悩みを解決しようとする傾向が強まっています。それは健康面や経済面にも及び、多少のリスクを負ってでも早く解決できる自己診断や代替治療を選んだり、副業や投資など新たな収入源を多角化したりする動きにまで広がっています。企業やブランドは、これらの「せっかち」な事象の裏にある人々の本質的な欲求を正しく理解し、スピードと信頼を両立した解決策を提供しながら、長期的な関係を築くことが重要です。人々のアンメットニーズをポジティブな方向に導き、自社のサービスや企画に生かすこと。また、「共感」と「実用性」を兼ね備えた双方向コミュニケーションを心がけ、人々がより少ない労力でより大きな成果を生み出すためのソリューションを迅速に提供することが必要なのです。

We recommendとして下記を述べています。 1. What to think     考えるべきこと:「せっかち」の本質をとらえたアンメットニーズ 2. What to say     言うべきこと:共感 実用性で心をつなぐ双方向コミュニケーション 3. What to do     やるべきこと:複雑で退屈なプロセスを見直しシンプルで賢い解決方法を提案
We recommendとして下記を述べています。 1. What to think     考えるべきこと:「せっかち」の本質をとらえたアンメットニーズ 2. What to say     言うべきこと:共感 実用性で心をつなぐ双方向コミュニケーション 3. What to do     やるべきこと:複雑で退屈なプロセスを見直しシンプルで賢い解決方法を提案

トレンド「せっかちエコノミー」について詳しくはこちら

4. 仕事の尊厳

四つ目は、パンデミック以降のテクノシフトが企業と従業員の関係性にどう影響を与えたかに着目したトレンドです。パンデミックでリモートワークが広がり、従業員を監視する傾向が強まったり、日々の仕事を追跡するツールが今も継続していることが、従業員の自律性や活力を削いでしまい、帰属意識にも悪影響を与え続けています。日本企業はグローバルより自律性を重視する従業員が多い点からも、このリスクと向き合うことが必要でしょう。また、企業の行き過ぎた生産性向上やコスト削減が従業員の士気に影響を与えていることも注視が必要です。職場に人間性を取り戻すには、共感と対話によって信頼を築く人間的なリーダーシップを持ってポリシーを表明することが重要です。

テクノロジー、特に生成AIの導入が従業員の士気低下に繋がらないようにするには、ポリシーを定めスタンスを明確化することが不可欠です、また、従業員が尊厳を持って働けてこそ、魅力的な顧客体験が実現できて最終的にはビジネスの成長につなげられることを忘れず、常に従業員視点で考慮することが大切です。

We recommendとして下記を述べています。 1. What to think     考えるべきこと:社会やテクノロジーによる従業員の士気の変化 2. What to say     言うべきこと:AIと共存するためのポリシー表明とスタンスの明確化 3. What to do     やるべきこと:EX改善をCX向上に結びつける企業文化の構築
We recommendとして下記を述べています。 1. What to think     考えるべきこと:社会やテクノロジーによる従業員の士気の変化 2. What to say     言うべきこと:AIと共存するためのポリシー表明とスタンスの明確化 3. What to do     やるべきこと:EX改善をCX向上に結びつける企業文化の構築

トレンド「仕事の尊厳」について詳しくはこちら

5. つながりの再野生化

五つ目は、長らくデジタル世界での人と人とのつながりを探求してきたからこそ、今注目されるようなったトレンドです。デジタルネイティブ世代は、デジタルが当たり前の時代に育ったにもかかわらず、昔のアナログな体験や製品に興味を持っています。それはノスタルジーからではなく、アナログを知らない彼らにとって新鮮で魅力的に感じられるからです。また、デジタルファーストな生活様式に疲れた人々は、現実世界でのつながりを求め、より自然なリズムでバランスの取れた生活へ移行をする傾向が見え始めています。日本はグローバルよりフィジカルな体験を求める比率が高いという結果も出ています。そこで企業やブランドは、人との関係性やつながりを慎重に観察し、共感性の高いブランドストーリーに織り込みながら、手触り感ある体験を提供することが求められます。企業はこの時代のテクノロジーの役割を再認識し、デジタルとリアルをリバランスしたコミュニケーションを提供し、またリアルな接点で感情的なつながりを深めることが重要です。

We recommendとして下記を述べています。 1. What to think     考えるべきこと:感覚的な豊かさが求められる時代のテクノロジーの役割 2. What to say     言うべきこと:デジタルとリアルをリバランスしたコミュニケーション 3. What to do     やるべきこと:感情的なつながりを深める統合的な体験設計
We recommendとして下記を述べています。 1. What to think     考えるべきこと:感覚的な豊かさが求められる時代のテクノロジーの役割 2. What to say     言うべきこと:デジタルとリアルをリバランスしたコミュニケーション 3. What to do     やるべきこと:感情的なつながりを深める統合的な体験設計

トレンド「つながりの再野生化」について詳しくはこちら

ヒトとテクノロジーとが融合して、企業活動を根本から革新する生活者との関係構築のパラダイムシフト「CRM2.0」

このように生活者が立ち止まり、リバランスするなかで、企業やブランドが選ばれ続けるためには、テクノロジーを主体的に活用し、変化する顧客の価値観を捉え、顧客との関係構築を強化することが不可欠です。データを活用して顧客の価値観やニーズを理解し、顧客への価値提供を最適化させることに愚直に取り組むことは不変ですが、今までのCRM1.0の手法では、データ統合の限界・リアルタイム性の不足・組織のサイロ化などが関係構築の障壁となっていました。そこで私たちが提案するのが、動的かつタイムリーなパーソナライゼーションと、効率性だけではない信頼・共感を重視した双方向の顧客体験を実現するCRM2.0です。これは、生成AIとバディを組んだ高度に多能化された人材によって、フラットでクロスファンクショナルな組織を基盤に、統合された多次元データによるデジタルツイン(仮想空間)でのシミュレーションをすることで実現できると考えています。

CRM2.0実現に向けて企業が取り組むべき具体的なステップ

1 データの受領・統合

生活者から多次元のより深いデータを預かり、全社的に統一管理(生活者からの信頼が大前提)

2 信頼・共感の獲得

一人十色の価値観の変化を理解し、信頼・共感を得られるブランドの価値・ストーリーを再確認・再定義(言行一致が大原則)

3 横断的なプロセス改革

ブランド価値・ストーリーを体現する顧客体験を創出するための、テクノロジーとヒトを融合させたプロセス改革(持続性が大前提)

4 cLTVとLTVの検証

顧客体験価値(cLTV)と企業収益(LTV)の両立を検証するシミュレーションを通じた高速PDCAの確立

当然のことながら、データの受領・統合(上記1)で、生活者から多次元のより深いデータを預かるためには、信頼・共感を得ていることが必須条件です。信頼・共感の獲得(上記2)のためには、価値観の多様化を理解し、企業やブランドの価値やストーリーを再確認・再定義し、自社と生活者との感情的な繋がりを呼び起こすことも重要でしょう。そのために、テクノロジーとヒトを融合させた横断的なプロセス改革(上記3)を企業として継続的に取り組む必要もあります。そして、昨年のLife trendsで私たちが提言したcLTV(Customer Life Time Value:顧客体験価値)という指標とLTV(企業収益)の両立を検証(上記4)するシミュレーションを通じた、高速でPDCAを確立していくことを目指す必要があります。

アクセンチュアはCRM2.0実現に向けて、お客様と伴走しながらご支援します。

著者

  • Accenture Song, Design & Digital Products, マネジング・ディレクター 野田 慎太郎
  • Accenture Song, Design & Digital Products, マネジャー 上江洲 佑布子
  • Accenture Song, Customer Growth Strategy, マネジング・ディレクター 吉井 雄太郎

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