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調査レポート

プライベートエクイティは、調達改革によって大きなリターンを創出することが可能なのだろうか?

5-分(読了目安時間)

2024/12/02

  • プライベートエクイティ(以下、PE)のパートナー層の84%が、調達を通じた企業価値向上を重視しています。

  • 一定の成果は得られるものの、多くの取り組みは一時的であり、十分な価値創出には至っていません。

  • 4つの基本原則の実践により、調達を競争優位につなげ、より大きなリターン創出が可能です。

調達・サプライヤー管理の戦略的価値

ディールの数が鈍化し、期待リターンの創出が難しくなる中、PEは投資戦略の見直しを進めています。現在では、企業価値向上の79%が事業におけるバリュークリエーションによって創出されています。

数多くのバリュークリエーション施策の中でも、調達は即効性と測定可能性に優れた領域です。

多くの場合、数年ではなく数か月で、直接費・間接費を8〜12%削減でき、早期に成果を生み出しつつ、他施策への再投資原資の確保も可能です。

一方で、調達改革は着手しやすい反面、継続的に大規模な成果を生み出すことは容易ではありません。

84%

PEのパートナー層の84%が、調達を通じて企業価値向上を図っています

58%

が調達による価値創出は容易ではないと回答しています

十分な成果につながらない主な要因は、次の4点です。

  • クロージングやデューデリジェンス段階における初期分析や論点整理が不十分であること

  • 対応が価格交渉やRFP対応といった表層的施策にとどまっていること

  • 継続的に成果を創出するための自社に適した戦略や十分なリソースが足りないこと

  • 買収直後に実現したコスト削減効果が投資期間を通じて徐々に低下すること

以下にて、競争優位を築く企業に共通する4つの基本原則を紹介します。

低リスク・高リターン領域である調達の潜在価値をいかに最大化するか?

01

成果創出の加速

大きな価値創出を実現している先進的なPEは、デューデリジェンス段階から調達によるバリュークリエーションプランを始動しています。

調達機会を早期に特定した案件では、バリュークリエーション効果が70%高まる傾向があります。買収後の100日プラン期間が重要であり、目標設定と施策立案はデューデリジェンス期間もしくは買収直後から始めるべきです。多くの調達施策は他施策との依存関係が少なく、優先度の高い取り組みと並行して迅速に実行できます。

02

多様な施策の活用

価値を最大化するには、単なる価格交渉やRFPだけでは不十分です。

先進的なPEは、単に値下げ交渉を行うだけでなく、非価格要素も含めた幅広い施策を活用しながら、持続的な価値創出につなげています。成果連動型の契約形態などの実務的なアプローチに加え、価格交渉以外の実務的・技術的な改善策も組み合わせることで、投資期間全体で最大3倍のコスト削減効果が期待できます。

03

プレイブックの構築

投資先企業の調達に関する価値創出機会は自然に生まれるのを待つのではなく、自らアプローチすることが重要です。

再現性のある調達プレイブックがないことで、価値創出機会の約3分の1が失われています。プレイブックは包括的であるべき一方、投資先企業の業界特性や社内リソース、PEの関与スタイルなどに柔軟に設計することが重要です。あらかじめ複数の実行パターンを用意しておくことで、状況に応じたアプローチを迅速に展開できます。

04

人材課題の解決

多くの投資先企業は、調達改革を推進するための人材、知見、テクノロジー、実行力が不足しています。

特に中堅・中小規模の企業では、調達に関する専門的人材の不足が大きな課題です。売上50億ドル未満の企業で、経営幹部が調達部門トップを兼務している割合はわずか10%にとどまります。バリュークリエーションの貴重な機会に対して、適切な体制を整えることが重要です。一方で人材強化のみならず、生成AIなどの調達に関する先進的なテクノロジーを活用することで、従来は最適化が難しかった領域に対してもコスト削減の成果を創出し、確実に利益へとつなげることも可能です。

 

AIは、主要業務の自動化や高度化を通じて、調達人材不足の解消に貢献します。(AIによる業務ごとの影響割合)

AIによる業務影響割合
AIによる業務影響割合

いかに潜在的な価値を創出するか?

PEが投資先企業の変革を従来以上に積極的に取り組む中、調達は潜在的に大きな価値を持ちながら、十分な取り組みが実施されていない重要領域です。

大きな価値創出を実現している先進的なPEは、調達をスピード、規模、有効性の観点で最適化することで、利益率を向上させるだけでなく、他施策への再投資余力を生み出し、さらなる成長と収益拡大につなげています。

<日本語監修>

  • 會田 靖夏(ビジネス コンサルティング本部 ストラテジーグループ トランザクションアドバイザリー プラクティス日本統括 マネジング・ディレクター)
  • 黄 良静(ビジネス コンサルティング本部 ストラテジーグループ シニア・マネジャー)

筆者

Steven Browning

Managing Director – Sourcing & Procurement

Nathan MacCarter

Managing Director – Sourcing & Procurement

Virginia Lantz

Associate Director – Sourcing & Procurement

Felix Hessel

Managing Director – Transaction Advisory, Private Equity

Neto Alexander

Managing Director – Transaction Advisory, Private Equity

Martin Glenn

Managing Director – Transaction Advisory, Americas Go-To-Market Lead, Private Equity

會田 靖夏

ビジネス コンサルティング本部 ストラテジーグループ トランザクションアドバイザリー プラクティス日本統括 マネジング・ディレクター