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調査レポート

プライベートエクイティのデューデリジェンスを、今こそ見直すとき

5-分(読了目安時間)

2024/06/04

概略

  • 案件の発掘と獲得は年々難易度を増しており、プライベートエクイティ(以下、PE)投資はより複雑化していると、4人に3人のリーダーが回答しています。
  • 包括的なデューデリジェンスは、ディールの潜在価値を最大限に引き出すための鍵です。一方で、83%のリーダーが、自社のアプローチには依然として大きな改善余地があると認識しています。
  • 本レポートでは、従来型のデューデリジェンスを、より機動的かつ価値創出型へと進化させるための3つの重要なアプローチを紹介します。

複雑化するディール環境を乗り越える

アクセンチュアは、PE投資家がポートフォリオ企業への支援のあり方を見直す必要があると考えています。長期的な成功と価値最大化を実現するには、ビジネスモデルやオペレーティングモデルの抜本的な変革が求められるケースが増えています。

こうした意思決定に必要なのは、対象企業への深い理解です。精緻かつ粒度の高い分析により、買収後のバリュークリエーションに向けた準備を整え、早期立ち上がりを可能にします。

SuperReturn Berlin 2024で行われた、Marty Glenn氏とNeto Alexander氏の基調講演では、PEデューデリジェンスやオペレーション面でのバリュークリエーションに関する主要な調査結果が紹介されています。

競争優位性は、プレディールから始まる

75%

PEリーダーの75%が、過去5年間で投資案件はより複雑化したと回答しています。

79%

PEリーダーの79%は、企業価値向上に向けた取り組みは、オペレーショナルのバリュークリエーションに重点を置くべきと考えています。

83%

PEリーダーの83%は、現在のデューデリジェンスアプローチには、大きな改善余地があると認識しています。

90%

PEリーダーの90%が、質の高いデューデリジェンスは、バリュークリエーション計画の精度向上につながると回答しています。

プレディールフェーズへの注目が高まっている

PE企業の決算説明会議事録や各種メディア記事を分析した結果、デューデリジェンス、ソーシング/スクリーニング、バリュークリエーションプランといった主要テーマへの言及が大幅に増加していることが分かりました。プレディール活動への関心が一段と高まっていることを示しています。

デューデリジェンス重視の傾向は、企業の投資額にも表れています。アクセンチュアの調査によると、PEリーダーは平均して取引総額の約1%を関連活動に投じており、今後5年間で約800億ドル規模の投資額が見込まれます。

単なる「実施作業」としてではなく、デューデリジェンス自体を競争優位の源泉へ進化させることが重要です。優れた成果は、そちらに投じるリソースを十分に正当化します。

新たな局面へ

ディール環境が変化する中で、最大限のバリュークリエーションを実現するには戦略転換が不可欠です。投資成果を左右するのは、ディール成立前の段階でターゲット企業に対する明確な成長ビジョンを描けるかどうかです。

従来型のデューデリジェンスを、より機動的かつ価値創出型へ進化させる3つの重要なアプローチを紹介します。

1. 全体像を捉える

ポートフォリオ企業のケイパビリティ、プロセス、テクノロジーに想定外のギャップが見つかるのは珍しくありません。調査回答者の40%が、これを最重要課題の一つに挙げています。

プレディール段階で、より深いインサイトを得ることで、一貫性の高いバリュークリエーションプランを策定でき、より高い買収価格の妥当性も示しやすくなります。現在のデューデリジェンスは、テクノロジー、オペレーション、リーダーシップやサステナビリティまで対象領域が広がっており、全体像を捉える統合的なプロセスが不可欠です。

デューデリジェンスの範囲が拡大

デューデリジェンスの範囲の拡大を示すグラフ
デューデリジェンスの範囲の拡大を示すグラフ

2. より少ない負荷で、より大きな成果を

先端テクノロジーを活用する企業は、ターゲットスクリーニングとデューデリジェンスをより迅速かつ高度に推進できます。リーダーの約3分の2(62%)は、アナリティクスや生成AIがディールスクリーニングやデューデリジェンスを根本的に変革すると考えています。

テクノロジー活用が進むにつれ、プレディール段階での可能性を広げる戦略的活用へと重点が移りつつあります。

生成AIがデューデリジェンス作業の最大30%を自動化し、さらに20%を高度化できる可能性があり、手作業に費やす時間を大幅に削減します。

3. リーダーシップを強化します

ポートフォリオ企業におけるリーダーシップ不足は、バリュークリエーションを阻む重要課題となっています。リーダーのほぼ半数(47%)が、これを上位3つの課題に挙げており、組織カルチャの変革準備不足も、回答者の36%が主要課題と認識しています。

急速なテクノロジー進化が経営環境を大きく変える中、テクノロジーに精通したCEOは、業界を問わず変革対応力に優れています。アクセンチュアの分析では、テクノロジーの活用経験を持つCEOの5年間の売上年平均成長率は23.9%で、非経験者の1.4倍に達しています。

CEOやリーダーシップ陣を理解し、チームのケイパビリティや実績を見極めることは、デューデリジェンスの重要な要素です。

米国PEファーム ディレクター

新たな機会への障壁は、着実に低くなっている

従来のデューデリジェンスは、投資対象の実現可能性やリスク、PE企業の投資戦略との整合性評価が中心でした。一方、プレディール段階でのバリュークリエーションプランにより、対象企業が必要なリソースやオペレーティングモデルを備えているかを事前に見極めることが可能になります。その結果、投資後の変革に必要なケイパビリティとリーダーシップを早期に確保し、迅速な実行を実現できます。

<日本語監修>

  • 會田 靖夏(ビジネス コンサルティング本部 ストラテジーグループ トランザクションアドバイザリー プラクティス日本統括 マネジング・ディレクター)

  • 黄 良静(ビジネス コンサルティング本部 ストラテジーグループ シニア・マネジャー)

筆者

Rachel Barton

Senior Managing Director – Global Lead, Private Equity

Neto Alexander

Managing Director – Transaction Advisory, Private Equity

Martin Glenn

Managing Director – Transaction Advisory, Americas Go-To-Market Lead, Private Equity

Himanshu Patney

Principal Director – Accenture Research

會田 靖夏

ビジネス コンサルティング本部 ストラテジーグループ トランザクションアドバイザリー プラクティス日本統括 マネジング・ディレクター